研究論文
Inhalation of Molecular Hydrogen, a Rescue Treatment for Noise-Induced Hearing Loss(分子状水素の吸入:騒音性難聴の救済治療)

水素吸入の騒音性難聴に対する効果

一言まとめ

騒音によって引き起こされる聴力損失に対して、水素吸入が効果的な保護手段となる可能性があることが確認された。特に、外有毛細胞(OHC)の保存と聴覚閾値の改善が顕著だった。

3分で読める詳細解説

結論

水素吸入は騒音による聴力損失を軽減し、外有毛細胞の損失を抑える可能性がある。

研究の背景と目的

騒音は人間の獲得性難聴の主な原因であり、その影響で内耳の有毛細胞やシナプスが酸化ストレスや炎症反応によって損傷を受けることが知られている。これまでに、様々な抗酸化作用を持つ物質が騒音誘発性難聴(NIHL)の治療に使用されてきたが、臨床的には効果的な治療法は確立されていない。そこで本研究では、水素吸入が騒音による聴覚損傷から内耳を保護する効果を持つかどうかを検証することを目的とした。

研究方法

  • 対象:正常聴力のモルモット48匹
  • 処置:2時間の広帯域ノイズ(115±2 dB SPL)暴露後、2%水素または空気を1時間吸入(0.5 L/min)
  • 群分け:水素吸入群と空気吸入群、各3時点(即時、1週間後、2週間後)で評価
  • 評価項目:聴性脳幹反応(ABR)、有毛細胞数、シナプトフィジン免疫反応性、Iba1発現

研究結果

  • ABR閾値の改善: 水素吸入群では、特に2週間後において、12.5 kHzと20 kHzで有意にABR閾値の改善が見られた(p < 0.05)。
  • 外有毛細胞の保存: 騒音曝露後2週間で、水素吸入群は外有毛細胞(OHC)の損失が顕著に少なかった(p < 0.001)。
  • シナプトフィジンの保存: シナプトフィジン免疫反応性が、IHC下部において水素吸入群で有意に強く保たれていた(p < 0.01)。
  • 免疫反応の強化: Iba1免疫反応性が水素吸入群で有意に強く、マクロファージの活性化が示唆された(p < 0.05)。

Appendix(用語解説)

  • 広帯域騒音: 広範囲の周波数を含む音。
  • 聴性脳幹反応(ABR): 聴覚刺激に対する脳幹の反応を測定する方法。
  • 外有毛細胞(OHC): 聴覚を増幅する内耳の細胞。
  • シナプトフィジン:シナプス小胞に存在するタンパク質。シナプスの健全性の指標となる。
  • Iba1:ミクログリア/マクロファージに発現するタンパク質。炎症反応の指標となる。

論文情報

タイトル

Inhalation of Molecular Hydrogen, a Rescue Treatment for Noise-Induced Hearing Loss(分子状水素の吸入:騒音性難聴の救済治療)

引用元

Fransson, A. E., Videhult Pierre, P., Risling, M., & Laurell, G. F. E. (2021). Inhalation of Molecular Hydrogen, a Rescue Treatment for Noise-Induced Hearing Loss. Frontiers in cellular neuroscience15, 658662. https://doi.org/10.3389/fncel.2021.658662

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