「水素吸入器の水素発生量、どれくらいが最適なの?」
「発生量が多ければ多いほど効果を期待できるの?」
水素吸入器を選ぶ際、誰もが気になるこのポイント。市場には様々な発生量を謳う製品があり、「結局どれを選べば後悔しないの?」と迷ってしまいますよね。
結論、「最低200ml/分を目安としつつ、予算が許す範囲でできるだけ発生量が多い機器を選ぶ」のが、現時点では多くの方にとって後悔しにくい選択だと考えています。
この記事では、以下について解説します。
- 水素発生量の基本的な知識
- 研究報告に基づく水素発生量の目安
- 当サイトが考えるベストな水素発生量の考え方
- 自分に合った水素発生量を見つけるヒント
この記事を読めば、数ある製品の中から、ご自身にとって本当に「最適」な選択をするための知識が身につきます。ぜひ最後までご覧ください。
《この記事の執筆者》

当サイト「すいかつねっと」の運営者。水素の可能性に魅了され、日々独自に探求する水素健康アドバイザー。主に海外の論文をもとに水素を研究し、少しでも水素を活用して幸せになれればと情報を発信。
そもそも水素吸入器の「水素発生量」とは?
水素吸入器を選ぶ際によく目にする「水素発生量」。
まずは、この基本的な概念を整理していきましょう。
水素発生量の単位は「ml/分」
水素発生量とは、その水素吸入器が「1分間にどれだけの量の水素ガスを作り出せるか」を示す数値です。
単位は「ml/分(ミリリットル毎分)」で表され、数値が大きいほど、短時間でより多くの水素ガスを生成できるパワフルな機器ということになります。
水素発生量と「水素濃度」の違い

水素吸入器を選ぶ際によく混同されるのが、「水素発生量」と「水素濃度」です。
水素発生量は機械から出てくる水素そのものの「量」を表すのに対し、水素濃度は吸い込むガス全体のうち、どれくらいの割合が水素かを示します(単位は%やppm)。
「濃度」が高くても、出てくるガス全体の量が少なければ、実際に吸い込む水素の「量」は少なくなります。
したがって、実際にどれだけの水素を取り込めるかを考える上では、「水素発生量」がより重要な指標となります。
>> ppmに騙されない!水素吸入の水素濃度ppmってなに?
なぜ水素発生量が注目される?
水素発生量が重視される背景には、水素吸入による健康や美容への効果に対する期待があります。
水素には、体内で増えすぎると細胞を傷つける「活性酸素(体のサビつきの原因)」を選択的に除去する抗酸化作用が期待されています。そのため、「より多くの水素を取り込めば、その効果も高まるのではないか」と考えられているのです。
抗酸化作用のほかにも、抗炎症作用や代謝改善効果なども研究されていますが、これらの効果を得るためには、ある程度の量の水素を体内に取り込む必要があると考えられています。
ただし、「具体的にどれくらいの量が必要なのか?」については、目的や個人差もあり、まだ研究が進行中の段階です。この点について、次に詳しく見ていきましょう。
「最適」な水素発生量は?研究報告が示す目安

まず大切な前提として、「現時点では、誰にでも当てはまる絶対的な『最適』な水素発生量はわかっていない」ということをご理解ください。
研究は数多く行われているものの、実験ごとに使用される水素発生量が異なるため、「この発生量がベスト!」という世界的な合意には至っていません。最適な水素発生量の解明は、今後の研究課題の一つです。
しかし、これまでの研究から、ある程度の「目安」となる数値は見えてきています。 ここでは、科学的な研究報告に基づいた水素発生量の考え方をご紹介します。
慶應大学の研究で「250ml/分」以上が必要なことが示唆
慶應義塾大学の研究チームによる動物実験では、「効果的な水素吸入には約250ml/分以上の水素発生量が望ましい」ことが示唆されています。1)
この研究では、先進医療で使用されている水素濃度2%と同等の効果を得るために必要な水素量を算出しています。ブタを用いた実験で、1分間の呼吸量に占める水素量の割合と体内での水素濃度がほとんど同じだったことがわかりました。
