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【医師監修】水素吸入療法は犬の健康に役立つ?

【獣医監修】水素吸入療法は犬の健康に役立つ?最新研究から見る効果と期待

《この記事の執筆・監修者》

一般社団法人ペットフード協会の調査によると、2022年の犬全体の平均寿命は14.76歳となっており2010年以来伸び続けています。1)

とはいえ「大切な家族の一員である犬にいつまでも元気でいてほしい」と思うのは、飼い主として自然なこと。そんな願いを叶えるのに役立つかもしれない新しい療法『水素吸入療法』がいま注目を集めています。

本記事では、水素吸入療法がもたらす犬の健康への影響について、最新研究をもとに考察していきたいと思います。水素吸入療法と犬の健康について理解できるように解説していますので、犬の健康を大切に思う方はぜひ最後までご覧ください。

犬の健康について

犬の酸化ストレスは、主に老齢の動物においてさまざまな疾患の原因になる現象です。酸化ストレスとは、「活性酸素による細胞の破壊」と定義されており、体内の抗酸化物質が不足することで発生します。

活性酸素は、健康な犬の体内でも一定数作られる物質ですが、老化したりストレスを受けたりすると過剰に作られて、正常な細胞を破壊してしまいます。

犬の酸化ストレスを抑制する方法と課題

酸化ストレスを防ぐためには、βカロテンやビタミンE、アスタキサンチンに代表される抗酸化物質の摂取が有効です。老齢犬用のドッグフードの中には、活性酸素の増加を防ぐために、抗酸化物質を添加しているものも少なくありません。

しかし、食べ物からの抗酸化物質摂取は、「量の調整が難しい」「摂取してから効果が出るまで時間がかかる」などの問題点も指摘されています。動物病院で治療を受けるときなど、一時的に強烈なストレスがかかる状況では、過剰な活性酸素産生を抑えることができません。

犬の酸化ストレスを抑制する新手法

近年は、犬の酸化ストレス予防・症状改善の方法として、水素吸入が注目されています。食べ物からの抗酸化物質摂取と比較して、「量を調整しやすい」「即効性がある」といった特徴があり、犬をはじめとした動物医療の領域で研究が盛んな分野です。

水素吸入は犬の健康に効果はある?

犬への水素吸入は、手術時の酸化ストレスを軽減する効果があると言われています。

犬への酸化ストレスは、脳障害や関節炎、腎臓病などを誘発する可能性があり、以前から問題視されていました。水素の還元作用により、犬への酸化ストレスが軽減されることで、どういったことが期待できるのか見てみましょう。

ペット用の水素水の効果は科学的根拠なし

水素の医療への応用は、2007年に発表された人の医療における論文がきっかけです。糖尿病や腎不全、放射線治療の副作用軽減など、人の医療における水素の臨床応用は多数報告されています。

一方、動物医療における水素の臨床応用は、あまり報告されていません。犬や猫の腎不全に効果があるとの謳い文句で「ペット用の水素水」が製品化されているものの、科学的根拠を明確に示した論文はほとんどないのが現状です。

犬の治療補助としての水素吸入療法の効果

まだ研究段階であるとはいえ、水素吸入が犬の健康に良い効果をもたらす可能性を示唆する研究はいくつか報告されています。

2016年、加藤らは「ペットの医療分野での治療の補助としての水素の可能性は充分証明されたと言える」と報告しました。2) 当研究は、犬猫合わせて275例に水素ガスの施術を行い、施術後の効果の有無を対照群と比較検討したものです。

急性膵炎が疑われる犬に対して、自然呼吸の範囲内で水素ガスを約30分間吸入させ、吸入後の症状に対して飼い主とともに主観的な評価を実施。必要に応じて血液検査などの検査を行い、水素吸入前後での症例の状態を比較検討しました。

症例は、受診初日に水素吸入を実施した直後から元気回復。その後も連日、水素吸入を受けて、数日後にはもと通り元気になり、通常の生活に復帰しました。

受診初日から10日後の血液検査では、アミラーゼ値が劇的に改善した以外、ほとんど変化は見られませんでした。血液検査上は一部の検査項目を除いてそれほど改善されていないにも関わらず、症例自体は水素吸入後に極めて良好な状態を示したのは興味深い結果と言えます。

当研究では、他にも多くの症例で、水素吸入直後から元気が回復したことが報告されています。ペットにおける水素吸入の医学的研究は始まったばかりであるものの、その効果は絶大だと考えられています。

当研究結果からも分かる通り、水素吸入はペットの医療分野において、既存の治療法をサポートするものとして有効性は高いと考えられます。

【私はこう考える】水素吸入療法と犬の健康

水素吸入は、犬をはじめとした動物医療の分野で注目されている施術方法です。犬の体内における活性酸素の産生を抑制し、老化や外的ストレスによる障害を予防する効果があると考えられています。先述した「水素吸入によって施術後直後から犬が元気を取り戻した」という報告を見ても、水素が犬の幸福につながる可能性が示唆されたのは飼い主や犬にとっても良い結果と言えるでしょう。

ただ、犬の水素吸入に関する研究は歴史が浅く、科学的に有意な効果が得られたという報告は、それ以外にほとんどないのが現状です。しかし、多くの研究では水素吸入の有効性が示唆されており、動物医療の現場での活用が期待されています。

動物医療の現場での水素吸入が普及することで、さまざまな疾患の罹患率・重症化率の低下が期待できます。治療・予防法としての水素療法の実用化に向けて、人への応用だけではなく犬を含めた動物医療に対するさらなる研究報告や発展に期待したいものです。

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