一言まとめ
非アルコール性脂肪性肝疾患患者43名に13週間の水素・酸素吸入を行ったところ、中等度〜重度の患者で肝臓の脂肪蓄積が改善した。また、マウスモデルと細胞実験でも水素の有効性と、その作用機序としてオートファジーの活性化が示唆された。
3分で読める詳細解説
結論
水素・酸素吸入は、中等度〜重度の非アルコール性脂肪性肝疾患患者の肝臓脂肪蓄積を改善し、オートファジー活性化がその機序の1つと考えられる。
研究の背景と目的
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は世界で最も一般的な慢性肝疾患だが、承認された治療薬はない。水素分子は抗酸化・抗炎症作用を持つことが知られており、NAFLDに対する効果が期待される。本研究では、NAFLD患者に対する水素・酸素吸入の効果を検証し、そのメカニズムとしてオートファジーに着目して探索することを目的とした。
研究方法
研究結果
Appendix(用語解説)
- NAFLD: 非アルコール性脂肪性肝疾患。肥満や生活習慣が原因で肝臓に脂肪が蓄積する病気。
- NASH: 非アルコール性脂肪肝炎。NAFLDが進行し、肝臓の炎症や線維化を伴う状態。
- オートファジー: 細胞内の不要なものを分解・リサイクルする仕組み。飢餓や細胞ストレス時に活性化する。
論文情報
タイトル
A randomized, placebo-controlled clinical trial of hydrogen/oxygen inhalation for non-alcoholic fatty liver disease(ランダム化プラセボ対照臨床試験による非アルコール性脂肪性肝疾患に対する水素・酸素吸入の効果)
引用元
Tao, G., Zhang, G., Chen, W., Yang, C., Xue, Y., Song, G., & Qin, S. (2022). A randomized, placebo-controlled clinical trial of hydrogen/oxygen inhalation for non-alcoholic fatty liver disease. Journal of cellular and molecular medicine, 26(14), 4113–4123. https://doi.org/10.1111/jcmm.17456
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