「水素吸入器からオゾンが発生するって聞いて不安…」
「今使っている水素吸入器、本当に安全なのかな?」
そういった不安や疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
大前提、適切に設計・製造された水素吸入器であればオゾンはほとんど発生せず、安心して利用できます。しかし、特定の条件を満たすとオゾンが発生しやすくなり、構造的な問題で意図せずに吸入してしまうリスクがあります。
この記事では、そもそもオゾンとは何なのか、水素吸入器でオゾンが発生する原理や条件、オゾンリスクを回避するための方法について解説します。安全な水素吸入を行うために欠かせない知識なので、ぜひ最後までご参考ください。
《この記事の執筆者》

当サイト「すいかつねっと」の運営者。水素の可能性に魅了され、日々独自に探求する水素健康アドバイザー。主に海外の論文をもとに水素を研究し、少しでも水素を活用して幸せになれればと情報を発信。
そもそも「オゾン」って何?

オゾン(O3)は、私たちが呼吸している酸素(O2)に、もう一つ酸素原子(O)が結合した気体です。同じ酸素原子からできていますが、酸素(O2)とは性質が大きく異なり、特有の臭い(生臭いような、あるいは青臭いような刺激臭)があります。
オゾンは非常に反応性が高く、強力な酸化作用を持つため、その特性を活かして殺菌、消毒、脱臭、水質浄化など、様々な分野で利用されています。
私たちの周りにあるオゾン
実は、オゾンは私たちの身近な環境にも存在しています。最もよく知られているのは、地球の成層圏にある「オゾン層」でしょう。太陽光に含まれる有害な紫外線の大部分を吸収し、地上の生態系を保護する重要な役割を担っています。
もっと身近な例では、オフィスなどでコピー機やレーザープリンターを使用した際に、独特の臭気を感じることがあります。これは、機械内部の高電圧放電によって空気中の酸素から微量のオゾンが発生するためです。また、森林など自然の中にもごく微量のオゾンが存在し、空気を清浄に保つ一因とされています。
オゾンの人体への影響
意外に身近に存在するオゾンですが、濃度が高くなると健康に悪影響を及ぼすことがわかっています。
以下は、オゾン濃度と人体への影響をまとめた表です。
オゾン濃度(ppm) | 人体への影響 |
---|---|
0.01〜0.02 | 多少の臭気を感じる |
0.02~0.06 | オゾン特有の匂いがはっきりとわかる 慢性の肺疾患患者にも悪影響はなし |
0.1 | 鼻や喉に刺激を感じる |
0.2〜0.5 | 上部気道に明らかな刺激を感じる 3〜6時間の暴露で視覚が低下する |
0.6~0.8 | 胸の痛み、せき込み、息苦しさ、肺機能の低下などが現れる |
1.0〜2.0 | 1〜2時間曝露されると頭痛や胸部痛、疲労感などが生じる |
5.0~10 | 脈が速くなり、体の痛み、意識のもうろう、肺水腫などを引き起す |
15~20 | 小動物は2時間以内に死亡する |
50 | 人間は1時間で生命危機となる |
この表からも分かるように、ごく低濃度のオゾンであれば特に問題ありませんが、濃度が上昇するにつれて、呼吸器系を中心に様々な健康影響が現れる可能性があります。
特に、喘息などの呼吸器系に持病がある方や、化学物質に敏感な方は、より低い濃度でも影響を受ける可能性があるため注意が必要です。
オゾン濃度の安全基準値
日本の労働安全衛生法では、労働環境におけるオゾンの許容濃度を0.1ppm(parts per million:100万分の1の単位)と定めています。これは1日8時間、週40時間程度の労働時間中に健康への悪影響がほとんど見られないとされる濃度です。
また日本空気清浄協会では室内許容濃度を最高0.1ppm、平均0.05ppmという基準を設けています。
これらの基準値は、水素吸入器を選ぶ際に、その製品から発生する可能性のあるオゾン濃度が安全なレベルであるかどうかを判断するための重要な指標となります。信頼できる製品は、これらの基準値を大幅に下回る、あるいは検出限界以下であることが求められます。
水素吸入器からオゾンが発生する仕組み

