研究論文
水素水は酸化ストレスとマクロファージ極性化を調節することにより急性放射線肺炎を軽減する

水素水が急性放射線肺炎を軽減

一言まとめ

放射線肺炎モデルラットに水素水を投与したところ、マクロファージのM1極性化抑制とオートファジー活性化を介して、炎症や酸化ストレスが軽減され、放射線肺炎が改善した。

3分で読める詳細解説

結論

水素水は、放射線肺炎ラットの酸化ストレスを軽減する。

研究の背景と目的

放射線療法は肺がんなどの治療に用いられるが、放射線肺炎などの副作用が問題となる。マクロファージの極性化やオートファジーの調節が放射線肺炎の治療標的として注目されている。本研究は、水素水による放射線肺炎の改善効果とそのメカニズムを探ることを目的とした。

研究方法

7-8週齢の雄性SDラットに15Gyの胸部X線照射を行い、放射線肺炎モデルを作製。照射7日前から1日1回、水素水 (1ml/100g体重) を経口投与した。肺の病理組織学的変化、炎症性サイトカイン、マクロファージ極性化マーカー、酸化ストレス指標、オートファジー関連タンパク質、AMPK/mTOR/ULK1シグナル経路の活性化などを評価した。

研究結果

  • 水素水投与により、放射線肺炎ラットの体重減少と肺係数上昇が抑制され、肺の病理学的損傷が軽減した。
  • 水素水は放射線肺炎で増加したIL-1β、TNF-α、IL-6などの炎症性サイトカインを減少させ、IL-10、TGF-β、IL-4などの抗炎症性サイトカインを増加させた。
  • 放射線肺炎ラットではM1マクロファージが増加し、M2/M1比が低下したが、水素水投与によりM1極性化が抑制され、M2/M1比が上昇した。
  • 水素水は、放射線肺炎で亢進したCOX-2、iNOS、NADPH p67phoxの発現や、ROS、MDA、8-OHdGのレベルを低下させ、酸化ストレス障害を軽減した。
  • 放射線肺炎ラットでは、p62発現増加、LC3-II/LC3-I比低下に示されるオートファジー抑制が見られたが、水素水投与によりオートファジーが活性化された。
  • 放射線肺炎ラットでは、AMPK-αのリン酸化が抑制され、mTORとULK1のリン酸化が亢進したが、水素水投与によりこれらの変化が逆転した。

Appendix(用語解説)

  • マクロファージ:生体防御に関わる免疫細胞の一種。M1極性化により炎症を促進し、M2極性化により抗炎症作用を発揮する。
  • オートファジー:細胞内の不要物を分解・リサイクルする機構。ストレス応答や炎症制御に関与する。
  • AMPK/mTOR/ULK1シグナル経路:オートファジーを制御する主要な細胞内シグナル伝達経路の一つ。

論文情報

タイトル

Hydrogen-rich solution alleviates acute radiation pneumonitis by regulating oxidative stress and macrophages polarization(水素水は酸化ストレスとマクロファージ極性化を調節することにより急性放射線肺炎を軽減する)

引用元

Zhen Yin, Wenjing Xu, Junjun Ling, Lihai Ma, Hao Zhang, Pei Wang, Hydrogen-rich solution alleviates acute radiation pneumonitis by regulating oxidative stress and macrophages polarization, Journal of Radiation Research, 2024, rrae017, https://doi.org/10.1093/jrr/rrae017

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