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【医師監修】水素吸入療法は喉頭がんの予防や改善に役立つ?

【医師監修】水素吸入療法は喉頭がんの予防や改善に役立つ?

《この記事の執筆者》

喉頭がん(こうとうがん)は、年間約5000人が罹患しており、大腸がんなど年間数万人が罹患するがんに比べると比較的珍しいがんの1つです。

しかし、進行して発見した場合に手術で声帯を摘出することもあり、その場合は声が出せなくなるなど術後のQOL(生活の質)が大幅に減少してしまう、影響の大きいがんです。

本記事では、水素吸入療法が喉頭がんの予防や改善に効果的なのかについて、現在報告されている研究をもとに考察していきます。

喉頭がんってどんな病気?

喉頭がんとは、のどの奥の「喉頭(こうとう)」という部位に発生するがんのことです。

喉頭がんは男性の方がなりやすく、一年間で約5,000人が喉頭がんと診断され、800人弱が命を落としています。

5年生存率は早期段階では90%越えますが、進行すると15%未満とされています1)。喉頭がんは発生した部位によって症状の現れ方が異なり、進行するまでほとんど症状が現れないケースも少なくありません。

まずは、喉頭がんの特徴について詳しく見てみましょう。

喉頭がんの主な原因や症状

喉頭がんは中年以降の男性に多いがんです。

主な原因は喫煙習慣や過度な飲酒と考えられています2)

喉頭がんの主な症状

喉頭がんは、発声する部位によって以下の3つに分類されます。

喉頭がんの種類
  • 声門がん(声帯にできるがん)
  • 声門上部がん(声門より上にできるがん)
  • 声帯下部がん(声門より下にできるがん)

それぞれ以下のように症状の現れ方が異なるのが特徴です2)

声門がん

早期段階から声のかすれ、声の低さなどが目立つようになります。

進行すると症状が悪化し、声門が狭くなって息苦しさが現れます。喉頭がんの約70%は声門がんです。

声門上部がん

のどの違和感や、物を飲み込んだときの痛みが生じるようになります。

がんが大きくなると声帯にも影響を及ぼして声のかすれや息苦しさが引き起こされます。

声門下部がん

進行するまで自覚症状はほとんどありません

進行すると声帯がんと同様に声のかすれや息苦しさが生じるようになります。

喉頭がんの標準的な治療方法

喉頭がんの治療方法はがんの進行度や全身のコンディションによって大きく異なりますが、手術、放射ん治療、抗がん剤などの薬物療法が行われます。

早期段階であれば基本的には放射線治療が行われますが、周囲のリンパ節に転移している場合やがんの影響で声帯の動きが悪くなっている場合などは手術か薬物療法が行われます。

しかし、喉頭がんは手術によって声帯を摘出すると術後に声を出すことができなくなります。そのため、患者さんの希望や手術後の生活などから総合的な判断による選択が必要です。

また、喉頭がんの治療では最初に抗がん剤治療をしてがんを小さくしてから放射線治療や手術を行うケースも少なくありません3)

水素吸入は喉頭がんの予防・改善に効果はある? 

喉頭がんは進行した段階で発見されると5年生存率は低く、手術ができる場合でも術後に声を失うなどQOLにも大きな影響を及ぼすがんです。

そのため、喉頭がんの予防、治療方法は今もなおさまざまな研究が重ねられています。現在のところ、喉頭がんに対する水素吸入療法の効果を検討した研究は報告されていません。

しかし、水素吸入療法で除去できる活性酸素が喉頭がんの発症や進行に関わっていることを示唆する研究結果が明らかになっています。

具体的な研究結果を見てみましょう。

喉頭がんの予防の可能性

上述したように喉頭がんの発症リスクは喫煙と過度な飲酒であると考えられています。一方、国際がん研究機関は非でんぷん野菜が喉頭がんの発症リスクを下げる可能性があると指摘しています4)、5)

野菜にはビタミンCなど体内の活性酸素を除去する物質が多く含まれていることが要因と考えられているのが現状です。

現時点で、抗酸化作用を持つ非でんぷん野菜の摂取が喉頭がんの確実な予防につながるという報告はありません。あくまでも、「予防できる可能性が大きい」という見解に留まっています。

しかし、活性化酸素は細胞のDNAなどにダメージを与えてがんの発生を促すと考えられていることからも、抗酸化作用が喉頭がんの発生を予防する可能性は大いにあると考えられます6)

水素吸入も活性酸素を除去する効果があるため、喉頭がんの予防に役立つ可能性があるでしょう。今後のさらなる検討が期待されます。

喉頭がんの進行を抑える可能性

2010年に報告された研究では、喉頭がん患者14人からがんの組織と正常な組織を採取。それぞれの細胞に含まれる活性酸素の量を測った結果が報告されました7)

結果としては、正常な組織よりもがん組織の方が有意に活性酸素の量が多かったことが明らかとなりました。

また、早期段階のがん組織よりも進行段階にあるがん組織の方が活性酸素の量は有意に多かったことも報告されています。

この研究結果は、進行したがん組織ほど活性酸素の量が多かったことから、喉頭がんの進行に活性酸素が関与している可能性を示唆しました。

限られた人数での検討結果であり、確実な結論ではありませんが、活性酸素を除去することで進行を抑えられる可能性が考えられます。

水素吸入も活性酸素を除去することができるため、進行予防に役立つかもしれません。今後の研究と治療への応用が望まれます。

【私はこう考える】水素吸入と喉頭がん

喉頭がんは発生頻度が高くないがんですが、喫煙や過度な飲酒など生活習慣に大きく関わるがんでもあります。早期段階で発見できれば5年生存率は低くありませんが、治療後に声が出せなくなるなどさまざまな支障をもたらす可能性もあるがんです。

喉頭がんの予防、治療方法は現在もさまざまな検討が続けられています。今回ご紹介した国際がん研究機関の見解や喉頭がん組織を用いた研究から、活性酸素が喉頭がんの発生や進行に関わっている可能性が示唆されました。

身体への負担なく活性酸素を除去できる水素吸入が喉頭がんの治療に応用される日が来るかも知れません。

今はまだ、予防や治療に役立つと断言することはできませんが、思い当たる生活習慣がある方は水素吸入を試してみてもよいでしょう。

ただし、水素吸入を行った場合でも、定期的な健診を受け、気になる症状があるときは早めに医療機関を受診するようにしましょう。もちろん、喉頭がんと診断されている方も医師の指示した治療は必ず継続して下さい。

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