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【医師監修】水素吸入療法は筋肉痛の予防や改善に効果ある?

【医師監修】水素吸入療法は筋肉痛の予防や改善に効果ある?

《この記事の執筆者》

「久しぶりに良い汗かいた〜」と思った次の日には、筋肉痛で身体中が痛い!
といったことは皆さんもご経験があるかと思います。

筋肉痛は体を動かすと自然に発生し特に体に毒があることでもありませんが、できるなら筋肉痛にならない、早く治る方が嬉しいですよね。

そんな筋肉痛に対して、水素を体に取り入れる水素吸入療法が効果があるとして注目を集めています。

本記事では、水素吸入療法が筋肉痛の予防や改善に効果があるのかについて、これまでの研究データをもとに解説していきます。

筋肉痛のメカニズム

慣れない運動をしたり、体を動かしすぎたりしたあとに、筋肉痛になった経験を誰もがしたことでしょう。まずは筋肉痛のメカニズムを確認してみましょう。

慣れていない運動や遠心性収縮(荷物をゆっくり降ろすような、筋肉の収縮と反対の関節の動きを伴う運動)が多い運動、強度が強かったり時間が長かったりする運動では、筋肉が損傷してしまいます。この損傷があると、筋肉を動かした時に痛みを感じるのです。

筋肉の損傷原因

この損傷には機械的なストレスと生理学的なストレスが原因としてあげられます。1)

機械的なストレスは運動そのものによる損傷で、ロープが摩耗するイメージに近いです。
生理学的なストレスには、酸化ストレス、炎症や代謝(乳酸などの物質の産生)があります。

筋肉痛の治癒

筋肉痛は長くても1週間程度の経過で自然に治ります

運動により損傷を受けた筋肉が適切な栄養補給・休息で修復されることで、より強く太い筋肉へと変わります。これが「筋トレを行うと筋肉が増える」過程です。

水素吸入は筋肉痛の症状を改善する?

水素吸入が筋肉痛の症状を改善するかを直接観察した研究はまだありません。しかし、以下の基礎研究からその可能性を考えることはできます。

運動による酸化ストレスを軽減

山梨大学で行われた研究では、30分間のトレッドミルランニングと計50回のジャンプスクワット、水素ガス吸入の前後で血液中の酸化ストレスや筋肉損傷のマーカー、パフォーマンスがどの程度変わるのかを検討しました2)

この研究では、筋肉損傷のマーカーでは変化はありませんでしたが、水素吸入により尿中8-ヒドロキシデオキシグアノシンという一部の酸化ストレスを軽減し、さらに一部の運動の成績を上げることがわかりました。

運動による炎症を抑制

別の研究では動物実験ではありながら、水素吸入により炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6など炎症を引き起こす物質)の運動による増加を緩やかにしたという結果を示しました3)

上記の研究から、運動で誘発される炎症・酸化ストレスを水素吸入が和らげることは容易に推測できます。炎症や酸化ストレスが少ないということは、生理学的な筋肉の損傷が少ないということであり、筋肉痛の症状を和らげることに期待が持てます。

水素吸入は筋肉痛の症状を予防する?

水素吸入が筋肉痛の症状を予防するかについても、直接的に検証した研究はありません。

前項の研究を見てみると、山梨大学の研究では運動・水素吸入後の測定は水素吸入の10分後に行われました。また、動物実験の方の研究では運動30分での測定です。
それぞれ水素吸入の10分後、30分後と短い間隔での測定で、炎症などのストレスを和らげていたのです。

つまり、水素吸入の効果は運動後の極めて早い時間でも確認できることがわかります。筋肉痛の症状が起こるのは10数時間後からが多いので、水素吸入が炎症などのストレスを和らげることで筋肉痛を予防できる可能性もあると言えます。

【私はこう考える】水素吸入と筋肉痛

水素吸入により筋肉痛を回復もしくは軽減できる可能性があります。筋肉痛は自然に回復するので、普通の生活の中ではそれを待つだけでも良いかもしれません。

しかし、アスリートなど短いスパンでより高いパフォーマンスが求められる場合には、筋肉痛を早く改善することは役立つことでしょう。普段から水素吸入を取り入れることで、トレーニング効率も上がるかもしれません。実際、トレーニング前に水素吸入をすることでトレーニング後の疲労感が減ったという報告もあります4)

また、高齢化に伴いサルコペニアという「筋肉量の減少」が、様々な疾患や生命予後に関わるとして注目されています。サルコペニアの改善のためには、適切な栄養と適切な運動が必要です。水素吸入で運動による筋の損傷を抑えられるのであれば、効率よくサルコペニアを改善できる可能性があります。

運動による恩恵は老若男女問わず全ての人にありますが、過度な運動は時に有害です。水素吸入による筋肉への効果には運動によるメリットを更に大きくし、リスクを軽減できるかもしれません。今はまだ筋肉痛について直接観察・研究をした報告はありませんが、動物や人を対象とした研究は進んでいますので、今後の発展にも注目したいです。

参考文献
  1. Stožer A, Vodopivc P, Križančić Bombek L. Pathophysiology of exercise-induced muscle damage and its structural, functional, metabolic, and clinical consequences. Physiol Res. 2020 Aug 31;69(4):565-598. doi: 10.33549/physiolres.934371. Epub 2020 Jul 16. PMID: 32672048; PMCID: PMC8549894.
  2. Shibayama Y, Dobashi S, Arisawa T, Fukuoka T, Koyama K. Impact of hydrogen-rich gas mixture inhalation through nasal cannula during post-exercise recovery period on subsequent oxidative stress, muscle damage, and exercise performances in men. Med Gas Res. 2020 Oct-Dec;10(4):155-162. doi: 10.4103/2045-9912.304222. PMID: 33380581; PMCID: PMC8092152.
  3. Nogueira JE, Passaglia P, Mota CMD, Santos BM, Batalhão ME, Carnio EC, Branco LGS. Molecular hydrogen reduces acute exercise-induced inflammatory and oxidative stress status. Free Radic Biol Med. 2018 Dec;129:186-193. doi: 10.1016/j.freeradbiomed.2018.09.028. Epub 2018 Sep 19. PMID: 30243702.
  4. Hong Y, Dong G, Li Q, Wang V, Liu M, Jiang G, Bao D, Zhou J. Effects of pre-exercise H2 inhalation on physical fatigue and related prefrontal cortex activation during and after high-intensity exercise. Front Physiol. 2022 Sep 2;13:988028. doi: 10.3389/fphys.2022.988028. PMID: 36117685; PMCID: PMC9478471.

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