「水素濃度670,000ppm!」
「先進医療Bと同等の水素濃度2%!」
このような水素吸入器の広告を見たことはありませんか?
なんかすごそうだと感じるものの、実際のところあまり意味がわからない方も多いでしょう。
結論、水素吸入器の濃度670,000ppmというのは特別なものではなく、ごく一般的な数値です。また、水素濃度2%という表現も異なる解釈があるため注意が必要です。
そこで本記事では、水素吸入器を選ぶ際に混乱しがちな「濃度」について詳しく解説します。ppmや%といった単位の意味から、水素濃度2%に対する注意点、そして本当に重視すべきポイントまで、科学的根拠に基づいた情報をお届けします。
誇大広告に惑わされず、本当に自分に合った水素吸入器を選べるようになるので、ぜひご参考ください。
《この記事の執筆者》

当サイト「すいかつねっと」の運営者。水素の可能性に魅了され、日々独自に探求する水素健康アドバイザー。主に海外の論文をもとに水素を研究し、少しでも水素を活用して幸せになれればと情報を発信。
水素吸入器の「濃度」とは?

水素吸入器における「濃度」とは、発生するガス全体に対する水素ガスの割合を指します。
一般的な水素吸入器では、水の電気分解などにより水素ガスを発生させます。このとき発生するのは水素だけではなく、酸素やその他のガスも含まれています。
濃度はこの混合ガスの中で水素がどれだけの割合を占めるかを示す数値です。
たとえば、水素濃度が67%の場合、発生するガス100に対して、水素は67、残りの33は酸素などのガスとなります。
水素濃度を表す単位「ppm」と「%」について

水素吸入器のスペック表などでよく目にする水素濃度の単位には、「ppm(ピーピーエム)」と「%(パーセント)」の2種類が主に使われます。
これらは何を意味するのか、またどのように使い分けられているのかを解説します。
ppm(ピーピーエム)について
ppmとは「parts per million(百万分率)」の略で、全体の100万分のいくつかを示す単位です。主に、ごく微量な濃度を表す際に使用され、水素水の水素濃度を表す際にも用いられます。
水素吸入器の濃度を表す場合、1ppmの水素濃度とは、「吸入ガス全体の100万分の1の体積が水素である」という意味になります。
余談ですが、さらに微量な濃度を表す単位として「ppb(parts per billion)」があり、これは10億分の1を意味します。1ppm = 1000ppbとなります。水素吸入器の文脈では、ppbではなくppmが用いられることが多いです。
%(パーセント)について
%(パーセント)は「percent(百分率)」の略で、全体の100分のいくつかを示す単位です。皆さんにも馴染み深い単位でしょう。
水素吸入器の場合、発生するガス全体を100とした場合に、水素ガスがどれくらいの割合を占めるかを示します。例えば、水素濃度2%と表記されていれば、吸入するガス100mlあたり、2mlの水素ガスが含まれていることを示します。
比較的濃度が高い場合に、この%表記が用いられることが一般的です。
ppmと%の違いと換算
ppmと%は同じ「割合」を示す単位ですが、分母が異なります。
%が100を基準にするのに対し、ppmは100万を基準にします。したがって、「1% = 10,000ppm」という関係になります。
例えば、水素濃度が2%の場合、これをppmに換算すると20,000ppmとなります。逆に、50,000ppmと表記されていれば、それは5%の水素濃度と同じ意味です。
製品によってどちらの単位で表記されているかが異なるため、比較する際には単位を揃えるか、この換算関係を理解しておくことが重要です。
より詳しい換算については、「ppmと%の早見表」をご覧ください。
67万ppmの水素吸入器は本当に高濃度?
「670,000ppm」という数字を見ると非常に高濃度に感じますが、実はこれは単に67%を別の単位で表現しただけです。そして、この濃度は特別高いわけではありません。
一般的な水素吸入器の多くは水の電気分解によって水素を生成しますが、この方法では理論上、何も特別な処理をしなければ約67%(67万ppm)の水素と33%の酸素が発生します。これは水分子(H₂O)が2つの水素原子と1つの酸素原子で構成されているという化学的な性質によるものです。
つまり、「67万ppm」とうたう製品は、水の電気分解で自然に発生する濃度をそのまま使用している標準的な機器と言えます。特別な高濃度技術を使用しているわけではなく、むしろ最も基本的な仕組みの水素吸入器である可能性が高いのです。
高濃度な水素吸入器とは
本当の意味で「高濃度」と言える製品は、特殊な分離膜(PEM:プロトン交換膜)などを使用して水素と酸素を分離し、水素だけを取り出して99%以上の濃度を実現しているものです。
こうした製品は、単に「67万ppm」と表記するのではなく、「水素濃度(純度)99.9%」などと表現されることが多いです。
水素吸入の最適な濃度は「2%」って本当?
「水素吸入では2%濃度が最適」と見かけることがありますが、これは誤解を招きやすい表現です。
この「2%」という数値は、過去に先進医療Bとして実施されていた「心肺停止後症候群に対する水素ガス吸入療法」で用いられた水素濃度に由来しています。
この研究では、人工呼吸器で供給する空気の中に水素ガスを混ぜ、患者さんが吸い込む空気の2%が水素となるように設定され、一定の成果が報告されました。
最適な水素濃度はまだわかっていない
水素濃度2%というのは、先進医療Bに用いられた1つの目安ではあるものの、最適な濃度というわけではありません。
というのも、これまでの研究では実に様々な水素濃度の機器を用いて実験が行われており、どの濃度が最も効果が高くなるのかはまだ研究段階といえるからです。
例えば、1%以下の水素濃度で効果が見られた研究がある一方で、20〜33%の水素濃度で良い結果が得られたとする研究も多数あり、用いられる水素濃度が混在しています。(濃度はどちらも吸気量に対して。これについては次に解説)
したがって、効果を得るための最適な水素濃度については、まだまだ研究段階と言えます。
「水素濃度」には2通りの意味がある

