近年、健康や美容、そして医療の分野で「水素」が大きな注目を集めています。特に「水素吸入」は、アンチエイジングから疲労回復、さらには様々な疾患の治療補助としても研究が進められており、その可能性に期待が高まっています。
「水素吸入器」と一言で言っても、家庭用の小型機器から「医療用」と称される高性能なものまで、市場には様々な種類が存在します。しかし、「医療用水素吸入器」という言葉の意味するところは必ずしも明確ではなく、誤解を招くケースも少なくありません。
この記事では、医療用レベルの水素吸入器とは具体的にどのようなものなのか、家庭用との違いやどこで利用できるのかについて解説します。ぜひ最後までご覧いただき、医療用水素吸入器について正しい知識を身につけ、ご自身に合った水素吸入器選びができるようご参考ください。
《この記事の執筆者》

当サイト「すいかつねっと」の運営者。水素の可能性に魅了され、日々独自に探求する水素健康アドバイザー。主に海外の論文をもとに水素を研究し、少しでも水素を活用して幸せになれればと情報を発信。
「医療用」水素吸入器って何?定義と誤解されやすいポイント
「医療用水素吸入器」という言葉を聞くと、病院で使われている医療機器のように感じるかもしれません。
しかし、市場で「医療用」として紹介されている水素吸入器の多くは、国が定める「医療機器」ではありません。
「医療用」という言葉の使われ方とその実態について、見ていきましょう。
「医療用=薬機法上の医療機器」ではない現実
現在、日本で「医療用」と表現されている水素吸入器の多くは、薬機法上の医療機器として正式に認可されたものではありません。これはよく誤解されるポイントであり、非常に重要な点です。
薬機法上の「医療機器」とは、病気の診断、治療、予防に使用されることなどを目的とし、国(厚生労働省)から承認・認証を受けた機器を指します。これには厳しい基準があり、有効性や安全性が科学的に証明される必要があります。
現在、水素吸入器でこの薬機法上の「医療機器」として承認されている製品は、一般消費者向けには存在しません。そのため、一般的には「美容機器」や「健康機器」として販売されており、疾病の治療効果をうたって販売することはできません。
このように、「医療用」という表現は、あくまでその性能や使用される場所(クリニックなど)を指す場合が多いのです。
「医療用レベル」と呼ばれる水素吸入器の特徴とは?

