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【医師監修】水素吸入療法は前立腺がんの予防や改善に役立つ?

【医師監修】水素吸入療法は前立腺がんの予防や改善に役立つ?

《この記事の執筆者》

前立腺がんは男性特有のがんで、日本全国で年間10,000人が発症すると言われています。

また、男性での罹患率は部位別で見た場合に1位となっており、男性では最も発症しやすいがんといえます。1)

本記事では、水素吸入が前立腺がんの予防や改善に役立つのかについて、最新研究をもとに考察していきます。

前立腺がんってどんな病気?

前立腺がんとは、男性だけにある前立腺という臓器に発生するがんのことです。

前立腺がんの発生は年々増加しており、現在では男性が最も発症しやすいがんとなっています。
一年間で前立腺がんを発症する方は全国で10,000人程度とされていますが、前立腺がんは早い段階で発見できると治る見込みが非常に高いのも特徴です1)

まずは、前立腺がんの特徴について詳しく見てみましょう。

前立腺がんの主な原因

日本では前立腺がんを発症する人が年々増えています。前立腺がんの明確な発症メカニズムは解明されていませんが、肉の過剰摂取、野菜不足など食の欧米化、高齢化、運動不足が大きな要因と考えられています2)

前立腺がんの主な症状

前立腺がんは早期段階では、ほどんど自覚症状がありません。しかし、進行してがんの病変が大きくなると周囲の尿道を圧迫して尿が出にくい、尿の回数が増える、尿が出切らない、といった排尿の異常を引き起こすようになります。また、さらに進行すると尿に血液が混ざるようになり、骨などに転移していきます2)

前立腺がんの標準的な治療方法

前立腺がんの治療方法は進行度や体のコンディションによって大きく異なります3)

基本的に早期の段階であれば前立腺を摘出するための手術、放射線治療、ホルモン療法などを行います。

前立腺がんは、男性ホルモンの一種であるアンドロゲンの作用を受けて進行する特徴があるため、手術や放射線治療と共にアンドロゲンの働きや量を抑えるためのホルモン療法を行うのが一般的です。

がんが進行している場合

進行して他の臓器や骨に転移がある場合は、放射線治療、ホルモン療法、抗がん剤治療などを行いますが、手術をすることは通常ありません。

なお、前立腺がんは進行が緩やかであるため、ごく早期の場合には治療をせずに経過観察を継続していくケースもあります。

水素吸入は前立腺がんの予防・改善に効果はある?

前立腺がんは、適切な治療を行えば5年生存率は95%を超えています。転移があるステージⅣでは60.1%となりますが、早期段階で発見できた場合は100%の5年生存率です4)

しかし、前立腺がんは手術をすると性機能低下などの合併症が生じることも少なくありません。また、ホルモン療法が効かないタイプの前立腺がんは治療が難しく、予防方法や新たな治療法の開発が進められています。

さまざまな研究の結果、現在では活性酸素が前立腺がんの発症や進行に関わっている可能性が示唆されています。具体的な研究結果を見てみましょう。

水素吸入による前立腺がんの予防の可能性

前立腺がんの明らかな原因は分かっていませんが、上述した食の欧米化が挙げられます。その他にも、座ったままの時間が長く運動不足になることも前立腺がんの要因になると指摘されています。2013年には、酸化ストレスを軽減する運動が前立腺がんの発症予防に関係する可能性を示唆する研究結果が明らかになりました5)

また、2019年には抗酸化作用がある物質を与えたラットによる研究結果が発表されました6)。抗酸化作用がある物質を摂取したラットは摂取していないラットに比べて前立腺内の活性酸素量が低下。さらに前立腺がんの発症が抑制されたことが明らかになっています。

この2つの研究結果から、活性酸素の抑制は前立腺がんの発症を予防する効果が期待できることが示唆されました。

水素吸入は体内に発生した活性酸素を除去する効果があるため、前立腺がん発症予防に役立つ可能性があると言えるでしょう。前立腺がん予防と活性酸素の関係についてのさらなる解明と応用が期待されます。

水素吸入が前立腺がんの進行を抑える可能性

前立腺がんは適切な治療を受ければ治る見込みが高いがんです。しかし、一部の前立腺がんは現在行われている治療に効果を示さず、短期間で進行して転移を引き起こすケースがあることも知られています。このような前立腺がんを「去勢抵抗性前立腺がん」と呼びます。

