研究論文
Pilot Feasibility and Safety Study of Hydrogen Gas Inhalation in Locally Advanced Head and Neck Cancer Patients(局所進行頭頸部がん患者における水素ガス吸入のパイロット実行可能性および安全性研究)

頭頸部がん患者における水素吸入の安全性

一言まとめ

放射線化学療法と水素吸入を組み合わせた治療により、頭頸部がん患者の急性副作用を低減し、安全かつ実施可能であることが確認された。

3分で読める詳細解説

結論

水素吸入は、頭頸部がん患者の放射線化学療法において安全かつ実施可能であり、急性副作用を抑える可能性がある。

研究の背景と目的

局所進行した頭頸部がん患者の治療には、放射線治療と化学療法を組み合わせた「放射線化学療法(CCRT)」が標準的である。しかし、この治療は口腔粘膜炎や皮膚炎、嚥下障害などの重篤な急性副作用を引き起こし、患者の生活の質が低下する問題がある。本研究は、酸化ストレスを軽減する作用があるとされる水素ガス吸入がCCRTの副作用を低減できるかを検討することを目的とした。

研究方法

  • 対象者:局所進行した頭頸部がんの患者10名(年齢30~68歳、中央値58歳)
  • 治療内容:33回の強度変調放射線治療(IMRT)を平日ごとに実施、加えて週1回のシスプラチンまたはカルボプラチンの投与。
  • 水素吸入方法:放射線治療の1~2時間前に、1時間水素ガス(純度99.99%、流量1.2 L/分)をカニューレまたはマスクを通じて吸入。
  • 評価項目:80%以上の患者が20回以上の水素吸入を完了した場合に実施可能と判断。副作用の有無、治療中の急性副作用(倦怠感、食欲不振、口腔乾燥、口腔粘膜炎など)も評価。

研究結果

  • 水素吸入の実施率:全患者が33回の水素吸入を完了し、80%以上の基準を満たした。
  • 安全性:水素吸入中に血圧変動や副作用(咳、鼻血、めまい、吐き気など)は認められなかった。
  • 急性副作用:
    • 40%の患者にグレード2の皮膚炎、嚥下障害、口腔乾燥症が発生
    • グレード3の白血球減少症が1名に認められ、治療スケジュールが一部遅延
    • 治療後の追跡期間平均11.2か月において、1名に肺転移が確認されたが、それ以外の患者には病変の進行は認められず安定した状態を維持。

Appendix(用語解説)

  • 強度変調放射線治療(IMRT):がん細胞に正確に放射線を照射し、副作用を軽減する技術。
  • 水素ガス:酸化ストレスを軽減する効果があるとされるガス。

論文情報

タイトル

Pilot Feasibility and Safety Study of Hydrogen Gas Inhalation in Locally Advanced Head and Neck Cancer Patients(局所進行頭頸部がん患者における水素ガス吸入のパイロット実行可能性および安全性研究)

引用元

Chitapanarux, I., Onchan, W., Chakrabandhu, S., Muangwong, P., Autsavapromporn, N., Ariyanon, T., Akagi, J., & Mizoo, A. (2024). Pilot Feasibility and Safety Study of Hydrogen Gas Inhalation in Locally Advanced Head and Neck Cancer Patients. OncoTargets and therapy17, 863–870. https://doi.org/10.2147/OTT.S478613

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