医療機器ではないため、公的な基準などはありませんが、「医療用レベル」と呼ばれる水素吸入器には、一般的に以下のような特徴があります。
- 高濃度の水素ガス生成能力:一般的に66〜99%以上の高濃度水素ガスを生成できる
- 十分な水素流量:毎分300〜1,000ml以上の流量で水素を供給できる
- 長時間使用に耐える耐久性:医療現場での長時間使用に対応
- 安全性への配慮:過熱防止装置や水素漏れ検知システムなどの安全機能
- 実際の臨床現場での活用:医療現場で自由診療の一環として使用されている
これらの特徴から、「業務用」「プロフェッショナル用」「高濃度水素吸入器」などと呼ばれることもあります。家庭用の水素吸入器と比較して、より高い性能と安全性を備えていることが特徴です。
【補足】厚生労働省「先進医療B」と水素ガス吸入療法
水素吸入に関連する公的な動きとして、厚生労働省の「先進医療B」という制度で、過去に「水素ガス吸入療法」が承認されていた時期があります。
先進医療とは、将来的な保険適用を目指す高度な医療技術を評価する制度です。「先進医療B」では、2016年から心停止後症候群(心肺停止から蘇生した後の脳機能障害など)の患者さんを対象に、水素ガス吸入療法の有効性や安全性を評価する臨床研究が行われていました。
水素吸入が医療行為として認められるための歩みを進めていましたが、現在は先進医療Bから取り下げられています。今でも様々な研究が続いていますが、まだ医療行為として認められているわけではないのが現状です。
>> 水素吸入が「先進医療B」から取り下げ!理由と現状、今後の展望まで徹底解説
家庭用とどう違う?医療用レベル水素吸入器の比較ポイント
「医療用レベル」と呼ばれる水素吸入器は、家庭用と比べて具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
主な比較ポイントをみていきましょう。
比較ポイント①:
水素濃度と発生流量
最も大きな違いは、吸入できる水素の「濃度」と「量(流量)」です。
医療用レベルの機器は、家庭用に比べて高濃度・高流量の水素ガスを安定して供給できる性能を持っています。
近年、水素吸入による体感や期待できる効果は、体内に取り込まれる水素の総量に関係するという考え方が主流になってきています。そのため、より多くの水素を効率よく吸入するには、ガスの濃度と1分間あたりの発生量(流量)の両方が重要になります。
医療用レベルと家庭用の水素濃度と流量は主に以下の通りです。
項目 | 家庭用 | 医療用レベル |
---|---|---|
水素濃度 | 通常2%など | 66%~99.9%以上(高純度) |
水素流量 | 10~200 ml/分程度 | 300~2000 ml/分以上 |
このように、1分間に吸入できる水素の総量が数十倍から数百倍違うケースもあります。
医療用レベルの機器が高濃度・高流量を実現できる理由は、電気分解方式の違いや、高性能な電極材料、精密な制御システムなどの採用にあります。
比較ポイント②:
耐久性と安全性
医療用レベルの水素吸入器は、クリニックなどで複数の患者に連続して使用されることを想定しているため、高い耐久性や安全対策の設計がされています。
家庭用の機器では1日30分〜1時間程度の使用が想定されているのに対し、医療用レベルの機器では1日8時間以上の連続稼働に耐える設計のものが多いです。
また、医療現場での使用を想定して、以下のような安全機能が充実しています。
- 過熱防止や自動停止機能
- 水素ガス漏れ検知システム
- 水素の純度をモニタリングする機能
- 精製水の残量警告システム
これらの機能により、長時間の使用や万が一の際への安全性が確保されています。
比較ポイント③:
価格帯(初期費用とランニングコスト)
性能や耐久性が高い分、医療用レベルの水素吸入器は、家庭用に比べて価格が高額になるのが一般的です。
高性能な部品の使用、高度な設計、製造コストなどが価格に反映されるためです。また、本体価格だけでなく、維持に必要なランニングコストも高い傾向にあります。
家庭用と医療用水素吸入器のコストの違いは、以下のとおりです。
項目 | 家庭用 | 医療用レベル |
---|---|---|
初期費用 | 5~30万円程度 | 50~300万円程度 |
ランニングコスト(年間) | 数千円~数万円 | 数万円~ |
機器によって様々であり、あくまで目安です
ランニングコストには、精製水や消耗品(電解槽など)の交換費用、定期的なメンテナンス費用などが含まれます。
医療用レベルの機器は精密部品が多く使われているため、メンテナンスコストも高くなる傾向があります。
比較ポイント④:
操作性とメンテナンス
高機能な反面、医療用レベルの機器は、操作がやや複雑だったり、定期的なメンテナンスが家庭用よりも重要になったりする場合があります。
操作性やメンテナンスについては、以下のような違いがあります。
項目 | 家庭用 | 医療用レベル |
---|---|---|
操作性 | 比較的シンプルな操作で使用できるものが多い | 濃度や流量の細かい設定が可能な分、操作が少し複雑になる傾向 |
メンテナンス | 自分でのメンテナンスがしやすい設計のものが多い | 定期的な専門メンテナンスが必要なケースが多く、メーカーによるサポートが重要 |
設置スペース | コンパクトで移動も容易 | 大型で設置スペースを必要とするものが多い |
水素吸入器の種類とメリット・デメリット
上述のように医療用水素吸入器は家庭用の機器よりも高性能で耐久性がある一方で、コスト面や管理の手間などで家庭用の方が優れている場合も多いです。
このように水素吸入器の種類ごとにそれぞれの特徴があり、性能だけではなくコスト面や管理の手間など総合的に判断する必要があります。
水素吸入器の種類とそれぞれの違い、メリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。どれが自分に向いているのか知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
>> 3種類の水素吸入器を比較!特徴やメリット・デメリットを徹底解説
医療用レベルの水素吸入はどこでできる?

医療用レベルの高性能な水素吸入器を利用したい場合、主に以下の方法があります。
クリニック・医療機関での利用
美容クリニックや統合医療を取り入れている医療機関では、水素吸入を健康増進や特定の症状緩和を目的としたメニューとして提供しているところがあります。比較的高性能な機器が導入されているケースが多いです。
1回の利用料金は3,000~5,000円程度が一般的です。自由診療になるため、全額自己負担となります。
専門サロンでの利用
水素吸入専門のサロンや、エステサロン、スパなどの美容施設でも高性能な水素吸入器を導入しているケースがあります。リラクゼーション効果も含めた総合的な施術として提供されることが多いです。
料金は1時間3,000円前後が相場で、回数券や月額通い放題などのお得なメニューがある場合もあります。
>> 水素吸入サロンの料金プランと選び方を解説|自宅でする場合とのコスト比較あり
自宅での利用
水素吸入器を購入またはレンタル・リースをすれば、自宅でも医療用水素吸入器を使うことができます。
一部のメーカーでは、医療用レベルの水素吸入器のレンタルやリースサービスを提供しています。
月額5~7万円程度で利用できる場合が多く、導入の敷居を下げる選択肢となっています。短期間試してみたい場合や、購入前の検討に役立ちます。
予算に余裕がある場合は、直接購入して自宅で利用することも可能です。ただし、前述の通り高額な初期投資が必要となり、また適切なメンテナンスを継続的に行う必要があります。
「医療用」とされる水素吸入器の一覧
市場で「医療用レベル」や「高濃度・高流量」として販売されている主な水素吸入器をご紹介します。
ただし、繰り返しになりますが、これらは薬機法上の医療機器として承認されたものではない点にご注意ください。
あくまで、一般的に「医療用レベル」「業務用」として認識されている、あるいはクリニックなどでの導入実績がある水素吸入器の一例です。
①ヘリックスジャパンの水素吸入器

