一言まとめ
地域在住の成人51名に4週間毎日30分の水素吸入を行ったところ、酸化ストレスおよびアルツハイマー病関連の認知機能マーカーが有意に改善し、安全性も確認された。
3分で読める詳細解説
結論
水素吸入は認知機能改善に有効で安全性も高い。
研究の背景と目的
アルツハイマー病(AD)は世界的に患者が増加しており、その初期症状の発見や進行予防が課題となっている。従来の診断や治療法は侵襲的であったり、副作用が大きかったりすることから、非侵襲的で安全な治療法として水素吸入が注目されている。本研究は、地域在住の成人を対象として、水素吸入が認知機能の改善や関連バイオマーカーの変化に及ぼす影響を調査することを目的として実施された。
研究方法
研究結果
Appendix(用語解説)
- ROS(活性酸素種):細胞を傷つけ老化や病気を引き起こす可能性がある酸素の反応性が高い形態。
- BDNF(脳由来神経栄養因子):脳神経細胞の成長や生存を促進し、記憶や学習機能に関与するタンパク質。
- アミロイドベータ(Aβ):脳内に蓄積し、アルツハイマー病の発症と関連すると考えられるタンパク質。
- タウ蛋白質(Tau):神経細胞の構造維持に重要なタンパク質だが、異常にリン酸化(p-tau)されると脳に蓄積し、神経細胞死を引き起こす。
- BDNF(脳由来神経栄養因子):神経細胞の成長や回復を促進する物質で、認知機能や記憶の維持に重要な役割を持つ。
- VEGF-A(血管内皮増殖因子A):血管の成長を促進するタンパク質で、脳や神経系の維持にも重要とされる。
- IL-6(インターロイキン-6):炎症や免疫反応を調整するタンパク質。
- MCP-1(単球走化性タンパク質-1):炎症部位に免疫細胞を呼び寄せるタンパク質。
論文情報
タイトル
Effects of Hydrogen Gas Inhalation on Community-Dwelling Adults of Various Ages: A Single-Arm, Open-Label, Prospective Clinical Trial(地域在住の成人に対する水素吸入の影響:単一群、非盲検前向き臨床試験)
引用元
Rahman, M. H., Bajgai, J., Sharma, S., Jeong, E. S., Goh, S. H., Jang, Y. G., Kim, C. S., & Lee, K. J. (2023). Effects of Hydrogen Gas Inhalation on Community-Dwelling Adults of Various Ages: A Single-Arm, Open-Label, Prospective Clinical Trial. Antioxidants (Basel, Switzerland), 12(6), 1241. https://doi.org/10.3390/antiox12061241