水素濃度2%における「水素濃度」という表現には、以下の2通りの意味があります。
- ①吸入水素濃度:吸い込んだ空気に対する水素濃度
- ②排出ガス水素濃度:機器から出るガスに対する水素濃度
どちらも水素濃度を示しますが、何を基準にするかが異なり、全く別のものを意味します。
先述の先進医療Bでは、①の「吸入水素濃度」における水素濃度2%を指しています。例えば、1回500mlの空気を吸い込む場合、その2%(10ml)が水素であることを意味します。
一方で、水素吸入器の水素濃度を示す場合は、②の「排出ガス水素濃度」が使われ、先述の67万ppmや水素濃度99%という表現はこちらを意味します。
同じ「水素濃度2%」という表現でも、何を基準にするかで意味が変わるため注意しておきましょう。
機器から出る水素 ≠ 吸い込む水素

また、水素吸入器から発生する水素ガスの濃度と、最終的に吸入する空気中の水素濃度は異なる可能性が高い点にも注意しておきましょう。
水素吸入器から発生した水素が全てそのまま吸い込まれるのではなく、室内の空気で希釈されて最終的な吸入濃度は低くなります。特にカニューレなどで周りからの空気が入り込みやすい場合は、濃度が下がりやすいです。
したがって、排出ガス水素濃度が2%であったとしても、最終的に吸い込む空気中の水素濃度は2%以下になる可能性が高いです。同様に、吸入水素濃度が2%になる水素量であっても、実際に吸い込んだ空気の水素濃度が2%になるとは限りません。
水素吸入器は濃度よりも「水素発生量」が重要

