一言まとめ
潜在的メタボ患者20名に1日0.9-1.0リットルの水素水を10週間飲用させたところ、血清LDLコレステロールの低下、HDL機能の改善、酸化ストレスの減少が見られた。
3分で読める詳細解説
結論
水素水の飲用は、副作用が少ない療法で、潜在的メタボ患者の血清LDLコレステロールを低下させ、HDL機能を改善し、酸化ストレスを減少させる可能性がある。
研究の背景と目的
以前の研究で、水素分子には抗酸化作用や抗炎症作用があり、高脂肪食を与えたハムスターの血清コレステロールを低下させる効果が示されていた。しかし、ヒトにおける水素の脂質代謝への影響は不明だった。そこで本研究は、潜在的メタボ患者を対象に、水素水飲用が血清脂質プロファイルや酸化ストレスマーカーに与える影響を調査することを目的とした。
研究方法
- 潜在的メタボ患者20名(男性12名、女性8名、43歳以上)を対象とした。
- 被験者は10週間、1日あたり0.9-1.0リットルの水素水を飲用した。
- 水素水は、マグネシウムスティックを水に入れて作成。開封後15分以内に飲用させ、水素濃度は0.2-0.25mMに維持された。
- 介入前後で空腹時血液を採取し、血清脂質プロファイル、アポリポタンパク質、酸化ストレスマーカー、炎症マーカーなどを測定した。
- HDLの各種機能(LDL酸化防止作用、コレステロール排出促進作用など)も評価した。
研究結果
Appendix(用語解説)
- LDL(低比重リポタンパク質)コレステロール:動脈硬化の原因となる「悪玉コレステロール」。
- HDL(高比重リポタンパク質):「善玉コレステロール」と呼ばれ、動脈硬化を防ぐ働きがある。
- アポリポタンパク質:リポタンパク質の主要構成成分となるタンパク質。
- 酸化ストレス:活性酸素種によって引き起こされる細胞障害のこと。動脈硬化などの原因となる。
- MDA(マロンジアルデヒド):脂質過酸化の指標となる物質。
- SOD(スーパーオキシドジスムターゼ):活性酸素を分解する抗酸化酵素。
論文情報
タイトル
Hydrogen-rich water decreases serum LDL-cholesterol levels and improves HDL function in patients with potential metabolic syndrome(水素水は潜在的メタボ患者の血清LDLコレステロールを低下させ、HDL機能を改善する)
引用元
Song, G., Li, M., Sang, H., Zhang, L., Li, X., Yao, S., Yu, Y., Zong, C., Xue, Y., & Qin, S. (2013). Hydrogen-rich water decreases serum LDL-cholesterol levels and improves HDL function in patients with potential metabolic syndrome. Journal of lipid research, 54(7), 1884–1893. https://doi.org/10.1194/jlr.M036640
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