この結果から、一般的な成人の1分間の呼吸量(10,000ml)に対して、250mlの水素発生量の場合に水素濃度2.5%にあたるため、効果的な水素吸入には、この程度の水素発生量が必要との結論に至っています。
補足:250mlが最適と判断された計算過程
- 実験に使われたブタは1回の呼吸で約150mlの空気を吸い込みます。その間の吸い込む時間は3秒。
- 毎分250mlの水素が発生する機器は、1秒間に4.16mlの水素ガスを排出し、ブタの1回の吸い込み(3秒)で12.5mlほどの水素ガスを吸い込むと考えられます。(250ml÷60秒×3秒=約12.5ml)
- ブタの呼吸量150mlに対して、12.5mlの水素は約8.3%になり、研究で実測された動脈血中の水素濃度とほぼ一致したとされます。(12.5ml÷150ml×100=8.33…)
- これを人の1回の吸気量500mlに対する割合に換算した場合に2.5%に値し、先進医療で使用された2%水素ガスの供給とほぼ同程度ということになります。(12.5ml÷500ml×100=2.5)
JHyPA(日本分子状水素普及促進財団)は200〜600ml/分を認定基準とする
水素研究の第一人者である太田成男教授が理事を務める日本分子状水素普及促進財団(JHyPA)では、水素吸入器の認証基準の一つとして、200〜600ml/分の水素発生量を設けています。2)
この基準は、「多くの動物研究と臨床研究で使われてきた有効水素濃度は、1.3〜4%」という考えのもと、人の呼吸量に換算した場合に200〜600ml/分ほどの水素発生量が必要ということが根拠となっています。
ちなみに、太田成男教授自身は、300ml/分以上の水素発生量を推奨しています。3)
疾患を対象とした研究では、高い水素発生量の機器が用いられている
がん患者や糖尿病患者など特定の疾患を対象とした研究では、一般に1000ml/分(1L/分)以上の高い水素発生量の機器が使用されることが多いです。
特にがん患者を対象とした研究では、2000ml/分(2L/分)程度の高発生量の機器が用いられるケースが多く見られます。4,5,6) それよりも少し低い1,000〜1200ml/分を用いた研究も複数あります。7,8,9)
したがって、がんをはじめとした疾患の治療の補助として水素吸入を取り入れる場合は、できるだけ水素発生量が多い機器を採用するのが、これまでの研究結果から妥当と考えられます。
美容や健康増進の場合は少ない水素発生量の研究も見られる
一方、美容効果や一般的な健康増進を目的とした研究では、比較的少ない水素発生量の機器でも一定の効果が報告されています。
例えば、肌のシミやハリに対する効果を調べた研究では、1分間に8ml程度の水素ガスの吸入でも変化が見られたとの報告があります。10)
また、慢性疲労症候群の人を対象とした症例報告では、120〜140ml/分の水素発生量で疲労の軽減や睡眠改善などが見られたと報告されています。11)
このことから、目的によっては必ずしも高スペックの機器が必要ではない可能性が考えられます。
「最適」な水素発生量のまとめ
少し長くなったので、これまでの研究報告に基づく水素発生量についての目安をまとめておきます。
- 慶應大学の研究では、250ml/分の水素発生量が必要とされる
- JHyPAでは、200〜600ml/分の水素発生量が認証基準の1つ
- 疾患(特にがん)に対しては1000〜2000ml/分などの高流量が有効な可能性
- 美容や健康増進には、200ml/分未満など少なめの発生量での結果報告もある
このように、これまでの研究報告も用いられる水素発生量がバラバラであり、画一的な基準はまだ定まっていません。
加えて、急性期脳虚血患者を対象とした研究では、同じ発生量の水素ガスを吸入しても、実際の血中水素濃度は個人差が大きいことも報告されています。12)
「じゃあ、結局どう考えればいいの?」という方のために、次に当サイトとしての考えをお伝えします。
すいかつねっとが考える「最適な水素発生量」

様々な研究結果や現状を踏まえ、当サイト(すいかつねっと)としては、「最低でも200ml/分以上を目安とし、予算が許す限り、できるだけ水素発生量が多いものを選んでおくのが無難」と考えています。