一部の水素吸入器では、水素ガスを生成する過程で、副産物としてオゾンが発生してしまう可能性があります。
現在、家庭用を含め多くの水素吸入器で採用されている水素ガスの生成方法は「水の電気分解」です。これは、水(H2O)に電気エネルギーを加えることで、水素(H2)と酸素(O2)に分解する技術です。
この電気分解の過程で、使用する電極の素材や電解槽の構造などによっては、発生した酸素の一部がオゾン(O3)に変化してしまうことがあります。実際、水の殺菌や脱臭を目的として、意図的にオゾンを効率よく生成するように設計された「オゾン水製造装置」も、この水の電気分解の原理を応用しています。
重要なのは、全ての水素吸入器でオゾンが危険なレベルで発生するわけではない、ということです。 近年では、オゾンの発生を極力抑制する技術(例えば後述するPEM方式など)や、万が一発生したとしても水素ガス側に混入させないような構造的工夫が凝らされた製品が開発・販売されています。
オゾン発生・吸入リスクのある水素吸入器の特徴
以下のような特徴がある水素吸入器の場合、オゾンが発生し意図せず吸入しやすくなる可能性があります。
- 電極の素材が不適切
- 高い電圧をかけている
- 電解槽に隔膜がない
それぞれ解説します。
特徴①:電極の素材が不適切
「電極」の材質は、オゾンの生成に影響します。
オゾン生成装置では、オゾン生成効率を高めるために、二酸化鉛 (PbO2) やホウ素ドープダイヤモンド(BDD)といった特殊な電極材料が用いられます。これらの材料は、酸素発生過電圧が高く、オゾン生成反応が有利に進みやすい特性を持っています。
しかしながら、一般的な水素吸入器では、ステンレスやチタン・プラチナといった材質が使われているため、この条件に当てはまることはほとんどありません。これらの材質は主に酸素生成を促すため比較的安全です。ただし、電極の劣化等によって微量のオゾンが副産物として発生する可能性がゼロとは言い切れないでしょう。
特徴②:高い電圧をかけている
高い電圧をかけることでも、オゾンの生成が促進されます。
水の電気分解に必要な電圧は理論的に1.23V以上と言われますが、オゾン生成を目的とした装置では3.5〜4Vほどの電圧が必要とされています。1)
特徴③:電解槽に隔膜がない
水素ガスを発生させる「電解槽」に隔膜が用いられていない機器の場合は、発生したオゾンを意図せず吸入してしまう恐れがあります。
隔膜とは、水を電気分解して発生した酸素と水素を分けるためのものです。これが存在しない場合、酸素と水素が一緒に排出されるため、オゾンが混入するリスクが高まってしまいます。
オゾンのリスクを抑えた安全な水素吸入器の選び方
安心して水素吸入を行うために、オゾン発生のリスクが低い、安全な水素吸入器を選ぶための具体的なチェックポイントを見ていきましょう。
- 水素生成方式を確認する
- 電極の材質を確認する
- オゾン濃度の測定結果を確認する【最重要】
それぞれ解説します。
ポイント①:水素生成方式を確認する
「PEM(プロトン交換膜)方式」を採用した水素吸入器なら、オゾン吸入のリスクを抑えられます。
「PEM方式」では、特殊な膜(プロトン交換膜)で、水素と酸素を物理的に分離します。そのため、酸素側でオゾンが発生しても水素側に混入しにくくなります。
製品説明や仕様欄に「PEM方式」「プロトン交換膜方式」といった記載があるか確認してみましょう。
PEM方式で具体的にどのように水素を発生させているかについては、以下の記事で解説しています。ご興味があればぜひご参考ください。
>> 水素吸入器の仕組み徹底解剖!電解槽で水素を作るプロセスとは?
ポイント②:電極の材質を確認する
電極に「チタン+プラチナ(白金)コーティング」が使われていれば、安全です。
先述の通り、電極の材質はオゾン生成と関係しています。一般的な水素吸入器では、「チタン+プラチナ(白金)コーティング」などの貴金属を使用した安全な電極が用いられていますが、念の為確認しておきましょう。
実は、電極の材質はオゾンの生成以外にも、不純物や有害物質の生成とも関わってきます。それについては、以下の記事をご参考ください。
>> 水素吸入器の電極を徹底解説!ステンレス vs チタン・プラチナ、どちらを選ぶべき?
