研究論文
水素治療の承認は近いのか?

水素治療の承認は近いのか?

一言まとめ

水素ガス吸入は、虚血再灌流障害や進行がんなどの重篤な疾患に対して、副作用が少なく多様な治療効果を発揮する可能性がある。

3分で読める詳細解説

結論

水素は強力な抗酸化作用と多様な生理活性作用を持ち、虚血再灌流障害や進行がんなど、様々な疾患の予防と治療に応用できる可能性がある。

研究の背景と目的

虚血再灌流障害は、臓器移植や心筋梗塞、脳梗塞など多くの臨床現場で問題となっている。一方、水素分子は選択的に細胞毒性の高い活性酸素種を除去する抗酸化物質として注目されている。本総説では、虚血再灌流障害に対する水素の治療効果と、進行がんなどその他の疾患への応用可能性について概説する。

研究方法

本論文は総説のため、特定の研究方法はない。これまでに報告された動物実験や臨床研究のエビデンスを幅広くレビューしている。

研究結果

  • 水素吸入は、脳梗塞や心筋梗塞、臓器移植などの虚血再灌流障害を軽減する(複数の動物実験)。
  • 水素吸入は、心停止後症候群の神経学的予後を改善する(ラット・ブタでの実験、およびヒトでのパイロット試験)。
  • ステージIV大腸がん患者に対し、水素吸入は無増悪生存期間と全生存期間を延長した(日本での臨床研究)。
  • ステージIII・IVの進行がん患者82名に水素吸入を行ったところ、80名中57.5%で腫瘍が消失・縮小、あるいは悪化せず安定した(中国での臨床研究)。
  • 水素の作用メカニズムとして、活性酸素の除去、炎症性サイトカインの抑制、フェロトーシス(鉄依存性の細胞死)の抑制、シグナル伝達の調節などが示唆されている。
  • 水素吸入の重篤な副作用は報告されていない。

Appendix(用語解説)

  • 虚血再灌流障害:臓器や組織の血流が途絶えた後に血流が再開した時に起こる障害。再灌流時に大量の活性酸素が発生することが原因とされる。
  • 活性酸素種:スーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシルラジカルなど、反応性の高い酸素由来の分子。生体内で過剰に産生されると酸化ストレスを引き起こす。
  • フェロトーシス:鉄依存性の細胞死。脂質の過酸化が引き金となる。

論文情報

タイトル

Will the hydrogen therapy be approved shortly?(水素治療は近く承認されるだろうか?)

引用元

Ohta S. (2020). Will the hydrogen therapy be approved shortly?. Annals of translational medicine8(6), 264. https://doi.org/10.21037/atm.2020.03.70

専門家のコメント

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あやたい 先生

水素分子は選択的に細胞毒性の高い活性酸素を除去する抗酸化物質として注目されています。本総説の著者である太田成男博士は、2007年に世界で初めて水素の選択的抗酸化作用を発表した水素治療のパイオニアです。本論文では、虚血再灌流障害や進行がんなど、様々な重篤な疾患に対する水素治療の有効性と安全性について最新の知見がまとめられています。副作用が少なく多様な治療効果が期待できる水素治療は、近い将来、様々な疾患の予防と治療に役立つ可能性があります。

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