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研究報告

水素-ヘリウム-酸素混合ガスを用いた深海潜水中のヒトの心理生理学的反応

更新日:2026/02/11
水素-ヘリウム-酸素混合ガスを用いた深海潜水中のヒトの心理生理学的反応
6名の商業ダイバーを対象に、水素-ヘリウム-酸素混合ガスを用いた500mの深海潜水中の神経学的・心理感覚運動反応を調査。高圧神経症候群の症状は軽度だったが、水素の麻酔効果が検出された。
  1. 13分で読める詳細解説
    1. 結論
    2. 研究の背景と目的
    3. 研究方法
    4. 研究結果
    5. 論文情報
  2. 2専門家のコメント

3分で読める詳細解説

結論

水素は高圧神経症候群の一部の症状を軽減し、呼吸混合ガスの密度を下げ、ダイバーの生活条件や作業性を改善するのに有用なガスとなり得る。

研究の背景と目的

深度150-200m以上の高圧環境下では、ヘリウム-酸素混合ガス(ヘリオックス)を用いた潜水でも高圧神経症候群(HPNS)が発生し、250-300mを超える深海潜水の大きな障壁となっている。HPNSの予防策の1つとして、麻酔性ガスを用いる方法が研究されてきた。本研究は、水素-ヘリウム-酸素混合ガス(ハイドレリオックス)を用いた500mの深海潜水中のダイバーの心理生理学的状態を調査することを目的とした。

研究方法

6名の男性商業ダイバー(平均36歳)を対象に、49%の水素を含む水素-ヘリウム-酸素混合ガス(ハイドレリオックス)を用いて500mまでの深海潜水を実施した。被験者は2つのグループ(各3名)に分けられた。グループ1(ダイバー1〜3)とグループ2(ダイバー4〜6)である。各グループは、互いに連結されているが独立した飽和潜水用のチャンバー(生活区画)で生活した。飽和潜水とは、体内の不活性ガス分圧を周囲圧と平衡させた状態で行う潜水で、長時間の深海滞在を可能にする潜水方法である。潜水中の神経学的症状と心理感覚運動機能を以下の方法で評価した。

  • 震え(トレモール): 利き手の中指に装着したセンサーで測定
  • 手先の器用さ: ペグボードテストにより評価
  • 計算力: 2分間の計算問題の正答数で評価
  • 視覚選択反応時間: ランダムに提示される赤または緑の光に対するボタン押し反応時間で評価

これらの評価は、深度150m、270m、400m、450m、500mの圧縮期と、460m、400m、320m、290mの減圧期に行う予定だったが、作業上の優先事項のため、一部の深度でのみ実施された。各深度での測定は午前10時から12時の間に行われた。

研究結果

  • HPNSの神経学的症状は中等度のみだったが、心理感覚運動テストにより水素の麻酔効果が検出された。
  • 震えは3名の被験者(グループ2)で発生し、400mで平均35%増加したが、450-500mでは減少した。減圧時には再び増強し、320mで75%増加した。
  • 手先の器用さは270mで11%、500mで19%低下し、減圧時の回復は限定的だった。
  • 計算力は500mで40%低下したが、減圧時には回復した。
  • 視覚選択反応時間は潜水中のどの深度でもむしろ向上した。
  • 被験者は、海底油田施設の接続作業という潜水の主目的を無事達成した。

Appendix(用語解説)

  • ヘリオックス: ヘリウムと酸素の混合ガス。深海潜水で使用される。
  • 高圧神経症候群(HPNS): 高圧環境下で発生する中枢神経系の変化。吐き気、震え、疲労、知的・精神運動機能の低下などの症状を示す。
  • 飽和潜水: 体内の不活性ガス分圧を周囲圧と平衡させた状態での潜水。長時間の深海滞在を可能にする。

論文情報

タイトル

Psychophysiological reactions in humans during an open sea dive to 500 m with a hydrogen-helium-oxygen mixture(水素-ヘリウム-酸素混合ガスを用いた500mの深海潜水中のヒトの心理生理学的反応)

引用元

Abraini, J. H., Gardette-Chauffour, M. C., Martinez, E., Rostain, J. C., & Lemaire, C. (1994). Psychophysiological reactions in humans during an open sea dive to 500 m with a hydrogen-helium-oxygen mixture. Journal of applied physiology (Bethesda, Md. : 1985), 76(3), 1113–1118. https://doi.org/10.1152/jappl.1994.76.3.1113

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公開日:2024/04/20
最終更新日:2026/02/11
目次
  1. 3分で読める詳細解説
    1. 結論
    2. 研究の背景と目的
    3. 研究方法
    4. 研究結果
    5. 論文情報
  2. 専門家のコメント

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公開日:2024/04/20
最終更新日:2026/02/11
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