日本では「電気用品安全法」に基づき、多くの電気製品でPSEマークの表示が義務付けられています。
水素吸入器も電気製品の1つであり、基本的にはPSEマークの表示が必要です。そのため、安全な機器選びには、このマーク表示の確認が欠かせません。
本記事では、そもそもPSEマークとは何なのか、水素吸入器とPSEマークの関係についてわかりやすく解説します。PSEマークは意外と知られていませんが、安全な水素吸入器選びに重要なポイントなので、これを機にしっかりと理解しておきましょう。
《この記事の執筆者》

当サイト「すいかつねっと」の運営者。水素の可能性に魅了され、日々独自に探求する水素健康アドバイザー。主に海外の論文をもとに水素を研究し、少しでも水素を活用して幸せになれればと情報を発信。
そもそもPSEマークとは?
PSEマークとは、一言でいえば「国が定めた電気製品の安全基準をクリアした証」です。これは「電気用品安全法」という日本の法律に基づく制度で、PSEは “Product Safety Electrical Appliance & Materials” の略称です。
このマークは、電気製品の欠陥による火災や感電といった事故から、私たち消費者を守るためにあります。そのため、スマートフォンの充電器やテレビ、ドライヤーなど、コンセントにつないで使う多くの電化製品には、このPSEマークの表示が法律で義務付けられています。
なお、PSEマークがない対象の電気用品を販売することは違法行為となります。
PSEマークの対象となる製品
PSEマークの対象品目は457種類にも及びますが、原則として「家庭用コンセント(定格電圧100V)に接続して使用する機器」が対象になると理解しておけば問題ありません。
その一方で、USBポートから給電する機器や、乾電池で動く機器そのものはPSEマークの対象外です。これらは低い電圧で動作し、家庭用コンセントに直接つなぐ製品に比べて危険性が低いと判断されるためです。
2種類のPSEマークとその違い
PSEマークには、実は「ひし形」と「丸形」の2種類があります。以下に、それぞれの違いをまとめてみました。
ひし形 | 丸形 | |
---|---|---|
マーク | ![]() | ![]() |
対象製品 | 特定電気用品 (116品目) | 特定電気用品以外の電気用品 (341品目) |
対象の基準 | 構造上、特に火災や感電の危険性が高い製品 | 一般的な電気機器 |
検査 | 国の認定機関による検査が必要 | 事業者による自主検査が基本 |
具体例 | ・ACアダプター ・電気便座 ・電気マッサージ器 など | ・電気冷蔵庫 ・扇風機 ・電気掃除機 など |
この2つの違いは、ひし形の方がより厳格な安全基準と検査が求められる、ということです。
PSEマークの表示と信頼性の裏づけ
PSEマークは、事業者が以下の4つの義務を果たして初めて表示できます。
- 届出
対象の電気用品の製造・輸入を行う事業者は、開始日から30日以内に経済産業省へ届け出る - 技術基準の適合
国の定める安全技術基準(例:絶縁体の厚さ、異常な温度上昇が起きないかなど)をクリアする製品を設計・製造する - 検査の実施
完成した製品が基準を満たしているか、事業者自らの責任で検査を行い、その検査記録を3年間保存する - 適合性検査(ひし形PSEのみ)
特に安全性が求められる「特定電気用品」は、自主検査に加えて、国の認定した第三者検査機関による適合性検査を受け、証明書を取得・保存する必要がある
これら全ての義務をクリアして、ようやくPSEマークを表示できるのです。
ここで、「自主検査が基本で大丈夫?」と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、PSEの信頼性を担保するために、国による厳しい監視の仕組みがあります。
PSEの監視の仕組みと罰則
国は、市場に出回っている製品を買い上げて安全性をチェックする「試買テスト」や、事業者の工場・倉庫に立ち入って検査記録などを確認する「立入検査」を定期的に行っています。
もし、そこで違反(技術基準不適合、無検査など)が見つかれば、製品の回収命令や販売停止処分、さらには1億円以下の罰金といった厳しいペナルティが科せられます。実際に、基準を満たさないモバイルバッテリーを販売した事業者が回収命令を受けた事例も報告されています。
つまり、PSEマークは「事業者の責任」と「国の厳しい監視」という二重のチェックによって、その信頼性が保たれているのです。
水素吸入器にPSEマークの表示は必要?
