研究論文
Consumption of water containing a high concentration of molecular hydrogen reduces oxidative stress and disease activity in patients with rheumatoid arthritis: an open-label pilot study(高濃度の水素分子を含む水の摂取はリウマチ患者の酸化ストレスと疾患活動性を低減する:オープンラベル・パイロット研究)

水素水がリウマチ患者の酸化ストレス軽減と症状の改善

一言まとめ

関節リウマチ患者20名に4〜5ppmの高濃度水素水を4週間飲用させたところ、酸化ストレスマーカー(尿中8-OHdG)が有意に減少し、疾患活動性(DAS28スコア)も改善した。

3分で読める詳細解説

結論

高濃度水素水を飲むことでリウマチの疾患活動性と酸化ストレスを大きく抑制する可能性が示唆された。

研究の背景と目的

関節リウマチ(RA)は関節の炎症による骨や軟骨の破壊を特徴とする慢性炎症性疾患であり、人口の約1%が罹患している。病因は不明だが、ヒドロキシルラジカルなどの活性酸素種(ROS)が病態に関与していると考えられている。近年、水素分子(H₂)がヒドロキシルラジカルを選択的に除去することが示されており、また高濃度の水素を含む水を調製する方法も開発された。本研究では、水素水の摂取がRAにおける酸化ストレスを軽減し、従来の治療を補完する可能性を検証することを目的とした。

研究方法

  • 対象者:関節リウマチ患者22名(途中辞退2名を除き、最終的に20名が研究を完了)
  • 介入方法:4〜5 ppmの高濃度水素水を毎日530ml、4週間摂取
  • 研究デザイン:12週間のオープンラベル試験、クロスオーバーデザイン(4週間の水素水摂取→4週間の休止期間→4週間の水素水摂取)
  • 評価方法:
    • 尿中8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG):酸化ストレスのバイオマーカー
    • 疾患活動性スコア(DAS28):CRPレベルを用いた関節炎の活動性指標
    • 抗環状シトルリン化ペプチド抗体(ACPA):RAの自己抗体マーカー

研究結果

  • 主要な数値
    • 尿中8-OHdG:
      • 飲用前: 平均約9.99ng/mg Cr → 4週間後: 約8.56ng/mg Cr(14.3%低下, p<0.01)
      • ウォッシュアウト後もベースラインより低い値を維持(約8.31ng/mg Cr)
      • 再度4週間飲用後は約8.48ng/mg Cr(最初の値から15.1%低下, p<0.01)
    • DAS28(疾患活動性):
      • 最初の4週間飲用で3.83 → 3.02(p<0.01)に低下
      • ウォッシュアウトでやや上昇するものの、ベースラインより低い値を維持(3.02 → 2.83)
      • 再飲用後は2.83 → 2.26(p<0.01)まで低下
      • 20名中16名が有意な改善を示し、9名が寛解(DAS28 <2.3)に到達
  • 考察
    • 高濃度水素水の飲用により、酸化ストレス指標(8-OHdG)が一貫して低下し、疾患活動性も改善した
    • ヒドロキシルラジカルの選択的除去が、炎症性サイトカイン(TNF-αなど)の産生抑制につながった可能性
    • 早期RA(ACPA陰性)の患者5名は全員が寛解に達し、4名は症状消失を報告
  • 研究の限界
    • オープンラベルデザインかつサンプル数が小規模で、プラセボ対照群が設定されていない
    • 患者背景や既存治療の継続状況にばらつきがある
    • 継続効果のメカニズム解明には追加の長期・対照比較試験が必要

Appendix(用語解説)

  • 関節リウマチ(RA):自己免疫疾患の一種で、関節の炎症により骨や軟骨が破壊される慢性疾患。
  • ヒドロキシルラジカル:活性酸素種の一種で、細胞や組織に酸化的損傷を引き起こす強力な酸化剤。
  • 8-OHdG(8-ヒドロキシデオキシグアノシン):DNAの酸化損傷によって生じる物質で、体内の酸化ストレスレベルを示すバイオマーカー。
  • DAS28:28個の関節を評価する関節リウマチの疾患活動性スコア。値が低いほど病状が安定していることを示す。
  • ACPA(抗環状シトルリン化ペプチド抗体):関節リウマチに特異的な自己抗体で、早期診断や予後予測に用いられる。
  • TNF-α(腫瘍壊死因子アルファ):炎症反応や免疫調節に関わるサイトカインの一種。多く分泌されると炎症を増強し、関節リウマチの悪化要因となる。

論文情報

タイトル

Consumption of water containing a high concentration of molecular hydrogen reduces oxidative stress and disease activity in patients with rheumatoid arthritis: an open-label pilot study(高濃度の水素分子を含む水の摂取はリウマチ患者の酸化ストレスと疾患活動性を低減する:オープンラベル・パイロット研究)

引用元

Ishibashi, T., Sato, B., Rikitake, M., Seo, T., Kurokawa, R., Hara, Y., Naritomi, Y., Hara, H., & Nagao, T. (2012). Consumption of water containing a high concentration of molecular hydrogen reduces oxidative stress and disease activity in patients with rheumatoid arthritis: an open-label pilot study. Medical gas research2(1), 27. https://doi.org/10.1186/2045-9912-2-27

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