一言まとめ
ブレオマイシン誘発性肺線維症ラットモデルに対し、水素吸入治療を行ったところ、TGF-β1の発現抑制、酸化ストレスの軽減、上皮間葉転換の阻害を介して、肺の線維化病変が改善した。
3分で読める詳細解説
結論
水素吸入は、TGF-β1の発現抑制、酸化ストレスの軽減、上皮間葉転換の阻害により、ブレオマイシン誘発性肺線維症を改善する。
研究の背景と目的
特発性肺線維症は原因不明の進行性線維性間質性肺疾患で、急速に死に至る。その病態形成には、TGF-β1の過剰発現、酸化ストレス亢進、上皮間葉転換の促進が関与している。一方、水素分子は抗酸化作用を有し、様々な臓器障害を軽減することが知られている。そこで本研究は、ブレオマイシン誘発性肺線維症モデルラットに対する水素吸入の効果とそのメカニズムを探ることを目的とした。
研究方法
研究結果
Appendix(用語解説)
- ブレオマイシン:抗がん剤の一種。肺線維症の動物モデル作製に用いられる。
- TGF-β1:サイトカインの一種。線維化を促進する作用を持つ。
- 上皮間葉転換:上皮細胞が間葉系細胞の性質を獲得する現象。線維化の原因となる。
- コラーゲン:細胞外マトリックスの主要構成成分。線維化組織に過剰に蓄積する。
- ヒドロキシプロリン:コラーゲンに特異的に多く含まれるアミノ酸。線維化のマーカーとなる。
論文情報
タイトル
Hydrogen inhalation attenuated bleomycin-induced pulmonary fibrosis by inhibiting transforming growth factor-β1 and relevant oxidative stress and epithelial-to-mesenchymal transition(ブレオマイシン誘発性肺線維症に対する水素吸入の抑制効果:TGF-β1、関連する酸化ストレス、上皮間葉転換の阻害を介して)
引用元
Gao, L., Jiang, D., Geng, J., Dong, R., & Dai, H. (2019). Hydrogen inhalation attenuated bleomycin-induced pulmonary fibrosis by inhibiting transforming growth factor-β1 and relevant oxidative stress and epithelial-to-mesenchymal transition. Experimental physiology, 104(12), 1942–1951. https://doi.org/10.1113/EP088028
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