研究論文
水素吸入が免疫機能を抑制する可能性

水素吸入が免疫機能を抑制する可能性

一言まとめ

中年の健康な参加者20名に対し、1日2時間または4時間、2週間の高流量水素吸入を行ったところ、濾胞ヘルパーT細胞、ヘルパーおよび細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラー細胞とナチュラルキラーT細胞、ガンマデルタT細胞の割合が減少し、免疫機能の抑制が示唆された。

3分で読める詳細解説

結論

健康な中年者への高流量水素吸入は、免疫機能を抑制する可能性がある。

研究の背景と目的

水素吸入療法は様々な疾患治療において安全性と有効性が臨床的に示されているが、研究によって使用される流量は大きく異なる。水素の安全濃度に上限はないため、本研究では高濃度ではなく高流量の水素吸入が免疫機能に与える影響を検証した。

研究方法

  • 2019年10月から2020年1月に、31〜60歳の健康な成人20名を対象とした自己対照研究を実施。
  • 参加者を無作為に2群に分け、1日2時間(10名)または4時間(10名)、2週間の水素吸入を行った。
  • 水素66.7%、酸素33.3%の混合ガスを流量3L/分で鼻カニューレより吸入。
  • 水素吸入の前後でTリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、γδ T細胞の割合をフローサイトメトリーで測定。

研究結果

  • T細胞: 総T細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、調節性T細胞に有意な変化は見られず。
  • Tヘルパー細胞(Th)と細胞傷害性T細胞(Tc):
    • 2時間グループでTh1細胞の割合が減少(p<0.05)。
    • 4時間グループでTh17細胞の割合が減少(p<0.05)。
    • Tc1細胞とTc2細胞が2時間グループで減少(p<0.05)。
    • Tc17細胞が4時間グループで減少(p<0.05)。
  • T濾胞ヘルパー細胞(Tfh):
    • 2時間グループでTfh1とTfh2細胞の割合が減少(p<0.05)、Tfh17細胞の割合が増加(p<0.001)。
  • NKおよびNKT細胞:
    • NKT細胞の割合が4時間グループで減少(p<0.05)。
    • NK細胞の割合は有意な変化なし。
    • 殺傷NK細胞と抗ウイルスNK細胞の割合が減少(p<0.05)。
  • γδ T細胞:
    • 総γδ T細胞の割合に有意な変化はなし。
    • Vδ1細胞の割合が2時間グループで減少(p<0.05)。
    • 抗ウイルスVδ2細胞が4時間グループで有意に減少(p<0.01)。

Appendix(用語解説)

  • 濾胞ヘルパーT細胞(Tfh): B細胞の活性化を助けるヘルパーT細胞の一種
  • ナチュラルキラー(NK)細胞: ウイルス感染細胞やがん細胞を認識して破壊する細胞
  • ナチュラルキラーT(NKT)細胞: NK細胞とT細胞の特性を持つ免疫細胞。
  • ガンマデルタ(γδ)T細胞: 自然免疫と獲得免疫の橋渡し的な働きをするT細胞の一種

論文情報

タイトル

High-flow hydrogen inhalation might suppresses the immune function of middle-aged participants: a self-controlled study(中年参加者の免疫機能を抑制する可能性のある高流量水素吸入: 自己対照研究)

引用元

Chen, J. B., Kong, X. F., & Mu, F. (2021). High-flow hydrogen inhalation might suppresses the immune function of middle-aged participants: a self-controlled study. Medical gas research11(1), 12–17. https://doi.org/10.4103/2045-9912.310054

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