研究論文
様々な腎臓病の治療における水素分子の臨床的使用と治療メカニズム

様々な腎臓病の治療における水素分子の臨床的使用と治療メカニズム

一言まとめ

糖尿病性腎臓病の発症や進展には、ミトコンドリア機能不全、酸化ストレス、炎症が関与している。水素分子は選択的に活性酸素と反応し、さらに抗炎症作用を持つ。文献レビューから、水素分子がミトコンドリア機能を改善することで、糖尿病性腎臓病の治療に有用である可能性が示唆された。

3分で読める詳細解説

結論

水素は糖尿病性腎臓病の治療に有用な可能性がある。

研究の背景と目的

世界的に糖尿病患者が増加し、その合併症である糖尿病性腎臓病(DKD)も増加傾向にある。DKDは慢性腎臓病の主要な原因であり、末期腎不全に至ることも多い。しかし現在のDKDの治療法は十分ではない。一方、水素分子は活性酸素を選択的に消去する抗酸化物質として注目されている。そこで本総説では、動物モデルやヒトにおける水素分子の腎疾患への効果を調べ、DKDへの治療応用の可能性を探ることを目的とした。

研究方法

PubMedとGoogle Scholarを用いて、1991年4月から2023年9月までの期間で、DKDの病因・現在の治療法、活性酸素の産生と消去、ミトコンドリア機能、腎疾患における活性酸素の関与、動物モデルやヒトの腎疾患に対する水素分子の効果、血管内皮機能への効果などのキーワードで文献検索を行った。

研究結果

  • 動物モデルにおいて、水素分子は腎虚血再灌流障害、移植、薬剤性腎障害、腎結石、腎線維化、敗血症性急性腎障害などを改善した。
  • ヒトの研究では、腹膜透析液や血液透析液に溶存させた水素分子が酸化ストレスを抑制し、透析患者の症状を改善した。
  • 水素分子は、ミトコンドリア機能の改善、抗酸化・抗炎症作用、細胞死の制御、シグナル伝達の調節などの作用機序を介して、腎障害を軽減すると考えられた。
  • DKDの発症・進展には、ミトコンドリア機能不全、酸化ストレス、炎症、細胞死などが関与しており、水素分子はこれらを改善することでDKDの治療に有用な可能性がある。

Appendix(用語解説)

  • 活性酸素: 酸素に由来する反応性の高い分子の総称。過剰になると細胞や組織にダメージを与える。
  • 抗酸化物質: 活性酸素を消去・無毒化することで酸化ストレスから生体を守る物質。
  • 酸化ストレス: 活性酸素の産生と消去のバランスが崩れ、過剰な活性酸素によって引き起こされる様々な障害。

論文情報

タイトル

Clinical Use and Treatment Mechanism of Molecular Hydrogen in the Treatment of Various Kidney Diseases including Diabetic Kidney Disease(糖尿病性腎臓病を含む様々な腎臓病の治療における水素分子の臨床的使用と治療メカニズム)

引用元

Hirano, S. I., Ichikawa, Y., Sato, B., Takefuji, Y., & Satoh, F. (2023). Clinical Use and Treatment Mechanism of Molecular Hydrogen in the Treatment of Various Kidney Diseases including Diabetic Kidney Disease. Biomedicines11(10), 2817. https://doi.org/10.3390/biomedicines11102817

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