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水素吸入器の仕組み徹底解剖!電解槽で水素を作るプロセスとは?

水素吸入器の仕組み徹底解剖!電解槽で水素を作るプロセスとは?

《この記事の執筆者》

水素吸入器がどのようにして水素を生成しているかご存知でしょうか?

「水素吸入はしてるけど、水素吸入器が動いているメカニズムは知らない。」という方も多いのではないでしょうか?

水素吸入器が水素を発生する際に重要になるのは、電解槽という装置です。水素吸入器の「心臓」とも言えるこの電解槽がどのように機能するか理解することで、水素吸入の仕組みがより鮮明になります。

本記事では、電解槽の構造や電気分解のプロセスについてわかりやすく解説します。これから水素吸入を始めたい方や、装置選びに悩んでいる方に役立つ情報を提供しますので、ぜひ参考にしてください。

電解槽とは

電解槽とは

電解槽(でんかいそう)とは、電気の力を使って水を分解し、水素と酸素を発生させる装置です。電解セルとも呼ばれたりします。

特に水素吸入器では水素を生成するために欠かせない部分となり、吸入器の「心臓」とも言えます。

電解槽の役割

電解槽の主な役割は、上述したように水を分解して純粋な水素を取り出すことです。

水素は、その高い抗酸化力や健康効果で注目されていますが、水素吸入器ではこの水素を効率的に吸入できる形で供給する必要があります。

電解槽は、水(H₂O)に電流を流すことで化学反応を引き起こし、水素(H₂)を取り出す仕組みを持っています。この過程を「電気分解」と呼びます。

電解槽の構造と主なパーツ

すいかつねっとインフォグラフィック「電解槽の構造と主なパーツ」

電解槽の内部には、いくつかの重要なパーツが含まれており、それぞれが特定の役割を担っています。

電解槽は主に以下の4つのパーツから構成されています。

電解槽の構成パーツ
  1. 電極
  2. 隔膜
  3. 電解液
  4. 外装

それぞれ見ていきましょう。

パーツ①:電極(アノードとカソード)

電極は、電解槽の中心的な役割を果たす部分で、アノード(陽極)は酸素を生成し、カソード(陰極)は水素を生成します。

この電極を通して水に電流を流し、電気分解が行われます。

パーツ②:隔膜(ダイアフラム)

隔膜とは、水素と酸素を分けるための薄い膜です。

水を分解すると水素と酸素が同時に生成されますが、この膜があることで、水素と酸素を分けて取り出すことが可能です。

この隔膜についてはいくつかの種類がありその一つがPEM膜と呼ばれるものです。隔膜の違いについてはのちの「電気分解の種類とその違い」で詳しく説明します。

パーツ③:電解液

電解液は、特定の種類の電解槽で、電気の伝導性を高めるために使用されます。

たとえば、アルカリ性の水溶液(例えば水酸化カリウムなど)が電解液として使用され、電流の流れを助け、電気分解を促進します。

一方で、PEM膜を用いた電解槽の場合、こういった電解液を必要とせず、純水のみで電解反応を起こせます。この点についても、のちの「電気分解の種類とその違い」で詳しく説明します。

隔膜の種類によって、電解液が必要かどうかは変わるんだな〜と思っておいてください。

パーツ④:外装

電解槽全体を保護する外部構造です。強固で安全な素材が使用され、内部の部品を外部の影響から守ります。

これら4つが電解槽の基本構造であり、それらが一体となり効率的で安全な水素生成を行います。

電解槽が水素を発生する仕組み

電解槽が水素を発生する仕組み

では、上述した電解槽を使って水素吸入器がどのようにして水素ガスを発生させているのかについて解説していきます。

少し化学的な内容がありますが、できる限りわかりやすく解説していきます。

水素吸入器の中には「原子状の水素を出している」と謳っているものがありますが、そのメカニズムは謎であり、ここでは一般的な水素吸入機から出る『分子状水素(H2)』について説明していきます。
原子状水素について、詳しく知りたい方は以下をご参考ください。
>> 水素吸入はHHOガスが良い?それともH2ガスが良い?科学的根拠を徹底解説!

電気分解における基本的な化学反応

まずは、基本的な化学反応について簡単に説明します(中学校の理科の授業を少し思い出してください。笑)。

水(H₂O)は、電流が加わることで化学反応を起こし、水素(H₂)と酸素(O₂)に分解されます。このプロセスを電気分解と呼びます。

水(H₂O)に電気を加えるだけで水素と酸素に分かれるなんて、不思議ですよね。私を含め、化学に疎い人からするとびっくりするかと思いますが、このシンプルな仕組みが電解槽で水素を発生させる基本です。

電解槽の内部で何が起きているのか?