もちろん、個人差があるため、実際に試してみてご自身に合うものを見つけるのが理想です。しかし、購入前に試す機会がなかったり、比較検討する時間がなかったりする場合も多いでしょう。そのような場合は、予算の範囲内でスペックが高い(=水素発生量が多い)機種を選んでおくことをおすすめします。
下限の目安を200ml/分とする理由は、一般的な成人の安静時呼吸量(約6,000〜10,000ml/分)の上限である10,000ml/分に対して、研究で一つの目安とされる2%濃度を確保できる数値だからです。これくらいあれば、多くの方の呼吸量に対応できると考えられます。
では、なぜ「できるだけ多い方が良い」と考えるのか?その根拠は以下の3つです。
- 水素発生量が多いことによる健康デメリットがほぼない
- 水素量を増やしたら変化を感じたという声が多い
- 最低必要量がわからない以上、多いものを選ぶのが得策
それぞれ解説します。
根拠①:水素発生量が多いことによる健康デメリットがほぼない
水素の発生量が多いことによる、健康へのデメリットはほとんどありません。
これは水素自体が安全な物質であり、体に必要以上に取り込まれても速やかに体外に排出されるためです。実際、これまでに重篤な副作用の報告もありません。
もし過剰摂取による健康リスクがあれば、発生量の上限を慎重に考える必要がありますが、現状ではその心配が少ないため、「多いこと」を過度に恐れる必要はありません。安全性が高いからこそ、多い方を選びやすいと言えます。
「ほぼ」としたのは、重い呼吸器疾患など、特定の持病をお持ちの場合は注意が必要なケースもあるためです。持病のある方は、必ず事前に医師にご相談ください。
また、流量が極端に多い(3000ml/分など)の場合は、高齢者の方などは酸欠にならないように、水素・酸素を同時に吸う方が良いでしょう。
根拠②:水素発生量を増やしたら変化を感じたという声が多い
当サイトには、日々さまざまな方から水素吸入に関するお問い合わせや体験談が寄せられます。その中で特に多く耳にするのが、「水素発生量を増やしたら、違いを実感できた」という声です。
例えば、「以前300ml/分の機器を使っていた時はあまり変化を感じなかったけれど、600ml/分の機器に変えたら、睡眠の質や翌朝のスッキリ感が大きく変わった」といったご報告がありました。
もちろん、効果の感じ方には個人差があり、少ない発生量でも十分な変化を感じる方もいらっしゃいます。しかし、「量を増やすことで、より良い変化を感じられた」という声が多いのも事実です。逆に、「量を減らすことで変化を感じた」という声は今のところ聞いたことがないので、おそらく可能性は低いでしょう。
筆者自身も実は水素発生量が低い機器を使っていた際に目にみえる変化は感じませんでしたが、1000ml/分以上の高流量の機器を使い出してからは顕著に違いを感じるようになりました。睡眠の質や疲れにくさの面が顕著です。
根拠③:最低必要量がわからない以上、多いものを選ぶのが得策
上述したように、水素発生量についての目安は存在していますが、「これが絶対的に最適」という発生量は現時点ではっきりわかっていません。
このような状況では、将来的に研究で解明された場合に備えて、できるだけ水素発生量が多い機器を選んでおくのが賢明な選択と言えるでしょう。
まさに「大は小を兼ねる」です。仮に将来、「最適な水素発生量は実はもっと高かった」と判明した場合でも、発生量の多い機器であれば対応できる可能性が高まります。
安全性が高く、かつ最適な量がまだ不明確である以上、予算内でできるだけ発生量の多い機器を選ぶことは、合理的な選択だと考えます。
余談①:近年のトレンドは「高発生量モデル」
ここ最近(特にこの半年〜1年ほど)、多くのメーカーが高発生量の水素吸入器を新たに発売したり、既存モデルの発生量を増やしたりする動きが見られます。
例えば、ヘリックスジャパンは2025年3月に1600mlの機器を発表し、フレスカも150mlが600mlへ、リタエアーも長年100ml/分でしたが、600ml/分の機器を新たに発表しています。
