研究論文
Hydrogen-rich water as a modulator of gut microbiota?(腸内細菌叢の調整因子としての水素水?)

腸内細菌叢の調整因子としての水素水

一言まとめ

水素水が腸内細菌叢に与える影響について、動物実験と人間を対象とした研究結果をレビュー。水素水摂取により腸内細菌のバランスが改善し、腸の健康に好影響を与える可能性が示唆された。

3分で読める詳細解説

結論

水素水は腸内細菌叢を調整し、腸の健康を促進する可能性がある。

研究の背景と目的

水素水は新しい機能性飲料として注目されており、腸内細菌叢への影響が期待されている。本研究では、水素水が腸内細菌叢に与える影響について、これまでの研究結果をレビューし、そのメカニズムと医学的意義を考察することを目的とした。

研究方法

  • 対象:様々な動物モデルおよび1件のヒト臨床試験
  • 試験デザイン:ランダム化比較試験(RCT)を含む異なる研究デザイン
  • 治療内容:水素濃度が異なる水素水を使用し、飲用や経口投与による介入
  • 評価項目:腸内細菌叢の構成、短鎖脂肪酸(SCFA)の生成、腸管バリアの整合性、炎症マーカーなど

研究結果

  • マウス実験では、5日間の水素水(0.80 mM)投与により、放射線誘発性の腸毒性が軽減され、腸上皮の完全性が改善した。
  • 4週間の水素水(0.32 mM)投与により、マウスの盲腸内容物の重量が増加し、プロピオン酸、イソ酪酸、イソ吉草酸などの短鎖脂肪酸の産生が有意に増加した。
  • ブタ実験では、25日間の水素水(0.6 mM)投与により、下痢率が減少し、結腸のブチル酸レベルが上昇した。
  • ヒト試験では、2ヶ月間の水素水(1.5-2.0 L/日)摂取により、腸内細菌叢の多様性と豊富さが増加した。
  • 水素水は、腸内の水素供給を補完し、腸内の水素消費微生物(メタン生成菌や硫酸還元菌など)の増加を促進する可能性がある。
  • 研究の限界として、長期的な大規模多施設試験がまだ行われていないこと、炎症性腸疾患や過敏性腸症候群などの一般的な消化器疾患での効果が未検証であることが挙げられた。

Appendix(用語解説)

  • 水素水:水素分子を溶解させた水
  • 短鎖脂肪酸:腸内細菌が食物繊維を発酵させて生成する脂肪酸
  • 腸内細菌叢:腸内に生息する微生物の集団

論文情報

タイトル

Hydrogen-rich water as a modulator of gut microbiota?(腸内細菌叢の調整因子としての水素水?)

引用元

Ostojic, S. M. (2021). Hydrogen-rich water as a modulator of gut microbiota? Journal of Functional Foods, 78, 104360. https://doi.org/10.1016/j.jff.2021.104360

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