ポイント③:オゾン濃度の測定結果を確認する
上記2点に加えて、水素吸入器のオゾン濃度測定結果を確認すれば、オゾン対策は万全です。
安全意識の高いメーカーや販売者であれば、オゾンに関する情報を開示しています。「オゾンの検出なし」か「安全基準(0.1ppmや0.06ppm)を大幅に下回る数値」かを確認しましょう。
特に、第三者機関(メーカーとは独立した検査機関)による測定結果が示されていれば、客観性が高く、より信頼できます。
製品カタログやウェブサイトなどで、これらの表示や測定結果に関する記載を確認してください。
オゾン以外の安全性の判断ポイント
水素吸入器を選ぶ際は、オゾン以外にも以下の点も確認するとより安心です。
- 水素純度・濃度:99.9%以上で不純物の混入リスクが低い機器
- 安全機能:過電流防止や空焚き防止など、トラブル防止機能搭載
- 各種認証:日本や海外の安全基準認証(CEやFDA認証など)を取得
体を気遣って行う水素吸入で逆に体調を崩さないためにも、安全性の確認は非常に大切です。
水素吸入器の安全性については、『水素吸入器の「安全性」を見極める5つのポイント』の記事をご参考ください。
水素吸入器とオゾンに関するよくある質問
最後に、水素吸入器とオゾンに関して寄せられる質問と回答をまとめました。ぜひご参考ください。
Q1. 水素発生量が高いとオゾンも発生しやすい?
いいえ、水素発生量とオゾンの発生量は、直接的な関係はありません。
重要なのは、前述した「水素生成方式」と「電解槽の構造」です。
例えば、安全性の高いPEM方式を採用していれば、高い濃度の水素ガスを生成しつつ、オゾンの発生は極めて低く抑えることが可能です。逆に、古い方式や構造的に問題のある製品では、オゾンが発生してしまう可能性があります。
Q2. 使用している水素吸入器からオゾンが出ていないか心配な場合は?
まずメーカーに確認しましょう。それでも不安なら使用を見合わせることも検討します。
問い合わせる前に取扱説明書や仕様書を見て、水素生成方式(PEM方式など)やオゾンに関する記載(「オゾンフリー」表示、測定値など)、電極素材などの情報を確認することもできます。
安全性が確信できない場合は、使用を一時停止し、より安全性の高い製品への買い替えも選択肢です。
個人でのオゾン濃度測定は専用機器が必要で精度管理も難しいため現実的ではありません。メーカーへの確認が最も確実な方法です。
Q3. 水素吸入器からオゾン臭がしたら危険?
オゾン特有の臭いを感じたら、直ちに使用を中止し、換気してください。
オゾンには特有の臭い(生臭い、青臭い、塩素に似た臭いなどと表現される)があります。もし水素吸入器の使用中にこのような臭いを感じた場合は、オゾンが発生している可能性が考えられます。
その際は、直ちに吸入器の使用を中止し、窓を開けるなどして十分に換気を行ってください。そして、速やかにメーカーに連絡し、状況を説明して指示を仰ぎましょう。
臭いがするということは、無視できないレベルのオゾン濃度になっている可能性があります。
Q4. 定期的なメンテナンスはオゾン発生防止に関係ある?
メンテナンスは間接的にオゾン発生防止に役立ちます。
製品の安全性を維持するためには、定期的なメンテナンスが重要です。機器内部の汚れや劣化は予期せぬ動作不良や効率低下を招き、間接的に安全性を損なう可能性があります。たとえば、電極の汚れによって電気分解の効率が変化し、想定外の副反応が起きやすくなることも考えられます。
安全に長期間使用するためには、オゾンが発生しにくい設計の製品を選ぶことが最優先ですが、その上でメーカー推奨のメンテナンス(フィルターや電解槽の交換など)を適切に行うことが大切です。
Q5. PEM式かつ電極の材質をクリアしていても、オゾンを心配すべき?
PEM式の電解槽で、電極にチタンやプラチナが使われている場合は、基本的にはオゾンを吸い込むリスクは極めて低いと言えます。
しかし、先述の通りオゾン濃度の測定結果を公表している機器だと、より確実で、安心して利用できるでしょう。
当サイトとしては、オゾン濃度の測定結果を公表していないメーカーや販売者は、安全性を軽視している可能性もあるため、できれば避けておくことをおすすめします。
まとめ:オゾンのリスクを認識して安全に水素吸入をしよう
今回は、水素吸入器におけるオゾン発生のリスクと、安全な製品の選び方について詳しく解説しました。
オゾンは高濃度になると人体に有害であり、特に呼吸器系への刺激に注意が必要な気体です。
適切な設計がされていない場合、水素吸入中に意図せずにオゾンを吸入してしまうリスクがあります。
水素吸入は、手軽にできる健康法として注目されていますが、体内に直接取り入れるものだからこそ、安全性への配慮は絶対に欠かせません。この記事で紹介したポイントを参考に、ご自身やご家族が安心して使える水素吸入器を選んでください。