この流れからも、業界全体として「水素発生量は多い方が、より期待できる」という方向に進んでいるのかもしれません。
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無料で相談する「最適な水素発生量」について知っておくべきこと

これまで研究結果を見る中で、「水素濃度◯%」という表現が出てきました。これは、吸入する空気全体に対する水素の割合を示すものです。
しかし、この「濃度」という表現だけで判断するのは注意が必要です。なぜなら、基準となる「吸気量(1分間に吸い込む空気の量)」によって、同じ濃度でも必要となる水素の「量(発生量)」が変わってくるからです。
具体例を挙げると、同じ水素濃度2%でも、
- 10,000mlに対してなら200mlの水素が必要
(10,000×0.02=200) - 6,000mlに対してなら120mlの水素で十分
(6,000×0.02=120)
となります。
人の呼吸量は、体格や年齢、性別、さらには活動状況(安静時か運動後かなど)によって大きく変動します。 一般的な安静時の呼吸量は毎分6,000ml〜10,000ml程度と言われていますが、どの数値を基準にするかで、目標とする濃度に必要な発生量が変わってきます。
このように、呼吸量の個人差や変動も、「最適な水素発生量」を一概に決めるのが難しい理由の一つと言えるでしょう。 だからこそ、「最低200ml/分以上」という、ある程度余裕を持った基準をおすすめしています。
水素発生量が多いことのデメリット4つ

ここまで説明した通り、できるだけ水素発生量が多い機器を選んでおくことをおすすめしています。
一方で、水素発生量が多いことによるデメリットがないのかというと、そうでもありません。
水素自体の安全性は高く、過剰摂取による健康リスクは極めて低いですが、それ以外の面で水素発生量が多くなることによるデメリットについて解説します。
デメリット①:価格と維持コストが高くなりがち
一般的に、水素発生量が多い機器ほど本体価格が高価になります。これは、水素を発生させる部品である「電解槽」がよりパワフルなものが必要になり、製造コストが上がることが主な理由です。
また、消費電力や使用する精製水の量が増えるため、電気代や消耗品代といったランニングコストも高くなる傾向があります。
デメリット②:サイズが大きく重くなりがち
水素発生量が多くなるにつれて、機器本体が大型で重量が増える傾向にあります。これは、電解槽や大きな給水タンクが必要となることなど、さまざまな要因が関係しています。
設置スペースの確保や、部屋間の移動などを考えると、サイズや重さも無視できない要素になります。
デメリット③:動作音が大きくなりがち
水素発生量が多い機器は、稼働時の音も大きくなる傾向にあります。
これは、高い水素発生量を実現するために大きくパワフルな電源や冷却ファンが必要で、それらの音が大きくなるためです。
また、外部で一度ボトルの水にガスを通して排出する場合は、水の中を空気が通る際のぶくぶく音が大きくなります。
デメリット④:特定の健康状態への配慮が必要
重度の呼吸器疾患など特定の持病をお持ちの場合は、高流量の水素ガス吸入をする際は注意が必要です。これは、高い流量による呼吸器への負担や、呼吸の酸素濃度が通常時と異なる可能性があるためです。
呼吸に何かしらの問題を抱えられている方は、医師への相談を必ず行うようにしましょう。
これらのデメリットを理解した上で、ご自身の予算、設置環境、使用シーンなどを考慮し、総合的に判断することが大切です。次に自分にあった水素発生量を考える視点についてお伝えします。
自分に合った水素発生量を考える4つの視点
繰り返しになりますが、現時点で「最適」な水素発生量はわかっておらず、人それぞれである可能性が高いです。
したがって、理想は、あなたに合った水素発生量を見つけることです。
そのために重要にな4つの視点をご紹介します。
視点①:利用目的(健康維持・美容・疲労回復など)
利用目的によって、必要とされる水素発生量は異なる可能性が高いです。
