一言まとめ
マウスに水素ガスを吸入させた後にセルレイン誘発性急性膵炎を発症させたところ、膵臓の病理学的変化や炎症が軽減し、膵臓組織中のHsp60タンパク質発現量が増加した。
3分で読める詳細解説
結論
水素ガス吸入前処置は、セルレイン誘発性急性膵炎マウスモデルにおいて膵炎の進行を抑制する可能性がある。
研究の背景と目的
急性膵炎(Acute Pancreatitis, AP)は高い罹患率と致死率を伴う急性炎症性疾患であり、膵臓内での消化酵素(アミラーゼやリパーゼなど)の異常活性化や炎症性サイトカインの関与が主因と考えられている。しかし、その詳細メカニズムや効果的な予防・治療法の確立は十分には進んでいない。
一方で、水素吸入による抗酸化・抗炎症効果はさまざまな疾患モデルで報告されている。本研究では、カエルレイン投与によって急性膵炎を誘発したマウスにおいて、事前の水素吸入が膵組織の損傷をどの程度防止し、さらに膵Hsp60(Heat Shock Protein 60)の発現にどのような影響を与えるのかを検討した。
研究方法
研究結果
Appendix(用語解説)
- 急性膵炎(Acute Pancreatitis, AP):膵臓での消化酵素の異常活性化や炎症により、浮腫や壊死が生じる急性疾患。重症化すると多臓器不全などを引き起こすことがある。
- Hsp60(Heat Shock Protein 60):ミトコンドリア内在性の分子シャペロン。タンパク質の正しいフォールディングや細胞内輸送を助ける。膵臓では酵素顆粒の合成・分泌に関わる可能性が示唆されている。
- GSH(グルタチオン):細胞内で抗酸化作用を持つ物質。GSH濃度が高いほど酸化ストレスが低いと判断される。
- MDA(マロンジアルデヒド):脂質過酸化の過程で生成される物質。酸化ストレスの指標として用いられる。
- カエルレイン(Caerulein):コレシストキニン(CCK)類似作用をもつペプチドホルモン。過剰投与すると膵酵素分泌が亢進し、マウスなどで急性膵炎モデルを作製できる。
論文情報
タイトル
Pre-inhalation of hydrogen-rich gases protect against caerulein-induced mouse acute pancreatitis while enhance the pancreatic Hsp60 protein expression(セルレイン誘発性マウス急性膵炎モデルにおいて、水素ガス吸入前処置は膵臓Hsp60タンパク質発現を増加させつつ膵炎に対して保護作用を示す)
引用元
Li, K., Yin, H., Duan, Y., Lai, P., Cai, Y., & Wei, Y. (2021). Pre-inhalation of hydrogen-rich gases protect against caerulein-induced mouse acute pancreatitis while enhance the pancreatic Hsp60 protein expression. BMC gastroenterology, 21(1), 178. https://doi.org/10.1186/s12876-021-01640-9
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