《この記事の監修者》
2011年国立大学医学部卒。初期臨床研修を経て総合診療医として勤務しながら、さまざまな疾患の患者さんに向き合う治療に従事。医療行政に従事していた期間もあり、精神福祉、母子保健、感染症、がん対策、生活習慣病対策などに携わる。結核研究所や国立医療科学院での研修も積む。2020年からは医療法人ウェルパートナーで主任医師を勤める。
水素吸入を始められた方の中には、頭痛や頻尿などの軽微な体の変化を感じる方がいます。
これらは「好転反応」として語られることがありますが、実際はどうなのでしょうか?
本記事では、水素吸入による「好転反応」の具体的な症状とその原因について詳しく解説します。また、好転反応と副作用の違いや、水素吸入を安全に続けるためのポイントもご紹介しますので、水素吸入を安心して取り入れるために、ぜひご参考ください。
水素吸入による好転反応の症状とその原因
まず大前提としてですが、「好転反応」に科学的な根拠はありません。
水素吸入だけではなく、そのほか健康食品などに対しても好転反応の科学的根拠はなく、表現自体が薬機法に触れる可能性があると厚生労働省は見解を示しています(参照)。
一方で、水素吸入を活用されている方から様々な症状や体の変化について報告されているのも事実です。ここでは、経験談をベースに水素吸入の好転反応の症状や原因について見ていきます。
本記事では科学的な根拠はありませんが、一般的に使用されている「好転反応」という言葉を用います。ここでは、軽微な体の違和感や変化と定義します。
報告されている好転反応の症状
水素吸入による好転反応として、以下のような症状を感じたとの経験談が寄せられています。
- トイレが近くなる
- 眠たくなる
- 手足の違和感
好転反応の原因
上記のような水素吸入の好転反応が起こる原因は憶測の段階ですが、以下のように考えられています。
トイレが近くなるのは、血流が改善することによって腎臓に多くの血液が流れるようになった結果、尿の生成量が増えることが一因と考えられています。
眠たくなる理由は、自律神経バランスが整うことによるリラックス効果が考えられます。疲労が溜まっている時にリラックスしながら水素吸入を行うことで、自然と眠くなることが考えられます。
水素吸入を行う医療機関では、水素吸入をすると脳のシータ波が出ることで眠くなると述べられています。しかし、これについては現在のところ科学的根拠はありません。
また、手足の違和感については、血流が改善することで手足がポカポカすること、普段血流の少ない毛細血管への血の巡りが良くなり、ピリピリやムズムズといった感覚を覚えている可能性があります。
繰り返しになりますが、これらはどれも科学的に証明されたのではなく、あくまで使用者の経験ベースであり、メカニズムについてもさらなる研究が必要な点はご留意ください。
好転反応と副作用の違い
水素吸入をした際の体の変化や異変などを誤って好転反応と捉えて使用を継続し、逆に体調を悪化させてしまう場合があります。そうならないためにも好転反応と副作用の違いを理解しておくことは大切です。
好転反応とは一般的に、一時的な体調の変化のことを指します。具体例としては、先ほどあげたような「トイレが近くなる」や「眠気を感じる」、「手足の違和感」など軽度なものが挙げられます。
一方、副作用とは治療や施術に伴う望ましくない反応を指し、継続的または重篤な症状を引き起こす可能性があります。例えば、アレルギー反応、発疹、呼吸困難、強い頭痛、めまい、吐き気、嘔吐、下痢、発熱、血圧の異常変動などが挙げられます。
体に負担になる不調が現れた場合、速やかに水素吸入を中止し、医師に相談するようにしてください。
水素吸入の副作用について
水素吸入には、今のところ重篤な副作用は報告されていません。
しかし、わずかではありますが頭痛や吐き気などの軽微な副作用を感じたというケースも報告されています。
これらは数日で自然に回復するケースが多いですが、続くようであれば水素吸入を中止し、医師に相談するようにしましょう。