健康維持や美容目的であれば、100〜300ml/分程度の水素発生量でも効果が期待できるでしょう。また、疲労回復やスポーツパフォーマンスの向上を目指すアスリートの方も同様か少し多めの水素(400〜600mL/分以上)を摂取で、効果を実感しやすい可能性があります。
一方、特定の疾患の治療補助を目的とする場合は、より高い水素発生量の機器(600〜2,000ml/分)を選ぶことが必要になるかもしれません。ただし、健康上の問題がある場合は、必ず医師に相談してから使用することをお勧めします。
視点②:吸入時間とのバランス
水素吸入ができる時間が短い方は水素発生量が多いものを、長く時間を取れる方は多少低くても良いかもしれません。
その理由は、「総吸入水素量」という考え方にあります。これは、合計でどれくらいの水素を取り込んだことになるかを示す数値で、例えば水素発生量200ml/分の機器で1時間水素吸入を行った場合は、「総吸入水素量」は12,000mlとなります(200ml×60分)。
この「総吸入水素量」を最大化するように、水素発生量を選ぶのも1つの手です。
例えば、200ml/分の機器を1時間使用する場合と、600ml/分の機器を20分使用する場合では、理論上は同じ量の水素(12,000ml)を吸入することになります。水素吸入ができる時間が多い方は前者、あまり時間がない方は後者という選択肢になるでしょう。
ご自身のライフスタイルに合わせて、短時間で集中な吸入か、長時間ゆっくり吸入したいかを考慮して選びましょう。
視点3:予算とランニングコスト
一般的に、水素発生量が多い機器ほど価格が高くなる傾向があります。
例えば、100〜200ml/分程度の機器は数十万円で購入できるものが多いのに対し、600ml/分以上の高発生量モデルになると100万円近くし、医療用とされるような機器(1000mL/分以上)では数百万円になります。
さらに、初期費用だけでなく、フィルター交換や電気代などのランニングコストも考慮する必要があります。特に高発生量の機器は水や電力消費量も多くなりがちで、長期的なコストが予想以上にかかることがあります。
自分の予算と、長期的な使用を前提とした総コストのバランスを考えて選ぶようにしましょう。
視点4:実際の体感の違い
これまでの情報はあくまで一般的な目安や理論です。 水素吸入の効果の感じ方は個人差が非常に大きいため、可能であれば実際に試してみるのが最も確実です。
100ml/分程度の発生量でも十分な効果を感じる方もいれば、600ml/分以上ないと変化を感じない方もいます。
「論より証拠」として、実際に試して自分に合った発生量を見極めるのが一番確実ですし、ご自身の納得した水素吸入器選びに繋がります。
ぜひ積極的にサロンやクリニックなどで異なる水素発生量の機器を試して、自身に必要な水素発生量を見つけてください。
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無料で相談するより効率的に水素を取り込む方法

選んだ水素吸入器から発生する水素。せっかくなら、できるだけ無駄なく効率的に体内に取り込みたいですよね。特に、発生量が比較的少なめの機器(100〜200ml/分など)をお使いの場合は、なおさらです。
ここでは、発生した水素を効率的に吸入するための簡単なコツを4つご紹介します。
- 吸入中は「口を閉じる」
- 可能なら「マスク」タイプも検討
- 吸入中は「会話」や「大きな動き」を控える
- 「カニューレ(鼻チューブ)」は適切な長さで
それぞれ解説します。
効率的に水素を取り込む方法①:
吸入中は「口を閉じる」
鼻からカニューレで吸入する場合、できるだけ口を閉じて、鼻呼吸を意識しましょう。 酸素吸入の研究では、口を開けて呼吸すると、取り込める酸素の濃度が下がってしまうことが知られています。13)
水素吸入でも同様に、口が開いていると、せっかくの水素が口から逃げてしまったり、外気が多く混ざったりして、鼻から取り込める水素の効率が落ちる可能性があります。
効率的に水素を取り込む方法②:
可能なら「マスク」タイプも検討
一般的に水素吸入では鼻カニューレを使いますが、より効率を重視するなら、顔にフィットする「マスク」タイプの吸入具を使うのも有効です。
