一言まとめ
健常者を対象に、水素水摂取が運動時の疲労感や持久力に与える影響を調査。軽運動では水素水摂取により疲労感が有意に減少し、中等度運動では持久力が有意に向上した。
3分で読める詳細解説
結論
水素水の摂取は、健常者の運動時の疲労感を軽減し、持久力を向上させる可能性がある。
研究の背景と目的
激しい運動は骨格筋での活性酸素種(ROS)の生成を増加させ、組織損傷や疲労につながる。水素分子は直接的または間接的に抗酸化酵素を誘導することで治療的な抗酸化作用を示す。本研究では、水素水摂取が運動時の疲労感と持久力に与える影響を、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験により検証した。
研究方法
- 実験1:非鍛錬者99名を対象に、プラセボ水または水素水(0.8 mg/L)500 mLを摂取30分後に自転車エルゴメーターによる軽運動を実施。運動前後の疲労感をVisual Analogue Scale(VAS)で評価。
- 実験2:フィットネスクラブ会員の鍛錬者60名を対象に、プラセボ水または水素水(1.0 mg/L)500 mLを摂取10分後に自転車エルゴメーターによる中等度運動を実施。運動前後の最大酸素摂取量(VO2max)とBorg指数で持久力と疲労感を評価。
研究結果
Appendix(用語解説)
- 活性酸素種(ROS):酸素を含む不安定で反応性の高い分子やイオン。生体内で過剰に生成されると酸化ストレスを引き起こし、細胞や組織の損傷につながる。
- Visual Analogue Scale(VAS):主観的な疲労感を評価するための心理尺度。0~10の連続的な線上で、疲労感の程度を回答者が示す。
- 最大酸素摂取量(VO2max):全身持久力の指標。運動強度を上げていった際の酸素摂取量の最大値で、心肺機能や持久力の優れた人ほど高い値を示す。
- Borg指数:運動時の主観的運動強度を6~20の数値で評価する指標。数値が高いほど運動強度が高いことを示す。
論文情報
タイトル
Drinking hydrogen water enhances endurance and relieves psychometric fatigue: a randomized, double-blind, placebo-controlled study(水素水の飲用は持久力を高め、心理的疲労を軽減する:ランダム化二重盲検プラセボ対照試験)
引用元
Mikami, T., Tano, K., Lee, H., Lee, H., Park, J., Ohta, F., LeBaron, T. W., & Ohta, S. (2019). Drinking hydrogen water enhances endurance and relieves psychometric fatigue: a randomized, double-blind, placebo-controlled study 1. Canadian journal of physiology and pharmacology, 97(9), 857–862. https://doi.org/10.1139/cjpp-2019-0059
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