それでは、電解槽の内部で具体的にどのようなプロセスが起きているのかを、アルカリ水を用いた電解槽の例で見てみましょう。

通常の水は電気を通しにくい性質を持つため、より電気を通りやすくするためにアルカリ水が用いられます。

電気分解による水素の発生プロセスは主に以下の通りです。

水素が発生するプロセス
STEP
電極に電流を流す

電解槽には2つの電極があります。1つは陽極(アノード)、もう1つは陰極(カソード)です。陽極は電子を引き寄せる力が働いており、陰極は電子を供給する力があります。これらに電流を流すことで化学反応が始まります。

STEP
陰極での反応)(水素が発生)

電極に電流が流れることで、まず陰極で電子が供給されます。その際、電子を受け取った水(水分子:H₂O)は、水素(H₂)と水酸化物イオン(OH⁻)に分解されます。

STEP
陽極での反応し、酸素と水に

その後、水酸化物イオンが陽極に引き寄せられ、電子を放出して水(H₂O)と酸素(O₂)に変わります。

つまり、電極に電流を流すことで、陰極側で水素が発生し、陽極側で酸素が発生するというシンプルなプロセスが行われています。この反応により発生した水素が、私たちが用いている水素吸入器から排出されています。

言葉だけではわかりづらいかと思いますので、実際に水を電気分解している以下の動画がわかりやすいかと思います。本当に上記のことが起こるのか確かめたい方は、ぜひ動画をご覧ください。

電気分解の種類とその違い

ここまでで、電解槽でどのように水素が発生しているのかについて、なんとなくでもおわかりいただけたかと思います。

しかし、上記の「電解槽の構造」の部分でお話ししたように、電解槽に用いられる隔膜によって電気分解のプロセスが異なります。ここでは、水素吸入器で用いられる代表的な2種類の電気分解方式について解説していきます。

水素吸入器に用いられる電気分解には、主に以下の2つのタイプがあります。

電気分解の方式
  • アルカリ水電解
  • 固体高分子電解(PEM)

それぞれ解説していきます。

電気分解パターン①:
アルカリ水電解

電気分解パターン①:
アルカリ水電解

アルカリ水電解では、アルカリ性の水(例:水酸化カリウム)を電解液として使用します。このアルカリ水が、電流を流すための導電性を高め、効率的に電気分解が行われます。

上述した「電解槽が水素を発生する仕組み」での説明や先ほどの動画での方法がこれに当たります。

プロセスを再度お伝えすると、陰極側で電子を受け取った電子を受け取った水(水分子:H₂O)が、水素(H₂)と水酸化物イオン(OH⁻)に分解され、水素ガスが発生します。

その水素ガスを排出口から出すことで、カニューレなどを通って私たちの体に運ばれます。

アルカリ水電解のメリット

アルカリ水電解のメリットとしては、電極に安価な金属材料(ステンレスなど)を使用できるため、製造コストが比較的低いことが挙げられます。

また、水温を上げたり高濃度のアルカリ水を使用することで反応効率を向上させることが可能です。

アルカリ水電解のデメリット

一方で、安価な金属材料を電極に用いる場合、腐食しやすいことから定期的なメンテナンスが必要なこと、水へ金属類が溶け出すリスクなどがあります。

この点については、以下の電極の材質についての解説記事で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。
>> 水素吸入器の電極を徹底解説!ステンレス vs チタン・プラチナ、どちらを選ぶべき?

アルカリ水電解を採用している水素吸入器

このアルカリ水電解を採用している水素吸入器として代表的なのは、ヘリックスジャパンの水素吸入器になります。

こちらは、市販の精製水ではなく専用水を用いる必要があることや、年1回の頻繁なメンテナンスからも、上記の特徴が当てはまっていることがお分かりいただけるかと思います。

電気分解パターン②:
固体高分子形水電解(PEM形水電解)

電気分解パターン②:
固体高分子形水電解(PEM形水電解)

固体高分子形水電解は、PEM(Proton Exchange Membrane)という隔膜を用います。

※イオン交換膜とも呼ばれます。

PEM膜は水素イオンのみを通す特性を持ち、PEM形水電解ではこれを利用して水の電気分解を行います。

PEM形水電解による水素発生プロセスは主に以下の通りです。

PEM形水電解の流れ
STEP
陽極での反応(水素イオン発生)

電極に電流が流れた際に、まず陽極で水が電子を放出して、水素イオン(H+)と酸素になります。

STEP
陰極での反応(水素ガス発生)

陽極で発生した水素イオンがイオン交換膜を通過して陰極へ移動します。

その後水素イオンは、電子を受け取ることで水素ガス(H₂)に変化します。

アルカリ水電解と同様に、陰極で水素、陽極で酸素が発生しますが、それまでの過程が異なることがお分かりいただけるかと思います。

文章だけではわかりづらいかと思うので、一覧の流れを解説してくれている以下の動画でご確認ください。

上記の動画内の水素発生プロセスをまとめると以下のような感じになります。

固体高分子形水電解(PEM)を使った水素吸入器で水素が発生する仕組み|すいかつねっとインフォグラフィック

PEM形水電解のメリット

PEM形水電解のメリットとしては、純水が使えることが挙げられます。イオン交換膜を用いることで、アルカリ水のように電解質を必要としません。

また、高純度の水素が生成できること、腐食性が低く比較的寿命が長いこともメリットとして挙げられます。

純度が高くなるのは、固体高分子膜(PEM)が水素イオン(H⁺)だけを選択的に通過させる性質を持つことで、酸素やその他の不純物をほとんど混入させずに高純度の水素を生成できるためです。

PEM形水電解のデメリット

一方、電極が水に溶けないように対酸性材料が必要となり、コストがかかります。

一般的には、チタンを基材としてプラチナまたはイリジウムでコーティングされているものが用いられます。

PEM形水電解を採用している主な水素吸入器

PEM電解槽は実に多くの水素吸入器で用いられていますが、代表的なのはドクターズマンのH2JI1です。

また、リタエアーや水素はうすのSH-150などもPEM電解槽を用いています。

アルカリ水電解とPEM形水電解はどちらが良い?

