研究論文
水素はマウスにおいて抗がん剤シスプラチンによる腎毒性を軽減する

水素はマウスにおいて抗がん剤シスプラチンによる腎毒性を軽減する

一言まとめ

水素分子は抗がん剤シスプラチンによる腎毒性を軽減し、シスプラチンの抗腫瘍活性は損なわないことがマウスを用いた研究で示された。

3分で読める詳細解説

結論

水素分子はシスプラチンによる副作用を効率的に緩和し、シスプラチン治療中の患者のQOLを改善する可能性がある。

研究の背景と目的

シスプラチンは幅広い腫瘍に対して有効な抗がん剤だが、副作用、特に腎毒性により投与量が制限される。シスプラチンによる腎毒性は酸化ストレスが関与しており、著者らは以前、水素分子が効率的な抗酸化物質として作用することを報告している。本研究では、水素が酸化ストレスを減少させることでシスプラチンの副作用を軽減できるかを調べた。

研究方法

  • マウスにシスプラチン(17mg/kg)を腹腔内投与し、1%水素ガスを吸入させた。
  • 水素ガス吸入の代わりに、水素水(0.8mMの水素を含む水)を自由摂取させ、酸化ストレス、死亡率、体重減少への効果を調べた。
  • 腎毒性は、腎の形態変化、血清クレアチニンとBUN値で評価した。
  • in vitroとin vivoでシスプラチンの抗腫瘍活性に対する水素の影響も調べた。

研究結果

  • 水素ガス吸入はシスプラチンによる死亡率と体重減少を改善し、腎毒性を軽減した。
  • ラットの胃内に水素水を投与すると、3分後に血中に水素が検出された。
  • 水素水の自由摂取でも、シスプラチンによる酸化ストレス、死亡率、体重減少が減少した。
  • 水素水は腎でのアポトーシス減少を伴う形態変化を改善し、血清クレアチニンとBUNで評価した腎毒性を軽減した。
  • in vitroおよびin vivoで、水素はシスプラチンの抗腫瘍活性を損なわなかった。

Appendix(用語解説)

  • シスプラチン: 白金を含む抗がん剤。DNAと結合し、腫瘍細胞のDNA複製を阻害することで抗腫瘍効果を発揮する。
  • 酸化ストレス: 体内で活性酸素種が過剰に生成され、抗酸化システムとのバランスが崩れた状態。タンパク質や脂質、DNAを酸化的に傷つける。
  • BUN: 血中尿素窒素。腎機能低下で上昇する。

論文情報

タイトル

Molecular hydrogen alleviates nephrotoxicity induced by an anti-cancer drug cisplatin without compromising anti-tumor activity in mice(水素分子はマウスにおいて抗腫瘍活性を損なうことなく、抗がん剤シスプラチンによる腎毒性を軽減する)

引用元

Nakashima-Kamimura, N., Mori, T., Ohsawa, I., Asoh, S., & Ohta, S. (2009). Molecular hydrogen alleviates nephrotoxicity induced by an anti-cancer drug cisplatin without compromising anti-tumor activity in mice. Cancer chemotherapy and pharmacology64(4), 753–761. https://doi.org/10.1007/s00280-008-0924-2

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