ヘリックスジャパンが提供している水素吸入器は、多くのクリニックで採用され、実際の臨床現場でも用いられています。
「ハイセルベーター」シリーズにはモデルがいくつかあり、最大で1,600ml/分の水素を発生させる高流量の水素吸入器もあります。
>> ヘリックスの水素吸入器『ハイセルベーターET120』の特徴や評価を解説
>> ヘリックスジャパンの水素吸入器『ハイセルベーターET100』の特徴・スペックを解説
②ドクターズマンの水素吸入器

ドクターズマンが提供している水素吸入器も、多くの医療機関へ導入されています。
水素発生量は250ml/分ですが、連続24時間の稼働が可能なことや電解槽の寿命も50,000時間と他の水素吸入器に比べて群を抜いた耐久性を誇ります。安全面に関する第三者機関の認証も取得しており、高い安全性が担保されているのも特徴です。
>> ドクターズマン水素吸入器『H2JI1』の特徴、スペック、評価まで徹底解説
「医療用」水素吸入器に関するよくある質問
最後に、医療用水素吸入器に関してよく寄せられる質問についてまとめてみました。ぜひご参考ください。
Q1. 医療用水素吸入器は一般人でも購入できますか?
もちろん、一般の方でも購入することは可能です。
ただし、価格帯が50万円~300万円と高額なケースが多いため、予算面での検討が必要です。また、購入後のメンテナンス費用も考慮する必要があります。まずはレンタルから始めるのも一つの選択肢です。
Q2. 医療用水素吸入器のレンタルやリースはできる?
医療用レベルの水素吸入器のレンタルやリースサービスは可能ですが、まだまだ対応している販売者が少ないのが現状です。
料金は月額5~15万円程度が一般的で、初期費用を抑えたい場合や、試用してから購入を検討したい場合に適しています。契約期間や条件はメーカーによって異なるため、事前に確認することをお勧めします。
Q3. おすすめの医療用水素吸入器はどれですか?
「これが絶対に一番良い」という特定の製品をおすすめするのは難しいです。なぜなら、最適な水素吸入器は、あなたの使用目的(健康維持、美容、疲労回復など)、期待する効果のレベル、予算、使用頻度、設置場所、メンテナンスへの考え方などによって異なるからです。
大切なのは、以下の点を考慮して、ご自身で比較検討することです。
- 水素濃度と発生流量は十分か? (目的達成に必要なスペックか)
- 安全性は確保されているか? (信頼できるメーカーか、安全機能は充実しているか)
- 耐久性はどうか? (使用頻度に見合っているか)
- 価格(初期費用+ランニングコスト)は予算内か?
- 操作性やメンテナンスは負担にならないか?
- メーカーのサポート体制はしっかりしているか?
より詳しい「自分に最適な水素吸入器の選び方」については、以下の記事もご参考ください。
>> 失敗しない水素吸入器の選び方|9つのポイント解説
まとめ:「医療用」水素吸入器を正しく理解し、賢く活用しよう
本記事では、「医療用」と呼ばれる水素吸入器について、その実態や家庭用との違い、選び方のポイントなどを解説してきました。
重要なポイントをまとめると、
- 「医療用」と称される水素吸入器の多くは、法律上の医療機器ではない
- 医療用レベルの特徴は「高濃度」「高流量」「高耐久性」「安全性」
- 家庭用と比較して性能は高いが、価格やメンテナンスコストも高額
- クリニックやサロンでの利用、レンタル、購入など様々な選択肢がある
水素吸入は、アンチエイジングや疲労回復、健康増進など様々な効果が期待されていますが、その効果は個人差があります。導入を検討する際は、自分の目的や予算に合った機器を選び、可能であれば医師や専門家に相談することをお勧めします。