アルカリ水電解槽とPEM電解槽は、それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが良いと一概には言えない部分があります。ニーズやどういった面を重視するのかによって、最適な方法は変わってくるでしょう。

以下に、これまで説明したそれぞれの電解方式のポイントをまとめてみました。

項目アルカリ水電解PEM形水電解
使用する水アルカリ水純水(精製水)
電極材料ステンレスチタン+プラチナ
チタン+イリジウム
水素純度
コスト
耐腐食性
発生効率
(濃度や温度に依存)
メンテナンス頻度
主な水素吸入器ヘリックスジャパンなどドクターズマン、リタエアーなど

一概にどちらが優れているとは言えませんが、コスト面で優れているのは「アルカリ水電解」で、水素純度や高い耐久性を持つのは「PEM電解槽」が適していると言えるでしょう。

電解槽のウェットセルとドライセルの違いは?

電解槽には、主に「ウェットセル」と「ドライセル」という2つのタイプがあります。水素吸入器についてよく調べられている方は聞いたことがあるかと思います。

ただし、これは一般的に呼ばれているのではなく、私が調べた限りだとmy motherを製造・販売するMiwa Kankyoが主に取り上げている区別と思われます。

ここでは、それぞれの特徴と違いを解説していきます。

電解槽の種類①:
「ウェットセル」とは?

すいかつねっとのインフォグラフィック「電解槽のウェットセルの構造」を解説

ウェットセルは従来型の電解槽で、上記イラストのように電極が直接電解液に浸されているタイプです。水素と酸素を分けて排出する場合は、間に隔膜があり、合わせて出す場合は隔膜はありません。

上述したアルカリ水電解は、多くの場合ウェットセルの電解槽を用いています。

ウェットセルの特徴

ウェットセルの特徴は主に以下の通りです。

ウェットセルの特徴
  • 電極が液体に完全に浸される
  • 構造がシンプル
  • 冷却が容易

ウェットセルのメリット・デメリット

ウェットセルのメリットとしては、製造コストが安い、構造がシンプルなことが挙げられます。

一方で、電解液が常に電極に触れているため、腐食が進みやすいこと、またそれによるメンテナンスが定期的に必要なことがデメリットです。

電解槽の種類②:
「ドライセル」とは?

すいかつねっとのインフォグラフィック「電解槽のドライセルの構造」を解説

ドライセルは、電極自体が液体(水や電解液)に浸かっていない構造を持つタイプの電解槽です。電解液はプレートの間に流れ込むように設計されており、効率的に電気分解を行います。

上述したPEM電解槽は一般的にドライセルの構造を持っています。

ドライセルの特徴

ドライセルの主な特徴は以下の通りです。

ドライセルの特徴
  • 電極が電解液に直接浸らない
  • 電極の腐食が進みにくい
  • コンパクトな設計が可能

ドライセルのメリット・デメリット

ドライセルのメリットとしては、電極が電解液に直接触れないため、腐食が少なく、メンテナンス頻度が減ります。また、電極の寿命が長くなり、装置全体の耐用年数も延びます。

反対に、製造コストが高いことや設計が複雑な点はデメリットとして挙げられます。

ウェットセルとドライセルはどちらが良い?

ウェットセルとドライセルのどちらが良いのかについては、一概には言えません。

こちらも電気分解の方式と同じく、それぞれのニーズや重要視する観点に合わせた選択が大切になるでしょう。

以下にそれぞれの電解槽のポイントをまとめてみました。

項目ウェットセルドライセル
電極の配置水に浸る水に浸らない
メンテナンス頻繁に必要少ない
コスト低い高い
腐食進みやすい進みにくい

単純な分け方としては、シンプルで低コストさを重視する場合はウェットセルが、耐腐食性やメンテナンスの負担軽減を重視するならドライセルが適していると言えるでしょう。

まとめ:電解槽の構造や水素発生プロセスはシンプル

今回は、水素吸入機の心臓である「電解槽」について詳しく解説してきました。

水素吸入器では基本的に水の電気分解によって水素が発生しており、そのプロセスが行われているのが電解槽になります。

隔膜の種類によって電気分解のプロセスが異なり、またそれに伴いそれぞれの方式のメリット・デメリットもあります。

何が良い電気分解方式なのかは一概には言えませんが、それぞれの特徴をしっかりと把握し、自身のニーズに合った電解槽を採用している水素吸入器を選ぶようにしてください。

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