一言まとめ
COVID-19患者24名に対し、通常治療に加えて水素66%・酸素33%の混合ガス吸入を行ったところ、炎症反応の抑制効果が見られた。水素吸入は副作用が少なく、COVID-19患者の症状改善に寄与する可能性がある。
3分で読める詳細解説
結論
水素・酸素混合ガス吸入療法は、COVID-19患者の炎症反応を抑制し、症状改善に寄与する可能性がある。
研究の背景と目的
COVID-19は世界的大流行を引き起こしているウイルス性肺炎だが、有効な治療法が確立されていない。一方、水素ガスの吸入は抗酸化・抗炎症作用を有することが知られている。そこで本研究は、COVID-19患者に対する水素・酸素混合ガス吸入療法の有効性と安全性を検証することを目的とした。
研究方法
- 2020年1月29日~3月20日に中国湖北省石首市の伝統中国医学病院に入院した中等症および重症のCOVID-19患者24名を対象とした。
- 12名を通常治療のみの対照群、12名を通常治療+水素・酸素混合ガス吸入の治療群に割り付けた。ただし割り付け方法の詳細は不明。
- 治療群には、水素66%・酸素33%の混合ガスを吸入させた。(2000〜3000 mL/分の流量)
- 治療前後で、炎症マーカー、電解質、心筋酵素、肝機能、腎機能などの各種指標を比較した。
研究結果
Appendix(用語解説)
- CRP(C-reactive protein):炎症マーカーの一種。炎症があると血中濃度が上昇する。
- 好中球(neutrophil):白血球の一種。炎症部位に集まり、細菌などを貪食する。
論文情報
タイトル
Hydrogen-oxygen therapy alleviates clinical symptoms in twelve patients hospitalized with COVID-19: A retrospective study of medical records(水素・酸素療法はCOVID-19入院患者12名の臨床症状を改善する:診療記録の後ろ向き研究)
引用元
Luo, P., Ding, Y., He, Y., Chen, D., He, Q., Huang, Z., Huang, S., & Lei, W. (2022). Hydrogen-oxygen therapy alleviates clinical symptoms in twelve patients hospitalized with COVID-19: A retrospective study of medical records. Medicine, 101(9), e27759. https://doi.org/10.1097/MD.0000000000027759