水素吸入器の性能やスペックを比較する際、多くの方が「濃度」に注目しがちですが、実は「濃度」以上に重要なのが「水素発生量(または水素流量)」です。
なぜなら、実際に体内に取り込める水素の総量は、濃度だけでなく、どれだけの量のガスが供給されるかによって大きく左右されるからです。
「濃度だけ」ではダメな理由
濃度はあくまで「割合」を示す数値であり、それだけでは実際にどれだけの量の水素を吸入できるかは分かりません。
例えば、同じ「排出ガス水素濃度2%」の水素吸入器があったとしても、その母数となる総ガス量が異なれば、実際に含まれる水素の絶対量は大きく変わってきます。反対に、水素濃度が高くても総ガス量が低ければ、結果的に取り込める水素量は少なくなります。
具体例を挙げてみましょう。
製品A | 製品B | |
---|---|---|
水素濃度 | 2% | 99% |
総ガス量 | 3L/分 | 10ml/分 |
実際の水素量 | 60ml/分 (3000ml×2%) | 9.9ml/分 (10ml×99%) |
このように、濃度だけを見ると「99%の方が2%よりずっと高い」と思えますが、実際に発生する水素の量は製品Aの方が約6倍も多くなっています。濃度表示だけでは製品の性能を正しく評価できないことがわかるかと思います。
「水素発生量(流量)」が取り込める水素量を示す
水素吸入器の性能を正確に判断するには、単位時間あたりにどれだけの水素ガスを発生させるかという「流量」が重要です。通常「ml/分」や「cc/分」といった単位で表されます。
1つの目安である「吸入水素濃度2%」を達成するには、一般的な人の呼吸量(1分間に6〜10L)に対して120〜200ml/分の水素発生量が必要となります。
先述の通り、最適な水素濃度がわからない以上、最適な水素発生量もまだわからないですが、当サイトでは多くの方で吸入水素濃度2%を満たせる200ml/分以上の水素発生量を1つの基準としています。
水素発生量の基準や最適な量については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参考ください。
>> 水素吸入器の「最適」な水素発生量は?多いほどよいのか科学的に検証
「濃度」以外の水素吸入器選びの重要ポイント
水素吸入器を選ぶ際には、ここまで解説してきた「濃度」や「水素発生量」も非常に大切ですが、それ以外にも注目すべき重要なポイントがいくつかあります。
以下の9つのポイントを総合的に比較検討することで、より自分に合った、そして安心して長期間使用できる製品を選ぶことができます。
- 水素ガス発生量は十分か?
- 連続吸入時間は1時間以上可能か?
- 騒音レベルは50db以下か?
- 製品価格は高すぎないか?
- 維持費はかかりすぎないか?
- メンテナンスは簡単か?
- 製品本体は動かしやすく丈夫か?
- 安全性は保証されているか?
- メーカー/販売会社は信頼できるか?
これらそれぞれのポイントについての詳しい解説は、「水素吸入器の選び方9つのポイント」をご覧ください。
「ポイントをみたけど、結局どの機器が自分に合っているのかわからないよ」という方は、以下の公式LINEからお気軽にご相談ください。
\水素吸入器選びに迷っている方へ!/
無料で相談する水素吸入器の「濃度」に関するよくある質問
最後に、水素吸入器の濃度についてよく聞かれる質問と回答についてまとめました。ぜひご参考ください。
Q1. 水素濃度が高いと爆発しますか?
正しく使用している限り、水素吸入器の使用による水素爆発の可能性は極めて低いです。
水素は空気中で4〜75%の濃度範囲で、かつ着火源があると爆発する可能性があります。しかし、通常の使用条件下では水素吸入器が爆発する心配はほとんどありません。
現在市販されている水素吸入器は、安全基準に基づいて設計されており、多くの製品には過熱防止や自動停止などの安全機能が搭載されています。また、水素は非常に軽いガスのため、室内に放出されてもすぐに上方へ拡散し、滞留しにくい性質があります。
とはいえ、安全のために次のことに注意しましょう。
- 火気の近くでは使用しない
- 換気の良い場所で使用する
- メーカーの指示に従って正しく使用する
>> 水素吸入器で水素爆発する条件とさせないためのポイント4つ
Q2. 水素濃度が高いことによる副作用・デメリットはありますか?
水素ガス自体は無害で、体内で毒性を示すことはないとされています。
実際、臨床研究では高濃度(例:67〜99%)の水素ガスを長時間吸入しても副作用は報告されていません。
>> 水素吸入は危険?副作用やデメリット、安全な取り入れ方を解説
Q3. 濃度の経年劣化はありますか?どのくらい持ちますか?
水素吸入器の濃度維持性能は、発生方式やメンテナンス状況によって大きく異なります。
一般的な電気分解方式の場合、電極板の劣化により徐々に水素発生効率が低下することがあります。また、水中に含まれるミネラル分が電極に付着することで性能が落ちることもあります。
製品によっては、1〜3年程度で電極の交換が必要なものもあれば、5年以上使用できるものもあります。
水素吸入器を選ぶ際はこうしたメンテナンスの頻度(保守性)も検討事項に入れておくと良いでしょう。以下の記事もご参考ください。
>> 水素吸入器の「保守性」を評価するポイントを解説
Q4. 「〇〇ppm以上保証」という表示は信頼できますか?
「○○ppm以上保証」という表示は、条件によって信頼性が大きく異なります。
確認すべきポイントとしては、以下が挙げられます。
- 測定方法が明記されているか:どのような方法で濃度を測定したのか、第三者機関による検証があるのかなど。
- 保証期間や条件:いつまでその濃度を保証するのか、どのような使用条件下での保証なのかなど。
- 数値の実用性:先述のように、ppmという単位で大きな数字を示すことで高性能に見せかける場合もあります。67万ppmは単に67%を意味するだけで、特別な高性能を示すものではありません。
信頼できる製品は、通常、濃度だけでなく水素発生量(ml/分など)も明示しており、かつ科学的な根拠やデータを提示していることが多いです。単に「高濃度」と謳うだけの製品よりも、具体的なスペックや研究データを公開しているメーカーの製品の方が信頼できると言えるでしょう。
まとめ:水素吸入器の「濃度」を正しく理解し、賢い機器選びを!
水素吸入器の「濃度」について理解を深めていただけたでしょうか。
重要なポイントを整理しましょう。
- 水素吸入器の濃度とは、発生するガス全体に対する水素ガスの割合を指す
- 「67万ppm」と「67%」は同じことを意味し、特別に高濃度というわけではない
- 濃度だけでなく、水素発生量(流量)が実質的な性能を左右する重要な要素である
- 製品選びでは、濃度以外にも安全性、使いやすさ、コスト、メンテナンス性なども重要
水素吸入器を選ぶ際は、「高濃度」というキャッチフレーズに惑わされず、実際の水素発生量や製品の総合的な品質を見極めることが大切です。正しい知識を身につけ、自分のニーズに合った製品を選ぶことで、水素吸入の効果を最大限に実感できるでしょう。
何より重要なのは、信頼できるメーカーの製品を選び、正しい方法で継続して使用することです。この記事が皆さんの賢い選択の一助となれば幸いです。