一言まとめ
7つの臨床研究のメタ分析により、水素水の摂取が総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪を有意に低下させることが示された。
3分で読める詳細解説
結論
水素水の摂取は、臨床集団の血中脂質プロファイルを有意に改善する。
研究の背景と目的
近年、分子状水素(H2)が抗酸化作用を持つことが明らかにされ、多くの疾患モデルや臨床試験でその有効性が確認されている。特に、水素水(HRW)の摂取が脂質異常症などの代謝異常に対して有益である可能性が示唆されているが、これまでHRWの摂取と脂質プロファイルに関する系統的レビューやメタアナリシスは行われていなかった。本研究の目的は、HRW摂取が臨床集団における血中脂質プロファイルに与える影響を評価することである。
研究方法
- PRISMA ガイドラインに従い、PubMed/Medline、Web of Science、Scopus データベースを2022年10月4日まで検索。
- 選択基準を満たした7つの研究(計256名の参加者)をメタ分析に含めた。
- 対象は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、過体重、高コレステロール血症、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、高齢者など様々な臨床集団。
- 水素水の摂取量は5つの研究で1日約1L、1つの研究で1日500mL、1つの研究では不明。
- 介入期間は4週間から24週間。
- 6つの研究で総コレステロール、HDL、LDL、中性脂肪を評価。1つの研究では中性脂肪を除く3項目を評価。
研究結果
Appendix(用語解説)
- 水素分子(H2):2つの水素原子が結合して形成される分子。抗酸化作用を持つとされる。
- 水素水(HRW):水素分子を豊富に含む水。飲用による健康効果が期待されている。
- 総コレステロール(TC):血液中のコレステロール全体の量。
- 低密度リポタンパク質(LDL):血液中のコレステロールを運ぶリポタンパク質。LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」とも呼ばれ、過剰な場合、心血管疾患のリスクが高まる。
- 高密度リポタンパク質(HDL):血液中の余分なコレステロールを肝臓に運び戻す役割を持つリポタンパク質。HDLコレステロールは「善玉コレステロール」とも呼ばれ、心血管疾患のリスクを低減する。
- トリグリセリド(TG):体内でエネルギーとして使用される中性脂肪。
論文情報
タイトル
The Effects of Hydrogen-Rich Water on Blood Lipid Profiles in Clinical Populations: A Systematic Review and Meta-Analysis(臨床集団における水素水の血中脂質プロファイルへの影響:系統的レビューとメタ分析)
引用元
Todorovic, N., Fernández-Landa, J., Santibañez, A., Kura, B., Stajer, V., Korovljev, D., & Ostojic, S. M. (2023). The Effects of Hydrogen-Rich Water on Blood Lipid Profiles in Clinical Populations: A Systematic Review and Meta-Analysis. Pharmaceuticals (Basel, Switzerland), 16(2), 142. https://doi.org/10.3390/ph16020142
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