研究論文
水素分子が子宮内膜がん細胞のアポトーシスを誘導

水素分子が子宮内膜がん細胞のアポトーシスを誘導

一言まとめ

子宮内膜がん細胞株を用いたRNA-seq解析により、水素分子治療はTNF/NF-κBシグナル経路を介してアポトーシスを誘導することが示唆された。

3分で読める詳細解説

結論

水素分子はTNF/NF-κBシグナル伝達経路の活性化を介して子宮内膜がん細胞のアポトーシスを引き起こす。

研究の背景と目的

子宮内膜がんは米国で最も一般的な婦人科悪性腫瘍だが、肥満や糖尿病などの慢性炎症が発がんリスクを高める。一方、水素分子は抗炎症作用を有することが知られている。そこで本研究は、水素分子の子宮内膜がんに対する作用とそのメカニズムをRNA-seqにより探索することを目的とした。

研究方法

  • 3種類のヒト子宮内膜がん細胞株(Ishikawa、HEC1A、AN3CA)を通常培地または水素水含有培地で培養
  • RNA-seqにより、水素分子処理群と非処理群の遺伝子発現プロファイルを比較
  • GO解析とKEGG解析により、水素分子処理で変動する遺伝子群とシグナル経路を同定
  • FITC Annexin VおよびAnnexin V-APC/PI二重染色によりアポトーシス率を評価
  • ウェスタンブロットにより、NF-κB経路の活性化とアポトーシス関連タンパク質の発現を検証

研究結果

  • 水素分子処理により、TNF/NF-κB経路、アポトーシス経路、ネクロプトーシス経路、フェロトーシス経路の活性化が示唆された。
  • 特にHEC1AとAN3CAでTNF/NF-κB経路の活性化が顕著だった。
  • 水素分子処理により、NF-κB、リン酸化IκBα、IκBα、cleaved caspase-1の発現上昇が確認された。
  • 水素分子処理により、3種全ての細胞株でアポトーシス率が有意に上昇した(Ishikawa: 4.60% vs 2.60%、HEC1A: 6.53% vs 4.60%、AN3CA: 3.50% vs 0.10%)。
  • 抗酸化剤のNACを前処理すると、水素分子誘導性のアポトーシスが抑制された。
  • 放射線照射後のHEC1A細胞でも、水素分子処理によりアポトーシス率が上昇した。

Appendix(用語解説)

  • RNA-seq: 次世代シークエンサーを用いて網羅的に遺伝子発現を解析する手法
  • GO解析: 生物学的プロセス、細胞内局在、分子機能の観点から遺伝子をグループ化して機能を推定する
  • KEGG解析: 代謝経路やシグナル伝達経路など、既知の生物学的経路に遺伝子をマッピングして機能を推定する
  • アポトーシス: プログラムされた細胞死の一種。がん細胞のアポトーシス誘導は、がん治療の重要な標的の一つ
  • TNF経路: 炎症性サイトカインであるTNFαを介したシグナル伝達経路
  • NF-κB経路: 炎症や免疫、細胞増殖、アポトーシスなどに関与する転写因子NF-κBを介したシグナル伝達経路

論文情報

タイトル

RNA sequencing analysis reveals apoptosis induction by hydrogen treatment in endometrial cancer via TNF and NF-κB pathways(水素分子治療を受けた子宮内膜がん細胞におけるRNA-seq解析は、TNFおよびNF-κB経路を介したアポトーシスの誘導を明らかにする)

引用元

Yang, Y., Liu, Y. P., Bao, W., Chen, J. S., & Xi, X. W. (2020). RNA sequencing analysis reveals apoptosis induction by hydrogen treatment in endometrial cancer via TNF and NF-κB pathways. Translational cancer research9(5), 3468–3482. https://doi.org/10.21037/tcr.2020.03.71

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