基礎知識
【医師監修】水素吸入療法の安全性・副作用を解説

【医師監修】水素吸入療法にリスクや副作用はある?各国の規制は?

《この記事の執筆者》

本記事では、水素吸入療法の副作用や安全性について解説していきます。

リスクや副作用だけではなく、規制や注意しておくべきポイントについても解説しているので、水素吸入を取り入れてみたいと考えて方はぜひ最後までご覧ください。

水素吸入療法に副作用はある?

水素吸入療法に関して多くの研究がなされていますが、現在までに水素による明らかな副作用は報告されていません。1) 2)

厚生労働省から発信されている物質の特性についてまとめたデータにおいても、水素吸入ガスに関して健康に対する有害性は基本的にないとされています。3) 4)

したがって、安心して使用できると言えるでしょう。

水素吸入療法によってトイレが近くなる事例があるといわれることがあります。
これは体内の悪玉活性酸素と水素が結びついて水になって体外に排出されることによるものかと考えられますが、科学的な根拠はありません。

副作用はないが注意するポイント

一方で、水素吸入療法に用いる吸入器については、基準の制定などが追いついていないために、粗悪なものが販売されている可能性があります。

安全性が高い吸入器を使用して被害を受けないようにする必要があります。

また、水素吸入に使うカニューレ(鼻につける管)などの衛生管理が悪いことで予期せぬ体調不良などを起こす可能性もあるため、しっかりと衛生管理をする必要があるでしょう。

水素吸入器は爆発するのか?

水素吸入器が爆発することは、基本的にありません。水素の特性として可燃性が挙げられますが、水素自体が燃えるためには500℃以上の温度が必要であり、その温度に達することは通常の使用では考えられません。また、NASAをはじめとした多くの研究で水素ガスの爆発濃度は 4%以上とされています。2) 

そのため、濃度を適切にコントロール出来ていれば爆発することはありません。

上記の理由から基本的に爆発しない水素吸入器ですが、万が一に備えた防爆システムが搭載してあるとより安心できます。
>>【危険!?】水素吸入器で水素爆発する条件とさせないためのポイント4つ

水素吸入療法や吸入器に対する世界各国の規制

水素吸入器に関する法整備・規制は、世界的にその普及に追いついていないのが現状です。

参考までに隣国の規制状況をご紹介します。

韓国での規制状況

韓国では水素関連製品に関連する法律として、「水素経済の育成および水素安全管理に関する法律」があります。

水素用品のメーカーに適用される法律で、製造、輸入、販売、使用を行う事業者は、韓国ガス安全公社による厳格な検査を受けることと、事業者として登録することが義務付けられています。

これに違反すると罰金または懲役刑が課されます。

しかしながら、現時点では、水素吸入器がこの関連製品に該当すると明文化されていないため適用されない可能性があります。

今後、水素吸入器にも本法が適用されることになれば、上記のような厳しい管理がなされるでしょう。

中国での規制状況

中国では、水素吸入による研究は盛んに行われているものの、水素吸入器をはじめ水素関連製品について定めた具体的な法律・規制はありません。

水素吸入器の安全性に関する指針

水素吸入器の安全性と取り扱いに関して、各国それぞれの研究チームから独自のガイドラインが提唱されていますが、コンセンサスは得られておらず、公的な機関から提示されたものはありません。

水素吸入療法や吸入器の日本の法律や規制

実は日本において中国同様、法整備はまだまだ追いついていないのが現状です。

水素吸入器の品質規格も定まっておらず、安全性基準もそれぞれのメーカーに委ねられています。

現在販売されている水素吸入器には医療用として販売されているものもあるため、医療機器と誤解されることもあります。しかし、日本では水素吸入器は、医療機器認定を受けておらず、厳密には医療機器ではないため注意が必要です。

上記のような背景から、水素吸入器の製造販売に対する、他国のような罰則規定も当然ありません。

日本で市販されている水素吸入器は安全なのか?

法整備が不十分で、品質規格も定まっていないと聞くと不安を感じるかもしれません。
市販されている水素吸入器の安全性に問題はないのでしょうか。

無害な水素を扱っていることなどを考えると、基本的には安全なものが多いと考えられます。しかし、FDAやCEなどの国際認証もなく、各社独自の基準で販売した商品を、第三者機関や法律による取締もない現状では、消費者はメーカーを信じる他ないため、不安が残ります。

そのため、認証済のものや実際に臨床試験で使用された実績がある製品であれば大変安心して使用できるため、なるべくそういった信頼性のおける製品をおすすめします。

FDAとは

FDA(Food and Drug Administration):アメリカ食品医薬品局の略称。食品などを取り締まるアメリカ合衆国の政府機関。日本の厚生労働省に似た役割を持つ。

CEとは

CE(European Conformity):EUで販売される指定の製品がEUの基準に適合していることを表示するマーク。

水素吸入に副作用はないが製品選びが大切:まとめ

本記事では、水素吸入療法・水素吸入器に関連する安全性について解説しました。

近年その効果の高さから注目が集まる水素吸入療法ですが、日本においてはまだまだ社会が追いついていません。副作用は報告されていないものの、安心して水素吸入療法を行うことができるように安全性が高い製品を選ぶことが重要です。

参考文献
  1. Johnsen HM, Hiorth M, Klaveness J. Molecular Hydrogen Therapy-A Review on Clinical Studies and Outcomes. Molecules. 2023 Nov 26;28(23):7785. doi: 10.3390/molecules28237785. PMID: 38067515; PMCID: PMC10707987.
  2. NASA Technical Reports Server – Safety Standard for Hydrogen and Hydrogen Systems: Guidelines for Hydrogen System Design, Materials Selection, Operations, Storage and Transportation
  3. 小池酸素工業株式会社『化学物質等安全データシート』http://www.nikko-a.co.jp/img-903175950.pdf
  4. 厚生労働省『第3部 健康に対する有害性』
  5. 水素保安を巡る主要国の取組|経済産業省

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