研究論文
VDT症候群に対する水素吸入の効果

VDT症候群に対する水素吸入の効果

一言まとめ

健常な大学生男女11名を対象として、VDT作業中の水素吸入が目の疲労や充血、ストレス、姿勢などに与える影響を調べたところ、水素吸入により目の痛みや違和感、首や肩の不調が改善し、目の充血度や調節力、姿勢の悪化も抑制された。

3分で読める詳細解説

結論

水素吸入はVDT作業による目や身体の疲労を軽減し、作業パフォーマンスの低下を防ぐ効果がある。

研究の背景と目的

近年、パソコンやスマートフォンなどのVDT(Visual Display Terminal)機器の使用が増加し、長時間のVDT作業による目の疲労や身体の不調、いわゆる「VDT症候群」が問題となっている。一方、水素には抗酸化作用や抗炎症作用があることが知られており、様々な疾患に対する治療効果が期待されている。そこで本研究では、VDT作業中の水素吸入が目や身体に与える影響を多角的に検証することを目的とした。

研究方法

19~23歳の健常な大学生11名(体重:57.7±5.4 kg,身長:172.1±5.3 cm)を対象に、30分間のVDT作業(単純なPC作業)を行ってもらい、その間、水素ガスまたは空気(プラセボ)を吸入。被験者には水素か空気かは伏せた。作業の前後で、以下の指標を測定し比較した。

  • 目や身体の疲労感などの主観的評価(アンケート)
  • ストレス指標(唾液アミラーゼ活性値)
  • 目の周辺皮膚温度(サーモグラフィ)
  • 目の充血度(デジタル画像解析)
  • 目の遠近調節力(遠近の視標識別時間:ノートPC)
  • 全身疲労度(AQフリッカー値)
  • 姿勢の前傾度(デジタル画像解析:AIカメラ)
  • 作業ミス率(タイピングミスの割合)

全被験者で合計86回(水素46回、空気40回)の実験を行い、一人当たり平均8回の実施。水素吸入のプロトコルは、1.7L/分の水素ガス(66.6%)を30分間、鼻カニューラにより吸入するというものだった。

研究結果

水素吸入により以下の効果が認められた。

  • 目の痛みや違和感、首や肩の不調に関する自覚症状が有意に改善(p<0.05)。
  • 目の充血度が作業後に有意に低下(p=0.009)。空気吸入では有意に上昇(p<0.001)。
  • 目の遠近調節力が作業後に有意に向上(p=0.029)。空気吸入では低下傾向。
  • 全身疲労度(フリッカー値)の悪化が抑制(有意差なし)。
  • 姿勢の前傾度合いの悪化が抑制(頭部p<0.001、胴体p<0.001)。
  • 作業ミス率が減少傾向(有意差なし)。
  • 一方、ストレス値や目の周辺温度への影響は明確ではなかった。

Appendix(用語解説)

  • VDT症候群:VDT作業の長時間化により生じる目の疲労、視力低下、肩こり、頭痛などの不調。
  • 唾液アミラーゼ:ストレスにより活性が高まる酵素。活性値でストレス度が評価できる。
  • フリッカー値:光の明滅を識別できる限界の周波数。疲労で低下する。

論文情報

タイトル

VDT症候群に対する水素吸入のプラス効果の検証

引用元

川野常夫. (2024). VDT症候群に対する水素吸入のプラス効果の検証. 摂南大学理工学部機械工学科 https://www.artra-group.co.jp/img/pdf/newsrelease/20240604.pdf

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