私たちの血液は大きく分けて2つの部分から成り立っています。一つは「血漿（けっしょう）」という液体部分、もう一つは「血球」という細胞の部分です。血球には、酸素を体の隅々まで運ぶ赤血球、病原体から私たちを守る白血球、そして出血があったときにそれを止める血小板という3種類の重要な細胞が含まれています。
これらの血球細胞は全て、造血幹細胞（ぞうけつかんさいぼう）から生まれます。これらの幹細胞は、私たちの骨の中心部にある「骨髄」と呼ばれる海綿のような組織に存在しており、常に細胞分裂をして新しい血球細胞を作り出しています。分裂の過程で、造血幹細胞は赤血球、白血球、血小板へと成長していくことを「分化」と呼びます。また、造血幹細胞は自分自身を複製する「自己複製」の能力も持っており、これにより骨髄内での幹細胞の数が保たれ、一生涯にわたって私たちの血液を生み出し続けることができます。
通常、造血幹細胞は骨髄の中にいますが、特定の薬剤を使用することでこれらの細胞が骨髄から血液中に移動することもあります。このときの幹細胞を「末梢血幹細胞」と呼びます。さらに、赤ちゃんとお母さんをつなぐへその緒や、胎盤に含まれる血液（さい帯血）にも造血幹細胞があり、これらは移植治療に利用されることがあります。
このように、造血幹細胞は私たちの体の中で非常に重要な役割を果たしており、健康を維持するために不可欠な存在です。
