一言まとめ
メタボリック症候群の男女60名に、24週間にわたり高濃度水素水を1日3回摂取してもらったところ、プラセボ群と比較して、BMI、ウエスト・ヒップ比、血中脂質、血糖値、炎症マーカー、酸化ストレスマーカーの有意な改善が見られた。
3分で読める詳細解説
結論
水素水の24週間摂取は、メタボリック症候群患者の体組成、脂質・糖代謝、炎症、酸化ストレスを改善する。
研究の背景と目的
メタボリック症候群は、内臓肥満、高血糖、インスリン抵抗性、高血圧、脂質異常症などを特徴とし、心血管疾患のリスクを高める。水素分子には抗酸化作用、抗炎症作用、代謝改善作用などがあるため、水素水のメタボリック症候群に対する効果が期待されているが、長期的な高濃度水素水の効果はまだ十分に検証されていない。そこで本研究では、メタボリック症候群患者に24週間高濃度水素水を摂取してもらい、体組成や各種バイオマーカーへの効果を調べることを目的とした。
研究方法
インド人の代謝症候群患者60名(男女各30名、平均43歳)を対象に、二重盲検ランダム化比較試験を実施。1週間の観察期間の後、プラセボ群と高濃度水素水群に無作為に割り付けた。
高濃度水素水は、水素生成タブレット(HRW Natural Health Products Inc.製)を用いて調製した。被験者には、1日3回、12-18°Cの水250mLにタブレットを1錠溶かし、溶け終わったらすぐに一気に飲むよう指示した。この方法により、1日あたり5.5ミリモル以上の水素を摂取できる。プラセボ水は味や外観が水素水と似るように調製し、水素water wを含まないことを確認した。
被験者は24週間、割り当てられた水を摂取し、治療前後で体組成や血液バイオマーカーを評価した。なお本研究で用いた水素生成タブレットによる水素水の水素濃度は、ガスクロマトグラフィー(SRI 8610C、米国)によりH2 Analytics社(米国)が測定した。
研究結果
水素水群では24週間後、以下の項目でプラセボ群と比較して有意な改善が見られた。
Appendix(用語解説)
- BMI:ボディ・マス・インデックス。体重(kg)÷身長(m)の二乗で算出され、肥満度を表す指数。
- HbA1c:ヘモグロビンA1c。過去1-2ヶ月間の平均血糖値を反映する。
- TNF-α:腫瘍壊死因子α。炎症性サイトカインの一種。
- IL-6:インターロイキン6。炎症性サイトカインの一種。
- CRP:C反応性タンパク質。炎症マーカーの一種。
- MDA:マロンジアルデヒド。脂質過酸化の最終産物で酸化ストレスマーカー。
論文情報
タイトル
The Effects of 24-Week, High-Concentration Hydrogen-Rich Water on Body Composition, Blood Lipid Profiles and Inflammation Biomarkers in Men and Women with Metabolic Syndrome: A Randomized Controlled Trial(メタボリック症候群患者における24週間の高濃度水素水摂取が体組成、血中脂質プロファイル、炎症バイオマーカーに及ぼす影響:ランダム化比較試験)
引用元
LeBaron, T. W., Singh, R. B., Fatima, G., Kartikey, K., Sharma, J. P., Ostojic, S. M., Gvozdjakova, A., Kura, B., Noda, M., Mojto, V., Niaz, M. A., & Slezak, J. (2020). The Effects of 24-Week, High-Concentration Hydrogen-Rich Water on Body Composition, Blood Lipid Profiles and Inflammation Biomarkers in Men and Women with Metabolic Syndrome: A Randomized Controlled Trial. Diabetes, metabolic syndrome and obesity : targets and therapy, 13, 889–896. https://doi.org/10.2147/DMSO.S240122
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