水素吸入による転移性胆嚢がんの縮小：症例報告

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結論

水素吸入療法は、転移性胆嚢がん患者の腫瘍縮小と症状緩和を示した。

研究の背景と目的

胆嚢がん（GBC）は、中国における消化器系がんの中で6番目に多く、がんによる死亡原因の6番目を占める（セクション「INTRODUCTION」）。特に転移性胆嚢がん（mGBC）は手術不可能であることが多く、5年生存率はわずか5%と低い。従来の治療法が限られる中で、水素吸入療法ががん治療における新しい選択肢として注目されている。本研究の目的は、水素吸入療法が進行した胆嚢がん患者に対してどのような効果を持つかを検証することである。

研究方法

• 患者: 72歳の女性、転移性胆嚢がん（再発および肝臓、膵臓周囲リンパ節への転移）
• 既存治療: 電気穿孔（IRE）によるアブレーションと経口テガフール化学療法が無効
• 水素吸入療法: 67%水素と33%酸素を含むガス（3L/分）を1日3-6時間吸入
• サポート治療: 週1-2回の輸血、抗感染症治療、消化管減圧、静脈栄養

研究結果

• 腫瘍サイズの変化:
  • 開始1か月後: 腫瘍サイズが12.2cmから13.1cmに増加
  • 治療開始2.5か月後: 腫瘍サイズが7.5cmに減少（37%縮小）
• 血液指標の改善:
  • 赤血球数およびヘモグロビン濃度が上昇、輸血頻度が減少し、最終的に中止
  • 白血球数の正常化、リンパ球数の回復
• 腫瘍マーカーの低下:
  • CA19-9、AFP、CEAのレベルが治療開始1.5か月後に急激に低下
• 症状の改善:
  • 腸閉塞が解消し、通常の食事が可能に
  • 腹部痛が軽減し、鎮痛剤の使用が不要に
  • 有害事象: 鎮静状態や興奮が一時的に見られたが、重篤な副作用はなし

Appendix（用語解説）

• 腫瘍マーカー: がんの進行や治療効果を評価するために血液中で測定される物質。

論文情報

タイトル

Hydrogen gas therapy induced shrinkage of metastatic gallbladder cancer: A case report（転移性胆嚢がんの縮小をもたらした水素ガス療法：症例報告）

引用元

Chen, J. B., Pan, Z. B., Du, D. M., Qian, W., Ma, Y. Y., Mu, F., & Xu, K. C. (2019). Hydrogen gas therapy induced shrinkage of metastatic gallbladder cancer: A case report. World journal of clinical cases, 7(15), 2065–2074. https://doi.org/10.12998/wjcc.v7.i15.2065

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