2010年に報告された研究結果によれば、前立腺内の酸化ストレスが慢性的に高くなると去勢抵抗性前立腺がんになりやすくなる可能性が示唆されました7)

去勢抵抗性前立腺がんは、前立腺がんの進行に関わるアンドロゲンと結合する「アンドロゲン受容体」というたんぱく質が多くなることが主な原因と考えられています。

2011年には、酸化ストレスがこのアンドロゲン受容体を活性化させるという研究結果が発表されており、酸化ストレスが去勢抵抗性前立腺がんの発症に関わっていることが強く疑われる結果となりました8)

現在のところ、去勢抵抗性前立腺がんの有効な治療方法は確立されていません。そのため、通常の前立腺がんが去勢抵抗性前立腺がんに変化するのを防ぐ治療法の研究が重ねられており、酸化ストレスの軽減も大きな要因と考えられています。

つまり、活性酸素による酸化ストレスを軽減できる水素吸入も前立腺がんの治療に応用できる可能性があると言えるのです。

【私はこう考える】水素吸入と前立腺がん

前立腺がんは、日本人男性がなりやすいがんの第一位です。しかし、前立腺がんは適切な治療をすれば治る見込みは高く、発見時に転移が生じていなければ、5年生存率は95%を超えています。

しかし、前立腺がんのなかには、治療をしても効果がなく最終的に転移を引き起こす去勢抵抗性前立腺がんというタイプがあります。去勢抵抗性前立腺がんは確立した治療法がなく、予防や治療方法の研究が続けられています。

多くの研究の結果、前立腺内での酸化ストレスが前立腺がんの発症や進行に関わっている可能性が示唆されました。去勢抵抗性前立腺がんへの変化も酸化ストレスが原因の一つとされています。

これらの結果から、酸化ストレスを引き起こす活性酸素を除去する水素吸入は前立腺がんの予防や治療に役立つ可能性があると考えられます。もちろん、まだ研究段階であるため確実な効果があるとは言えません。しかし、水素吸入は体に害を及ぼすこともないため、予防や治療のために試してみるのもよいでしょう。

ただし、確実な予防、治療方法とは言えませんので、水素吸入を試した場合でもがん検診や医師から指示された治療は必ず受けてください。

参考文献
  1. 公益財団法人日本対がん協会『がんの部位別統計』
  2. 東京女子歯科大学病院『前立腺がんとは』
  3. がん情報サービス『前立腺がん治療』
  4. がん情報サービス『院内がん登録生存率集計結果閲覧システム』
  5. Amélie Rebillard, Luz Lefeuvre-Orfila, Jordan Gueritat, Josiane Cillard, Prostate cancer and physical activity: Adaptive response to oxidative stress, Free Radical Biology and Medicine, Volume 60, 2013, Pages 115-124, ISSN 0891-5849, https://doi.org/10.1016/j.freeradbiomed.2013.02.009. (https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0891584913000622)
  6. Aya Naiki-Ito, Taku Naiki, Hiroyuki Kato, Keitaro Iida, Toshiki Etani, Yuko Nagayasu, Shugo Suzuki, Yoriko Yamashita, Shingo Inaguma, Masaya Onishi, Yasuhito Tanaka, Takahiro Yasui, Satoru Takahashi, Recruitment of miR-8080 by luteolin inhibits androgen receptor splice variant 7 expression in castration-resistant prostate cancer, Carcinogenesis, Volume 41, Issue 8, August 2020, Pages 1145–1157, https://doi.org/10.1093/carcin/bgz193
  7. Shiota M, Yokomizo A, Tada Y, Inokuchi J, Kashiwagi E, Masubuchi D, Eto M, Uchiumi T, Naito S. Castration resistance of prostate cancer cells caused by castration-induced oxidative stress through Twist1 and androgen receptor overexpression. Oncogene. 2010 Jan 14;29(2):237-50. doi: 10.1038/onc.2009.322. Epub 2009 Oct 5. PMID: 19802001.
  8. Kashiwagi E, Shiota M, Yokomizo A, Itsumi M, Inokuchi J, Uchiumi T, Naito S. Downregulation of phosphodiesterase 4B (PDE4B) activates protein kinase A and contributes to the progression of prostate cancer. Prostate. 2012 May 15;72(7):741-51. doi: 10.1002/pros.21478. Epub 2011 Aug 30. PMID: 22529021.

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