年齢が上がるにつれて、私たちの体内では本来持っている機能を失ったり、その働きが弱まったタンパク質が増えてきます。これらの機能を失ったタンパク質を異常タンパク質と呼びます。
異常タンパク質は単に体にとって無用な存在にとどまらず、場合によっては体に害を及ぼすこともあります。たとえば、アルツハイマー病の患者さんの脳にたまるβアミロイドは、この異常タンパク質の一例で、神経細胞を傷つけて記憶や学習能力などの神経系の機能に障害を引き起こします。
加齢によって目のレンズの透明なタンパク質(クリスタリン)が変質し、固まると、レンズが曇って視界がぼやけるようになります。これが白内障の原因です。
近年、パーキンソン病、ハンチントン病、クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオン病)といった多くの神経変性疾患が、変形した異常タンパク質の蓄積によって引き起こされることがわかり、大きな注目を集めています。
これらの目立つ事例以外にも、加齢により細胞の機能に害を及ぼす異常タンパク質が増加し、その結果、細胞の働きが徐々に低下すると考えられています。実際に、加齢に伴い多くの酵素の活性が低下することが確認されています。異常タンパク質の生成には、活性酸素が関与しているとも考えられています。