精神・神経系
【医師監修】水素吸入療法はパーキンソン病の予防・改善に効果はある?

【医師監修】水素吸入療法はパーキンソン病の予防・改善に効果はある?

《この記事の執筆者》

パーキンソン病は脳に異常をきたし身体の動きに支障をきたす病気で、日本の65歳以上の高齢者では100人に1人が患っているとされる病気です。

高齢者によくみられる病気ですが、若い人でも発症するリスクもあります。

そんなパーキンソン病に対して効果的なアプローチとして水素ガスを体内に取り込む水素吸入療法が近年注目されています。

本記事では、水素吸入療法がパーキンソン病の予防や改善に役立つのかについて研究データをもとに考察していきます。

パーキンソン病について

パーキンソン病は、50歳以上の方が多く発症する神経の病気です。年齢を重ねるごとに発症する割合は増えていき、日本では65歳以上の高齢者の100人に1人がパーキンソン病を患っているとされています1)2)

まずは、パーキンソン病の特徴について詳しく見てみましょう。

パーキンソン病の主な症状や原因

パーキンソン病は脳の黒質という部位の神経細胞が変性することで、ドーパミンが減少していく病気です。ドーパミンは運動の機能を調節する物質であり、黒質の神経細胞で作られています。ドーパミンが減ると運動機能の調節に異常が生じ、体の動かしにくさ、震えなどの症状が引き起こされます。

また、筋肉が硬くなったり、転びやすくなったりするのも特徴であり、意欲や記憶力の低下など精神的な症状も現れることがあります。その他、睡眠障害、自律神経障害による発汗や便秘などさまざまな症状が引き起こされます。

パーキンソン病を発症した方の黒質の神経細胞にはαシヌクレインというたんぱく質が蓄積することが分かっており、このたんぱく質が神経細胞の減少に関与していると考えられています。しかし、現在のところ、どのようなメカニズムでαシヌクレインが蓄積するか、明確には解明されていません1)2)

パーキンソン病の標準的な治療

パーキンソン病の標準的な治療方法は薬物療法と手術に分けられます。

薬物療法では、不足したドーパミンを補う薬物を中心に投与が行われます。現在では効果的な薬物が多く開発されているため、パーキンソン病患者の寿命は健康な方の寿命とほぼ変わらなくなっています。

また、パーキンソン病では電極を留置して脳を刺激する手術が行われることがあります。2000年には保険適応となっていますが、薬物療法に比べて合併症のリスクがあるため手術をするかどうかは慎重な判断が必要です1)

水素吸入はパーキンソン病の予防・改善に効果はある?

パーキンソン病は治療薬の開発が進められ、現在では症状を上手く抑えながら生活している方も多くいます。

一方で、パーキンソン病の根本的な治療法は現在でも解明されていません。また、パーキンソン病を発症すると転倒しやすくなることから、骨折など日常生活の中で注意しなければならないことがたくさんあります。

パーキンソン病の予防や更なる治療法の研究されており、近年では水素吸入療法にもパーキンソン病の予防・改善に効果があるとの研究結果が発表されています。

パーキンソン病に対する水素吸入療法の可能性を示した研究結果を見てみましょう。

水素吸入のパーキンソン病予防の可能性

水素吸入のパーキンソン病予防の可能性

2009年には、パーキンソン病を発症させたラットに対して水素水(水素ガスを溶かした水)を投与したところ、黒質の変性の発症や進行を予防できたとの研究結果が報告されました※3)。つまり、水素水はパーキンソン病の発症と進行を抑える効果を持つことが示唆されたのです。

パーキンソン病の明確な発症メカニズムは解明されていませんが、黒質への酸化ストレスが発症や悪化を引き起こすとの説があります。水素水には有害な活性酸素を体内から取り除く効果があるため、黒質の神経細胞の変性を抑制できたと考えられます。

水素吸入療法は、水素ガスを吸い込んで体内に取り入れることができるため水素水と同様の効果を期待できる可能性があるでしょう。

水素吸入でパーキンソン病の症状改善の可能性

水素吸入でパーキンソン病の症状改善の可能性

2013年にはパーキンソン病患者を対象として研究により、水素はパーキンソン病の症状を改善する可能性があると報告されました4)

48週間に渡って一日1000mlの水素水を摂取した群(9人)と通常の水を摂取した群(8人)の「統一パーキンソン病評価スケール」を比較したところ、水素水を摂取した群はスコアの改善が認められ、通常の水を摂取した群は悪化したことが明らかになっています。

このようなスコアの改善も水素による活性酸素の除去がパーキンソン病の進行を抑えて症状を改善させたのではないかと考えられました。

限られた人数での研究結果であるため、水素がパーキンソン病の症状を改善するとは言い切れませんが、水素を体内に取り込む水素吸入療法にも一定の効果が期待できる可能性があるでしょう。また、48週間という短期間の投与で症状の改善が認められたことも大きな発見となりました。

【私はこう考える】水素吸入療法とパーキンソン病

水素は私たちの体にとって有害な活性酸素を取り除いてくれる効果があり、2007年頃から病気の治療や美容の維持に応用され始めています。実際にさまざまな研究から、病気を予防したり改善したりする効果を示唆する結果が発表されており、新たな治療法の一つとして注目されています。

パーキンソン病もその一つであり、活性酸素による酸化ストレスを除去することで黒質の神経細胞の変性を抑制する働きが示唆されました。水素吸入療法もパーキンソン病の予防と改善に役立つ可能性が期待できます。

パーキンソン病は効果が高い薬物の研究開発が進められ、一定の症状は抑えられるようになっています。しかし、治療法にはまだまだ開発の余地があるでしょう。今回ご紹介した研究結果が新たな治療法の開発に役立つことを期待します。

水素吸入は自宅でも手軽にでき、体への負担もすくないため今から始めたいという方もいるかもしれません。水素吸入は健康や美容の維持が期待できるためパーキンソン病の予防や補助的な改善法の一つとして試してみるのもよいでしょう。

しかし、すでにパーキンソン病と診断されている方は標準的な治療を優先して行うのが大前提となります。医師の指示に従って治療を継続しながら、あくまで補助的な手段として水素吸入を試してください。

参考文献

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