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【獣医監修】水素吸入療法はうさぎの健康に役立つ?

【獣医監修】水素吸入療法はうさぎの健康に役立つ?

《この記事の執筆者》

ペットにしたいランキングで5位とかなり上位にいるうさぎ。1)

うさぎも人と同じく、過剰な活性酸素により様々な疾患や障害を引き起こしてしまいます。
そこで近年注目されているのが、活性酸素を除去する作用のある水素を吸入する水素吸入療法です。

本記事では水素吸入療法がうさぎの健康の維持や改善に役立つのかについて、これまでに報告されている研究データに基づいて考察していきます。

うさぎの健康について

うさぎは、ペットとしての人気が高く、犬猫に次いで多くの家庭で飼育されている動物です。見た目が可愛らしい、飼うのに手間がかからないなどの理由から、幅広い年齢層の人々に受け入れられています。

ペットとして人気が高いうさぎですが、その健康管理には注意が必要です。うさぎは広いスペースで運動することを好む動物であるため、飼育する際は適切な運動スペースを確保しなければなりません。また、うさぎが快適な生活を送れるように、飼育環境を清潔で安全に保つ必要があります。

その他、うさぎの消化器官の健康の維持や歯の伸びすぎ予防などのためにも食事管理も重要なポイントとなります。

うさぎの健康に対する活性酸素の影響

うさぎにストレスがかかると、体内で活性酸素という物質が過剰に作られます。活性酸素は、正常な代謝過程でも自然に生成される物質ですが、過剰に発生すると酸化ストレスを引き起こし、さまざまな疾患を引き起こします

過剰な活性酸素により引き起こされるうさぎの疾患・障害は、主に以下の通りです。

過剰な活性酸素による疾患・障害
  • 心血管疾患
  • 消化器疾患
  • 免疫機能低下

うさぎの健康を守るためには、過剰な活性酸素の発生を防ぐことが重要です。

過剰な活性酸素の発生を防ぐ方法

うさぎの体内での過剰な活性酸素の発生を防ぐためには、食事や運動量、飼育環境に配慮する必要があります。

うさぎ用のエサの中には、抗酸化物質を含むものが少なくありません。しかし、うさぎの体内における抗酸化物質の消化・吸収率は明確には分かっておらず、食事によるコントロールには限界があります。

運動不足や劣悪な飼育環境は、うさぎに大きなストレスを与える原因になりかねません。広いスペースで遊ばせるなどして適度な運動量を維持したり、うさぎが快適に過ごせるように飼育環境を整えたりすることが重要です。

近年は、これらに加えて水素吸入という方法も注目されています。水素吸入がうさぎの健康増進につながったという報告も多く、今後のさらなる研究が期待されています。

水素吸入はうさぎの健康に効果がある?

水素吸入は、活性酸素による酸化ストレスを防ぐための方法です。抗酸化作用がある水素を吸入させることで、活性酸素による酸化ストレスを防ぎます。

水素吸入がうさぎの健康維持に役立つとの研究もいくつか報告されており、獣医臨床の現場での実用化が期待されています。数ある研究の中から、水素吸入がうさぎの健康維持につながったとの報告を紹介します。

うさぎの心血管疾患の改善につながる可能性

うさぎの心臓における洞房結節細胞の膜電流に対する過酸化水素の影響を調べた研究によると、過酸化水素により、うさぎの洞房結節細胞の自発的ペースメーカーが促進されることが示唆されています2)。過酸化水素は、主に酸化剤として機能する物質ですが、生体内では特定の酵素反応において、水素ガスと同様に還元剤として作用することがあります。

本研究では、うさぎの洞房結節細胞(心臓が規則的に拍動するためのペースメーカー)に対して、過酸化水素を短時間(10分未満)暴露したところ、活動電位の持続時間延長が確認されました。活動電位の持続時間延長は、不整脈の抑制につながると考えられています。特に、過酸化水素はL型Ca2+電流(心拍数や心収縮の調節に重要な役割を果たす電流)を顕著に増加させました。

本研究結果は、過酸化水素がうさぎの洞房結節細胞の自発的ペースメーカー活動を促進し得ることを示唆しており、心臓の規則的な拍動を促進したり、不整脈を抑制したりする可能性が期待されています。今後、さらなる研究を重ねることで、うさぎの心血管疾患の治療法として応用できる可能性もあるでしょう。

ステロイド誘発性骨壊死の予防につながる可能性

分子水素が、うさぎのステロイド誘発性骨壊死に対して保護効果を持つとの研究報告もあります3)。この研究では、分子水素による処置を行ったグループと対照グループを用意して、骨壊死の発生率を比較しました。分子水素とは一般的な水素吸入器から発生する水素ガスと考えてください。(まれに原子状水素を発生すると謳う水素吸入器もあります)

その結果、分子水素による処置を行ったグループでは、骨壊死の発生率が28.6%であるのに対して、対照グループでは、骨壊死の発生率が68.0%であったとの結果が得られました。つまり、ステロイドによって骨が弱体化するのを緩和する可能性が示唆されたのです。

また、分子水素による処置を行ったグループでは、酸化障害、血管損傷、細胞のアポトーシスが軽減されたことも明らかになり、うさぎの全身性疾患の予防につながる可能性も示唆されました。

本研究結果から、分子水素による処置は、ステロイド誘発性骨壊死の予防に有効である可能性があると考えられます。

【私はこう考える】水素吸入とうさぎ

水素吸入は、酸化ストレスの軽減を目的として、人の医療現場で使われている施術方法です。水素ガスの還元作用を利用して、体内で過剰に発生した活性酸素を中和します。

うさぎを対象にした活性酸素や水素吸入の研究は、いくつか報告されているものの、明確な有意差が得られたとの報告は少ないのが現状です。実際の獣医臨床の現場で活用するためにも、今後のさらなる研究に期待したいところです。

うさぎはストレスに弱い動物であり、ちょっとしたことが原因で、活性酸素が過剰に発生して悪影響を及ぼします。水素吸入の研究が進み、簡易な方法で日常的に活用できるようになれば、病気で苦しむ動物を減らすことができるでしょう。

参考文献
  1. みんなのランキング『ペットにしたい動物ランキング』
  2. Guo J, Giles WR, Ward CA. Effect of hydrogen peroxide on the membrane currents of sinoatrial node cells from rabbit heart. Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2000 Sep;279(3):H992-9. doi: 10.1152/ajpheart.2000.279.3.H992. PMID: 10993760.
  3. Li J, Ge Z, Fan L, Wang K. Protective effects of molecular hydrogen on steroid-induced osteonecrosis in rabbits via reducing oxidative stress and apoptosis. BMC Musculoskelet Disord. 2017 Feb 2;18(1):58. doi: 10.1186/s12891-017-1431-6. PMID: 28148301; PMCID: PMC5288900.

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