研究論文
肺線維症に対する水素吸入の抑制効果

肺線維症に対する水素吸入の抑制効果

一言まとめ

ブレオマイシン誘発性肺線維症ラットモデルに対し、水素吸入治療を行ったところ、TGF-β1の発現抑制、酸化ストレスの軽減、上皮間葉転換の阻害を介して、肺の線維化病変が改善した。

3分で読める詳細解説

結論

水素吸入は、TGF-β1の発現抑制、酸化ストレスの軽減、上皮間葉転換の阻害により、ブレオマイシン誘発性肺線維症を改善する。

研究の背景と目的

特発性肺線維症は原因不明の進行性線維性間質性肺疾患で、急速に死に至る。その病態形成には、TGF-β1の過剰発現、酸化ストレス亢進、上皮間葉転換の促進が関与している。一方、水素分子は抗酸化作用を有し、様々な臓器障害を軽減することが知られている。そこで本研究は、ブレオマイシン誘発性肺線維症モデルラットに対する水素吸入の効果とそのメカニズムを探ることを目的とした。

研究方法

  • 6-8週齢の雄性Wistarラット30匹を用いた。
  • ラットをコントロール群、ブレオマイシン(BLM)群、BLM+水素吸入群の3群に無作為に分けた。
  • BLM群とBLM+水素吸入群には、BLMを気管内注入して肺線維症を誘発した。
  • BLM+水素吸入群には、BLM投与直後から2%の水素ガスを1日あたり2時間、4時間、8時間吸入させた。
  • 28日後に各群のラットを安楽死させ、肺組織を採取した。

研究結果

  • 水素吸入により、BLM誘発性の肺の炎症、線維化、コラーゲン沈着、構造の乱れが改善した。
  • 水素吸入により、BLMによる活性酸素種の産生増加、脂質過酸化の亢進、ヒドロキシプロリン量の増加が抑制された。
  • 水素吸入により、BLMによるTGF-β1とTNF-αの発現増加が抑制された。
  • 水素吸入により、BLMによる上皮マーカーの発現低下と間葉系マーカーの発現増加が阻害され、上皮間葉転換が抑制された。
  • 水素吸入の効果は、吸入時間依存的に増強した。

Appendix(用語解説)

  • ブレオマイシン:抗がん剤の一種。肺線維症の動物モデル作製に用いられる。
  • TGF-β1:サイトカインの一種。線維化を促進する作用を持つ。
  • 上皮間葉転換:上皮細胞が間葉系細胞の性質を獲得する現象。線維化の原因となる。
  • コラーゲン:細胞外マトリックスの主要構成成分。線維化組織に過剰に蓄積する。
  • ヒドロキシプロリン:コラーゲンに特異的に多く含まれるアミノ酸。線維化のマーカーとなる。

論文情報

タイトル

Hydrogen inhalation attenuated bleomycin-induced pulmonary fibrosis by inhibiting transforming growth factor-β1 and relevant oxidative stress and epithelial-to-mesenchymal transition(ブレオマイシン誘発性肺線維症に対する水素吸入の抑制効果:TGF-β1、関連する酸化ストレス、上皮間葉転換の阻害を介して)

引用元

Gao, L., Jiang, D., Geng, J., Dong, R., & Dai, H. (2019). Hydrogen inhalation attenuated bleomycin-induced pulmonary fibrosis by inhibiting transforming growth factor-β1 and relevant oxidative stress and epithelial-to-mesenchymal transition. Experimental physiology104(12), 1942–1951. https://doi.org/10.1113/EP088028

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