カニューレは鼻の穴に差し込むだけなので、どうしても隙間から水素が漏れてしまいます。マスクであれば、口と鼻全体を覆うため、発生した水素が外に漏れ出すのを最小限に抑え、より多くの水素を吸い込むことが期待できます。
酸素吸入でも、カニューレを使った場合は吸入酸素濃度(FiO2)が24〜40%、マスクの場合は40〜60%ほどとされます。つまり、マスクの方が供給している酸素をより効率的に取り込めるということです。
(※ただし、息苦しさを感じる場合や、お使いの機器でマスクが推奨されていない場合は無理に使用しないでください。)
効率的に水素を取り込む方法③:
吸入中は「会話」や「大きな動き」を控える
話している間は、呼吸が浅くなったり、口呼吸になったりしがちです。吸入効率を考えると、できるだけ会話は控え、リラックスして吸入に集中するのがおすすめです。
また、吸入中に動き回ると、カニューレがズレてしまったり、呼吸が乱れたりすることがあります。椅子に座って読書や動画視聴をするなど、落ち着いた状態で吸入するのが望ましいでしょう。。
効率的に水素を取り込む方法④:
「カニューレ(鼻チューブ)」は適切な長さで
水素吸入器本体と鼻をつなぐカニューレ(チューブ)は、必要以上に長すぎない、適切な長さのものを選びましょう。
ポータブル水素吸入器を使った分析では、排出口では96%(966,664ppm)の水素濃度だったが、カニューレ出口付近で83%(831,170ppm)まで低下したとするデータがあります。つまり、カニューレの中を通っている間にも水素が失われてしまっていることを示唆します。
もちろん、短すぎると使いづらいので、取り回しに不便がない範囲で、できるだけ短めのものを選ぶのが、わずかでも効率を高めるコツと言えます。
「水素発生量」以外の水素吸入器選びのポイント
水素発生量は水素吸入器選びの重要な要素ですが、それだけで判断するのは不十分です。
後悔しない選択のために、以下の9つポイントをチェックしましょう。
- 水素ガス発生量は十分か?
- 連続吸入時間は1時間以上可能か?
- 騒音レベルは50db以下か?
- 製品価格は高すぎないか?
- 維持費はかかりすぎないか?
- メンテナンスは簡単か?
- 製品本体は動かしやすく丈夫か?
- 安全性は保証されているか?
- メーカー/販売会社は信頼できるか?
それぞれのポイントについてさらに詳しい基準については、以下の記事で解説しています。
>> 失敗しない水素吸入器の選び方|9つのポイント解説
水素吸入器の「水素発生量」のよくある質問
水素吸入器の「水素発生量」に関してよく聞かれる質問についてまとめました。ぜひご参考ください。
- 水素発生量の測定は信頼できる?
- 「発生量が多い機器を短時間」と「少ない機器を長時間」なら、どっちが良い?
- 医療用と家庭用の違いは?発生量も違う?
- ポータブル水素吸入器の水素発生量でも十分ですか?
- 水素を吸いすぎても大丈夫?過剰摂取のリスクは?
- 発生量が多い機種と少ない機種、体感に差はある?
- 犬などペットに向けた最適な水素発生量は?
Q1. 水素発生量の測定は信頼できる?
メーカーによって測定方法や条件が異なる可能性があるため、数値だけを鵜呑みにせず、どのように測定されたかを確認できるとより安心です。
可能であれば、第三者機関による測定データや認証があるかどうかをチェックすると、客観的な信頼性の判断材料になります。
Q2. 「発生量が多い機器を短時間」と「少ない機器を長時間」なら、どっちが良い?
一概にどちらが良いとは言えませんが、考え方としては「できるだけ長時間、継続的に吸入する」方が、体内の水素濃度を維持しやすいとされています。なぜなら、体内で活性酸素は常に発生しており、水素吸入を止めると体内の水素は比較的速やかに排出されてしまうからです。
理想は「発生量が多い機器を長時間」ですが、現実的には難しい場合が多いでしょう。
最低限の発生量(例:200ml/分以上)を確保した上で、ご自身のライフスタイルに合わせて無理なく続けられる「時間」と「発生量」のバランスを見つけることが重要です。
Q3. 医療用と家庭用の違いは?発生量も違う?
