ピロトーシスは、体内の細胞が特定のバクテリアに感染した際に起こる、自らを破壊するプロセスです。この自己破壊プロセスは、サルモネラや赤痢菌などの細菌に感染した細胞において、「カスパーゼ-1」という酵素が活性化されることによって引き起こされます。このプロセスの中で、IL-1βやIL-18といった炎症を促進するサイトカインが細胞外に放出されます。このような放出は、細胞がプログラムに従って自らを死に導く他の形態であるアポトーシス(自然な細胞死)では見られない特徴です。「ピロ」は、ギリシャ語で「火」や「熱」を意味し、このプロセスが炎症を伴うことを示しています。
特定の細菌が人体の細胞に感染すると、TTSS(タイプIII分泌システム)を持つ細菌は、細胞死を引き起こすための特定の分子(エフェクター)を細胞内に送り込みます。これにより、細菌は免疫系の細胞であるマクロファージによる飲み込みから逃れ、感染の拡大を試みます。しかしながら、このプロセスはアポトーシス(計画的細胞死)やネクローシス(炎症を伴う細胞死)とは異なる形態の細胞死を引き起こすことがあります。実験室での研究では、培養細胞に様々なカスパーゼ阻害剤を使用することで、感染によって引き起こされる細胞死の過程を大まかに解析することが可能です。