水素吸入を安全に行うためのポイント
水素吸入はこれまでに深刻な副作用の報告がなく、体の負担になりにくいと考えられています。
しかし、より安全に活用するために対策すべきことがあるので、それらについて解説していきます。
主なポイントは以下の通りです。
- 体調のモニタリングを行う
- 品質の高い水素吸入器を用いる
- 持病がある場合は使用前に医師に相談する
それぞれ解説していきます。
水素吸入を安全に行うためのポイント①:
体調のモニタリングを行う
まず、水素吸入を行う前後での体調の変化をしっかりと観察しながら行うようにしましょう。
先述した好転反応だけでなく、頭痛や吐き気など軽微な副作用が見られた場合は、それらが悪化しないか注意しながら行う必要があります。
2〜3日しても改善しない場合は使用を中止し、医師に相談するようにしてください。
水素吸入を安全に行うためのポイント②:
品質の高い水素吸入器を用いる
水素吸入を安全に行うためには、信頼のおける高品質な水素吸入器を用いることも大切です。
現在、日本において水素吸入器に関する規格がないため、品質や性能は千差万別と言えます。
水素吸入自体には重篤な副作用は報告されていないものの、低品質な水素吸入器を使った場合にどんな悪影響があるかは分かりません。
したがって、健康や美容の維持のために行う水素吸入で体調を悪化させないためにも、信頼できて品質の高い水素吸入器を使うようにしましょう。
水素吸入器の選び方については以下で詳しく解説していますので、ぜひご参考ください。
>> 後悔しない!水素吸入器の選び方を徹底解説
>> 【知らないと危険】水素吸入器の安全性を見極める5つのポイント
水素吸入を安全に行うためのポイント③:
持病がある場合は使用前に医師に相談する
何かしらの病気の治療中の場合は、水素吸入を取り入れる前に担当医に相談することをおすすめします。
ほかの病気の治療を妨げるといった報告は現在のところありませんが、医師と適切にコミュニケーションをとっておくことで経過観察も効果的に行えます。
特に、病状を悪化させないためにも、適切な指導の上、水素吸入を活用することが大切です。
まとめ:水素吸入の好転反応と副作用の違いを理解し適切に対処しよう
今回は、水素吸入によって引き起こされる「好転反応」について解説しました。
好転反応に対する科学的根拠はないものの、水素吸入を体験された方の中には眠気や頻尿、手足の違和感など軽微な体の変化を感じると報告されている方もおられます。
これらの好転反応と言われる変化と副作用との違いをしっかりと理解し、異変を感じた場合はすぐに使用を中止することが大切です。
また、より安全に水素吸入を行うためにも吸入器選びや体調の観察、医師への相談などはしっかりと行うことをおすすめします。
これからも安全に水素吸入を活用していきましょう。
監修医師から一言
近年、水素分子が持つ高い抗酸化作用は注目を集めており、特に効率よく水素分子を体内に取り込める水素吸入は健康や美容の維持などさまざまな場面で使用されるようになっています。
水素吸入の効果を検証した研究は世界中で行われています。日本国内でも水素吸入が自律神経バランスを整えて高血圧を改善する効果や重症な肺炎を発症した際の呼吸機能低下を抑制する効果を示す研究結果が報告されています。
水素吸入のメカニズムや効果はまだ十分に解明されていない部分もありますが、水素吸入には「好転反応」が見られるケースがあると報告されています。しかし、好転反応には医学的な根拠はなく、あくまで経験談にすぎません。
今回ご紹介したように、水素吸入を開始すると頻尿、眠気、手足の違和感などが生じる方がいらっしゃいます。これらの症状を好転反応と呼ぶ場合もありますが、副作用である可能性も否定はできません。
好転反応を「体によいもの」と考える方もいらっしゃいますが、好転反応とされる症状は軽度な場合でも体に負担がかかっているサインの可能性があります。軽く考えず、水素吸入を使用するたびに何らかの症状を自覚する場合は注意しましょう。