家庭用コンセントを使う水素吸入器には、PSEマークの表示が法律で義務付けられています。
ただし、一口に水素吸入器といっても、電源のとり方によって「確認すべき場所」と「PSEマークの種類」が異なります。それらについて、解説していきます。
ケース1:ACアダプターを使用する水素吸入器の場合
ACアダプターでコンセントにつなぐタイプの水素吸入器は、「ACアダプター」にPSEマーク(ひし形)の表示が法律で義務付けられています。
機器本体ではなく、ACアダプターがPSEマークの対象となる点がポイントです。
ACアダプターとは、コンセントから供給される100Vの高い電圧の電気を、機器が安全に使える低い電圧に変換する「変圧器」という非常に重要な役割を担っています。以下のような、差し込み口に大きな箱のようなものがついているコードを見たことがある方も多いでしょう。

ACアダプターの形態は様々ですが、このコードについている箱の部分が変圧器の役割を担っており、ひし形PSEマークの表示対象となります。
充電式のポータブルタイプも同様
持ち運びできるポータブルタイプの水素吸入器は、内蔵バッテリーで動作するため、一見するとPSEマークとは無関係に思えるかもしれません。
しかし、付属のACアダプターを使ってコンセントから充電するタイプであれば、そのACアダプターに「ひし形のPSEマーク」が必要となります。
ケース2:ACアダプターを使用しない水素吸入器の場合
一方、ACアダプターを使用せず、直接電源コードをコンセントに差し込む水素吸入器では、機器本体がPSE(丸形)の表示対象となります。
このタイプは、ACアダプターの機能(変圧器)が、機器の本体内部に組み込まれている製品です。そのため、機器本体そのものが電気用品安全法の対象となり、安全基準を満たした証として「丸形のPSEマーク」が表示されているかを確認する必要があります。
なお、ACアダプターを使用しない場合は、交流用電気機械器具の「医療用物質生成器」に分類されます。(参考:対象非対象解釈例一覧「安定水素発生装置」|経済産業省)
PSEマークがない水素吸入器を使う3つのリスク
もし、PSEマークの表示義務があるにもかかわらず、表示がない製品を購入・使用してしまった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
具体的な3つのリスクを解説します。
リスク1:火災や発火の危険性
PSEマークのない水素吸入器は、国の安全基準を満たしていない可能性があります。粗悪な部品が使われていたり、安全設計が不十分だったりするため、使用中に異常発熱を起こし、発火につながる恐れがあります。
特に、就寝中や外出中など、目の届かないところで使用・充電している際に火災が発生したら…と考えると、その危険性の高さが分かるはずです。
リスク2:感電やショートによる機器の故障
安全基準を満たしていない製品は、電気を遮断する「絶縁」処理が不十分な場合があります。これにより、機器に触れた際に感電してしまったり、内部でショート(短絡)を起こしてしまったりする危険性が高まります。
ショートが起きると、高価な水素吸入器本体が一瞬で故障し、二度と使えなくなってしまう可能性も。大切な財産と身体を守るためにも、PSEマークは必須です。
リスク3:法律違反の製品を販売・購入するリスク
そもそも、PSEマークの表示義務がある電気用品を、マークなしで販売することは電気用品安全法で禁止されている違法行為です。そのような法律を遵守しない業者から製品を購入すること自体に、大きなリスクが伴います。
万が一、製品に不具合があった場合でも、まともな保証やアフターサポートは期待できないでしょう。泣き寝入りにならないためにも、信頼できる販売元から、法令を遵守した製品を選ぶことが重要です。
必ず確認!安全な水素吸入器を見抜くPSEマーク確認3ステップ
では、実際に安全な水素吸入器を選ぶために、どこをどう確認すれば良いのでしょうか。
誰でも簡単にできる3つのステップをご紹介します。
ステップ1:どのタイプの水素吸入器であるかを確認
まずは、先述した「ACアダプター」を使用するタイプか否かを確認します。
これによって、「ACアダプター」と「機器本体」のどちらにPSEマークが必要かが判断できます。
ACアダプターを使用する機器の場合、商品ページなどの「付属品」の欄にACアダプターと記載されている場合が多く、確認しやすいです。記載がない場合は、機器本体にPSEマークが必要だと考えて良いでしょう。
ステップ2:マークの隣にある「届出事業者名」を確認

PSEマークの近くに、その製品の製造または輸入を行った事業者の名前(会社名)が記載されているか確認しましょう。これが日本の法律に基づき、製品の安全性に責任を負う事業者の証となります。
海外製品であっても、日本国内で正規に販売するためには、日本の輸入事業者が届出を行い、この事業者名を表示する義務があります。マークだけが単独で印刷されているような場合は違法であり、偽造品の可能性も疑いましょう。