まず重要な点として、現在(2025年4月時点)、日本の厚生労働省から「医療機器」として承認・認証されている水素吸入器はありません。
一般的には、高い性能や耐久性・安全性があり、多くの医療機関で採用されているものを指すことが多いです。
家庭用との違いは主に性能(特に水素発生量)や耐久性(連続した長時間稼働)などが挙げられます。
医療用水素吸入器については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参考ください。家庭用との比較も行っています。
>> 「医療用」水素吸入器とは?定義や誤解されるポイントを解説
Q4. ポータブル水素吸入器の水素発生量でも十分ですか?
効果の感じ方には個人差があるため一概には言えませんが、ポータブルタイプでも変化を感じている方はいらっしゃいます。
多くのポータブル水素吸入器の発生量は10ml/分前後です。記事中で紹介した研究例(8ml/分で肌の変化)のように、少ない量でも何らかの変化が見られる可能性は否定できません。
しかし、多くの研究や専門機関の推奨する目安(200ml/分以上など)と比較すると、ポータブルタイプの発生量はかなり少ないと言えます。しっかりとした効果を期待するのであれば、据え置き型で最低でも200ml/分以上の発生量がある方が望ましいでしょう。
ただし、ポータブルには「いつでもどこでも手軽に吸える」という大きなメリットがあります。発生量だけでなく、利便性も考慮して選ぶことが大切です。ポータブルタイプのメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
>> ポータブル水素吸入器のメリット・デメリットは?選び方やおすすめ機種を紹介
Q5. 水素を吸いすぎても大丈夫?過剰摂取のリスクは?
現在のところ、水素の過剰摂取による健康被害は報告されていないとされています。水素自体が無毒なことや、余分な水素は呼気として排出されるため、蓄積による問題は少ないと考えられています。
ただし、安全性に配慮された機器を使用し、メーカーの推奨する使用方法を守ることが大切です。また、体調に異変を感じた場合は使用を中止し、医師に相談することをお勧めします。
Q6. 発生量が多い機種と少ない機種、体感に差はある?
個人差が大きいですが、一般的に発生量が多い機種の方が効果を実感しやすいという声が多いようです。
特に疲労回復や運動後のリカバリーなど、即効性を期待する場合は、発生量の多い機種の方が効果を感じやすい傾向があります。一方、美容や日常的な健康維持のような長期的な効果を期待する場合は、発生量の少ない機種でも継続使用することで効果を実感できる可能性があります。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、同じ機器を使用しても効果の実感には個人差があることを理解しておきましょう。
Q7. 犬などペットに向けた最適な水素発生量は?
人と同様に、ペットに対しても「効果がある」と断言できる水素発生量の基準はまだ決まっていません。
ただし、「水素吸入は犬の健康に効果はある?」で取り上げている研究では、個体に応じて毎分100〜300mlの水素ガスを吸入させたと述べられています。これを1つの基準にするのが、現状のエビデンスに基づいて合理的かと思います。
100〜300mlでどれが自分のペットに最適な量かわからない場合は、できるだけ多い機器を選んでおくのが無難でしょう。
まとめ:適切な水素発生量の吸入器を活用しよう
今回は、水素吸入器選びの重要なポイントである「水素発生量」について、基本的な知識から研究報告、選び方のヒントまで詳しく解説しました。
現時点での結論として、「万人にとって最適な発生量」はまだわかっていません。
そのため、当サイトとしては、 「最低でも200ml/分を目安としつつ、予算の範囲内で、できるだけ発生量の多い機器を選ぶ」 ことをおすすめします。
しかし最も大切なのは、ご自身の利用目的、使える時間、予算、そして可能であれば実際の体感などを総合的に考慮して、あなたにとってベストな一台を見つけることです。
水素発生量だけでなく、安全性や使いやすさ、ランニングコストなど、他のチェックポイントもしっかり確認し、納得のいく水素吸入器を選んで、健やかな毎日にお役立てください。
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- 水素医学の発展:副作用無し、論文数は、1,500|太田成男のちょっと一言
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