一言まとめ
アトピー性皮膚炎モデルマウスに25日間水素水を飲ませたところ、炎症に関与するサイトカインの濃度が低下し、症状が改善された。
3分で読める詳細解説
結論
水素水の飲用により、アトピー性皮膚炎の炎症反応が抑制され、症状が緩和される可能性がある。
研究の背景と目的
アトピー性皮膚炎は、遺伝的・環境的要因などが複雑に絡み合う炎症性の皮膚疾患である。サイトカインのバランス異常がその病態に深く関与している。水素には抗炎症作用があることが知られているが、アトピー性皮膚炎に対する水素水飲用の効果は不明だった。そこで本研究では、マウスのアトピー性皮膚炎モデルを用いて、水素水の症状改善効果とサイトカインへの影響を調べた。
研究方法
NC/Ngaマウスにダニ抗原を塗布してアトピー性皮膚炎を誘発し、精製水または水素水を自由飲水させた。25日間の飲水後、血清中のサイトカイン濃度をLuminex法により測定し、比較した。
研究結果
水素水を飲んだマウスでは、精製水を飲んだマウスに比べて以下の変化が見られた。
- IL-10、GM-CSF、IL-12p70、TNF-αなどの炎症性サイトカインが有意に減少。
- 一方、IL-2、IL-4、IL-5、IFN-γには明らかな影響はなかった。
- アトピー性皮膚炎の皮膚症状が改善。
- これらの結果から、水素水の飲用がアトピー性皮膚炎の病態改善に寄与する可能性が示唆された。
- ただし、IL-10の作用や一部のサイトカインへの影響については、さらなる検討が必要である。
Appendix(用語解説)
- サイトカイン:免疫反応を調節するタンパク質の総称。炎症の促進や抑制など多彩な作用を持つ。
- IL-○○、GM-CSF、TNF、IFNなど:サイトカインの種類。Th1型、Th2型に大別される。
- NC/Ngaマウス:アトピー性皮膚炎のモデル動物。ダニ抗原塗布により皮膚炎を生じる。
- Luminex法:微量の検体中に含まれる複数の物質を同時に定量できる方法。
論文情報
タイトル
The Drinking Effect of Hydrogen Water on Atopic Dermatitis Induced by Dermatophagoides farinae Allergen in NC/Nga Mice(NC/Ngaマウスにおけるコナヒョウヒダニ抗原によって誘発されたアトピー性皮膚炎に対する水素水飲用の効果)
引用元
Ignacio, R. M., Kwak, H. S., Yun, Y. U., Sajo, M. E., Yoon, Y. S., Kim, C. S., Kim, S. K., & Lee, K. J. (2013). The Drinking Effect of Hydrogen Water on Atopic Dermatitis Induced by Dermatophagoides farinae Allergen in NC/Nga Mice. Evidence-based complementary and alternative medicine : eCAM, 2013, 538673. https://doi.org/10.1155/2013/538673
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