ひし形PSEの場合は、「登録検査機関名」も確認
基準が厳しい「ひし形」のPSEマークの場合は、届出事業者だけではなく、登録検査機関名の記載も必要となります。
ACアダプターを使用する機器は、以下のように事業者名と検査機関名が書かれているかも確認するようにしましょう。

ステップ3:販売ページの記載や販売元に問い合わせて最終確認
もし商品ページにPSEマークや届出事業者名の記載が見当たらない場合は、「この製品のACアダプターにはPSEマークはありますか?」と、販売元に直接問い合わせて確認しましょう。
この質問に対して、明確な回答がなかったり、はぐらかしたりするような販売元からは、購入を避けるのが賢明です。誠実な販売元であれば、必ず明確に回答してくれます。
PSEマークだけでは不十分?水素吸入器の安全性のチェック項目
ここまで、電気用品としての安全性、つまりPSEマークの重要性を解説してきました。しかし、「PSEマークがあれば、それで100%安全な水素吸入器だ」と考えるのは危険です。
PSEマークは、あくまで火災や感電といった電気的なリスクに対する安全基準です。水素吸入器ならではの安全性、例えば「吸入する水素ガスに、オゾンなどの有害な副産物が含まれていないか」といった点は、PSEマークの基準ではカバーされていません。
そのため、真に安全な製品を選ぶには、電気的な安全性(PSEマーク)に加えて、発生するガスの成分分析結果が開示されているかなど、総合的な視点で判断することが非常に重要になります。
水素吸入器の安全性に関するより詳しいチェックポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参考ください。
>> 水素吸入器の安全性の確認ポイント5つ
水素吸入器のPSEに関するよくある質問
最後に、水素吸入器のPSEマークに関してよく寄せられる質問をまとめておきましたので、ぜひご参考ください。
Q1. 水素吸入器の本体にPSEマークがなくても大丈夫ですか?
問題ないケースと問題となるケースがあります。
前述の通り、ACアダプターを使用している機器の場合、PSEマークの表示が義務付けられているのは、ACアダプターに対してです。この場合、水素吸入器本体にPSEマークの表示義務はありません。
一方、ACアダプターを使用せず、直接コンセントに接続する機器の場合は、水素吸入器本体へのPSEマークの表示が義務付けられます。この場合、本体にPSEマークがないと違法となります。
Q2. 海外メーカーの製品を購入する場合、PSEマークはどうなりますか?
日本の輸入事業者がPSEマークを表示する義務を負います。
PSEマークは日本の法律であるため、海外で販売されている製品にそのまま付いていることはありません。
しかし、海外メーカーの製品を日本国内で正規販売する場合、日本の輸入事業者が法律に基づき国の定める検査基準を満たしていることを確認し、PSEマークと自社名を表示する義務があります。
Q3. PSEマークがあれば100%絶対に安全だと言えますか?
100%の無事故を保証するものではありません。
PSEマークは、法律で定められた製造・輸入時の最低限の安全基準をクリアしている証です。これは安全な製品を選ぶための非常に重要な前提条件ですが、絶対的な安全を保証するものではありません。長年の使用による経年劣化や、取扱説明書にない誤った使い方をすれば、事故につながる可能性はゼロではありません。PSEマーク付きの製品を選んだ上で、正しく使用し、定期的に点検することが大切です。
Q4. PSEマークは経済産業省からの認定なのですか?
PSEマーク(電気用品安全法)は、経済産業省が認証する制度ではありません。
電気⽤品を製造、輸⼊する事業者が⾃ら同法の義務を履⾏し、その基準適合性を事業者の責任で判断することで販売してもよいとする制度です。
ひし形PSEの場合は、政府に認められた第三者機関による検査がある分より厳格な検証が行われていますが、これについても政府が認証しているわけではなく、あくまで事業者の責任で表示するものとなります。
Q5. 海外の通販サイトで個人輸入する場合は?
海外の通販サイトで水素吸入器を購入して、個人輸入する場合はPSEマークがなくても罰則の対象となりません。
しかし、海外での機器は日本の電気用品安全法の基準を満たしていない可能性もあるため、安全面を考慮してお勧めしません。
海外の製品は非常に安く販売されており魅力的に映ることもありますが、身を守るために避けておくのが無難でしょう。
まとめ:PSEマークは安全な水素吸入器選びの第一歩
今回は、水素吸入器の安全性を見極める上で欠かせない「PSEマーク」について詳しく解説しました。
PSEマークは、電気で動く水素吸入器の安全性についてチェックすべき第一項目とも言えます。
ぜひ、この記事で解説した3つの確認ステップを実践して、安全で快適な水素ライフをスタートさせてください。