研究論文
水素吸入療法は筋萎縮性側索硬化症を改善する可能性がある

水素吸入が筋萎縮性側索硬化症(ALS)を改善

一言まとめ

筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者1名に水素吸入療法を行ったところ、下肢の麻痺や筋力低下などの症状が改善し、歩行能力が向上した。水素分子は活性酸素を除去することでALSの進行を抑制する可能性がある。

3分で読める詳細解説

結論

水素吸入療法は、ALSの進行を抑制し症状を改善する可能性のある、副作用の少ない治療法である。

研究の背景と目的

ALSは運動ニューロンが選択的に変性・消失していく難治性の神経変性疾患である。発症メカニズムには活性酸素が関与しているとされ、これまでにも様々な抗酸化物質がALS治療薬の候補として研究されてきたが、いずれも根本的な改善効果は得られていない。一方、水素分子は活性酸素の一種である水酸化ラジカルを選択的に除去することで、慢性炎症を抑制し様々な疾患に効果を発揮する可能性が示唆されている。そこで本論文では、水素吸入療法によるALS症状の改善効果について、実際の症例をもとに考察した。

研究方法

64歳の日本人男性ALS患者1名に対し、水素吸入療法を実施。水素ガス吸入器は水素濃度4〜5%、水素発生量毎分200mLのものを使用し、1日7〜8時間、主に就寝時に吸入した。

研究結果

  • 水素吸入開始から1ヶ月後、左下腿の筋緊張が目に見えて回復。(具体的な数値なし)
  • 2ヶ月後には欧州出張も問題なくこなせるまでに歩行能力が改善。杖は安全のため使用しているが、歩行の困難さは確実に改善した。(具体的な数値なし)
  • 食欲増進、便通の改善、血圧・血糖・肝機能の改善なども見られた。(具体的な数値なし)
  • 水素分子は活性酸素の一種・水酸化ラジカルを水に変換することで、ALS発症の要因となる運動ニューロンのフェロトーシス(鉄依存性細胞死)を抑制し、症状進行を阻害する可能性がある。
  • 本研究は1症例のみの報告だが、今後は多数例での臨床試験により治療効果を確認する必要がある。

Appendix(用語解説)

  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS):運動ニューロン(運動神経細胞)が選択的に変性・消失することで、全身の筋力低下や筋萎縮が進行する神経変性疾患。
  • 活性酸素:酸素分子が電子を受け取ることで生じる反応性の高い酸素種の総称。生体内で過剰に発生すると酸化ストレスとなり、細胞や組織にダメージを与える。
  • 水酸化ラジカル:活性酸素の一種。反応性が非常に高く、生体分子を無差別に攻撃して酸化させる。
  • フェロトーシス:鉄依存性の細胞死。鉄イオンが関与して脂質過酸化が起こることで細胞死が誘導される。ALSの発症メカニズムの1つと考えられている。

論文情報

タイトル

Hydrogen inhalation therapy may ameliorate amyotrophic lateral sclerosis(水素吸入療法は筋萎縮性側索硬化症を改善する可能性がある)

引用元

Ichikawa, Y., Sato, B., Hirano, S., Takefuji, Y., & Satoh, F. (2024). Hydrogen inhalation therapy may ameliorate amyotrophic lateral sclerosis. Medical Gas Research, 14(3), 149-150. https://doi.org/10.4103/2045-9912.390249

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