《この記事の執筆者》
2011年国立大学医学部卒。初期臨床研修を経て総合診療医として勤務しながら、さまざまな疾患の患者さんに向き合う治療に従事。医療行政に従事していた期間もあり、精神福祉、母子保健、感染症、がん対策、生活習慣病対策などに携わる。結核研究所や国立医療科学院での研修も積む。2020年からは医療法人ウェルパートナーで主任医師を勤める。
「ダイエットを頑張っているのに、なかなか体重が落ちない…」
そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
実は、誤ったダイエット方法では、リバウンドしてしまうだけでなく、健康を損なうこともあるのです。
このブログ記事では、肥満の原因から健康的なダイエットのやり方、水素吸入療法に秘められたダイエット効果の可能性について詳しく解説していきます。
正しい知識を身につけて、理想の体型を目指しましょう!
肥満の原因と健康的なダイエットの方法とは?
肥満とは、単に体重が標準よりも重いことを指すのではありません。
体脂肪が過剰に蓄積することを指し、糖尿病や高血圧など生活習慣病のリスクが高い状態のことです。
肥満を予防、解消するため日頃からダイエットに励んでいる方も多いでしょう。
しかし、誤ったダイエットをすると健康を損なうこともあります。
まずは、肥満とダイエットのやり方について詳しく見てみましょう。
肥満の原因
肥満は、医学的にBMIが25以上の状態になることを指します。
BMIは体重(kg)÷身長(m2)で算出される数値です。
例えば、身長170cmで体重65kgなら、65÷(1.7×1.7)=約22.5となります。
肥満は、飲食によって摂取するエネルギーの方が消費するエネルギーよりも多くなることで発症します。
具体的には、カロリーと摂り過ぎといった食生活の乱れ、運動不足によるエネルギー消費量の低下などが挙げられます。
そのほか、ストレス、睡眠不足、生活リズムの乱れなども肥満の要因です。
遺伝的に体脂肪が蓄積しやすくなる方もいますが、肥満のほとんどは生活習慣の影響によるものと考えられています。
ダイエットのやり方
肥満の予防、解消のためダイエットをしたことがある方は多いでしょう。
ダイエットには摂取カロリーの制限と運動による消費カロリーの増大が必要となります。
健康を害さないためにも以下のことに注意しましょう。
- 有酸素運動と無酸素運動をバランスよく取り入れる
- 食生活を見直し、過度な糖分、脂質、塩分を避ける
- 食物繊維を多く摂る
- 生活リズムを整える
肥満を放置すると…
肥満を放っておくと、上述したように糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病のリスクが高くなります。
それに伴い、がん、脳卒中、心筋梗塞など命に関わる病気の発症率リスクも高まるため注意が必要です。
水素吸入療法はダイエットに効果的?
肥満は万病のもとです。
肥満の状態が続くと、知らない内に生活習慣病を発症していたり、ある日突然命に関わる病気を発症したりするケースも少なくありません。
肥満を予防、解消するにはダイエットが必要です。
しかし、ダイエットは決して簡単にできることではなく、挫折してしまう方も多いでしょう。
近年の研究結果では、水素分子もダイエットに役立つ可能性を示唆する研究結果が報告されています。
具体的な内容を見てみましょう。
水素水は食欲を抑制する働きがある?
2023年に、水素水(水素ガスが溶けた水)が食欲を抑える働きを持つ可能性を示唆する研究結果が報告されました1)。
この研究では、BMIが27~31程度の肥満患者5人が12週間に渡って水素水を飲んだ後の食欲調節に関わる脳内物質の変化が調べられました。その結果、12週間の水素水摂取後には、食欲を刺激する脳内物質が減少したことが明らかになっています。
水素吸入療法がダイエット効果を持つ可能性
今回の研究結果から、水素分子は食欲を抑制し、ダイエットをサポートする働きを持つことが示唆されました。
水素吸入療法は水素水を飲むよりも効率的に多くの水素を取り入れることが可能です。そのため、水素吸入療法にもダイエット効果がある可能性は期待できるでしょう。
この研究は調査対象人数が少なく、まだ確実な効果があると言える段階ではありません。
しかし、現在のところ肥満治療に使用される食欲抑制作用を持つ薬は副作用が強く、さまざまなリスクがあります。
水素吸入療法は体への負担がほとんどありません。さらなる解明で新たなダイエット法や肥満治療に応用されることを期待します。
水素水は肥満を改善して生活習慣病を予防する?
2017年に、水素水が体脂肪を減らし、インスリンの働きを高める可能性を示唆する研究結果が報告されました2)。
この研究では、10人の肥満女性に水素水を飲んでもらい、体重や体脂肪率の変化、インスリン値の変化が調べられました。
その結果、水素水を飲んだ女性は飲んでいない女性より有意に体脂肪率が低下したことが明らかになっています。
また、血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きも高まったとされています。
さらに2020年には、メタボリック症候群の男女60人が24週間に渡って水素水を飲用したところ、BMI、腹囲、血中脂質、血糖値が有意に改善したとの研究結果も報告されています3)。
水素吸入療法はダイエット効果を持ち、生活習慣病を予防する可能性
これらのの研究結果から、水素水は肥満を改善し、脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病を予防する効果を持つことが示唆されました。
水素吸入療法にも同様のダイエット効果があると考えられるでしょう。
また、肥満による生活習慣病を予防する効果もあるため今後の肥満治療への応用が期待されます。
【私はこう考える】水素吸入とダイエット
ダイエットには、摂取カロリーを制限して消費カロリーを増やすことが大切です。
しかし、ダイエットは単に体重を落とせばよいわけではありません。
体に蓄積した脂肪を減らすことも大切です。
ダイエットにはさまざまな方法がありますが、長続きしない方も少なくないでしょう。
そこで、薬物療法など新たなダイエット方法を見出すための研究が続けられています。
今回ご紹介した3つの研究結果から水素吸入療法には体重、体脂肪を減らすダイエット効果がある可能性が示唆されました。
また、肥満によって引き起こされる脂肪肝や糖尿病を改善する効果も期待されます。
まだ研究段階のため、確実に効果があると断言することはできませんが、水素吸入療法は美容や健康に良い効果がたくさんあります。
ダイエットをはじめとした美容、健康効果を期待して始めてみるのもよいでしょう。
参考文献
- Korovljev, D., Ostojic, J., Todorovic, N., & Ostojic, S. M. (2023). Molecular hydrogen modulates brain glutamate/GABA-glutamine cycle in overweight humans. Archives of medical science : AMS, 19(4), 1151–1153. https://doi.org/10.5114/aoms/162938
- Korovljev, D., Trivic, T., Drid, P., & Ostojic, S. M. (2018). Molecular hydrogen affects body composition, metabolic profiles, and mitochondrial function in middle-aged overweight women. Irish journal of medical science, 187(1), 85–89. https://doi.org/10.1007/s11845-017-1638-4
- LeBaron, T. W., Singh, R. B., Fatima, G., Kartikey, K., Sharma, J. P., Ostojic, S. M., Gvozdjakova, A., Kura, B., Noda, M., Mojto, V., Niaz, M. A., & Slezak, J. (2020). The Effects of 24-Week, High-Concentration Hydrogen-Rich Water on Body Composition, Blood Lipid Profiles and Inflammation Biomarkers in Men and Women with Metabolic Syndrome: A Randomized Controlled Trial. Diabetes, metabolic syndrome and obesity : targets and therapy, 13, 889–896. https://doi.org/10.2147/DMSO.S240122