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研究報告

過敏性腸症候群における水素分子の影響メカニズム

更新日:2025/05/20
Mechanism of influence of molecular hydrogen on the function of the proximal tubule of the nephron in irritatable bowel syndrome(過敏性腸症候群における分子状水素の近位尿細管機能への影響メカニズム)
過敏性腸症候群の患者60名に7日間、水素水(1リットル/日)を投与したところ、腎臓の近位尿細管機能の改善、炎症性サイトカインの減少、腸内の有益菌の増加が見られ、患者の全体的な状態も改善した。
  1. 13分で読める詳細解説
    1. 結論
    2. 研究の背景と目的
    3. 研究方法
    4. 研究結果
    5. 論文情報
  2. 2専門家のコメント

3分で読める詳細解説

結論

水素分子は高い浸透性と選択的抗酸化作用により、過敏性腸症候群における腎臓近位尿細管の機能を改善する。

研究の背景と目的

過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛、排便習慣の変化(下痢や便秘)、鼓腸などを特徴とする機能性腸疾患である。IBSの病態生理には炎症性サイトカインの関与が示唆されており、これが脂質過酸化を活性化し、酸素活性種に非常に敏感な腎臓の近位尿細管の機能障害につながる可能性がある。
一方、水素分子は選択的抗酸化作用、抗炎症作用、抗アポトーシス作用を持ち、酸化ストレスを抑制することが知られている。水素は膜を迅速に透過する能力があり、ヒドロキシルラジカルやペルオキシナイトライトなどの最も危険な細胞毒性活性酸素種と反応することができる。
本研究の目的は、過敏性腸症候群における腎臓の近位尿細管の機能状態に対する水素分子の病態生理学的保護効果を解明することである。

研究方法

  • 対象者:過敏性腸症候群患者60名(男性18名、女性42名、年齢28〜62歳)
    • 便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)28名
    • 下痢型過敏性腸症候群(IBS-D)32名
    • 対照群:健康な被験者25名
  • 介入方法:水素水1リットル/日(250ml×4回/日)を7日間
    • 水素濃度:1.0-1.2ppm
    • 酸化還元電位:-250〜-350mV
    • 使用機器:Blue Water 900(韓国製)
  • 評価方法:
    • 一般臨床検査(Likertスケール)
    • 機能検査(腎臓における近位ナトリウムイオン再吸収)
    • 酵素免疫測定法(血漿中のサイトカイン濃度:TNF-α、IL-1β、IL-6)
    • 微生物学的検査(大腸内腔のB. bifidumとB. lactisの菌数)
    • 生化学的検査(尿中の総線維素溶解活性、酵素的線維素溶解活性)

研究結果

  • 炎症性サイトカインへの影響
    • IBS-CとIBS-D患者では、対照群と比較して血漿中のIL-6、IL-1β、TNF-αが有意に上昇していた
    • 水素水摂取後、これらの炎症性サイトカインのレベルが有意に減少した(p<0.05)
  • 尿中線維素溶解活性と腎機能への影響
    • IBS-CとIBS-D患者では、尿中の総線維素溶解活性と酵素的線維素溶解活性が抑制されていた
    • 同時に、腎臓における近位ナトリウムイオン再吸収も抑制されていた
    • 水素水摂取後、これらのパラメータが改善した(p<0.05)
  • 患者の全体状態と腸内細菌叢への影響
    • IBSの患者では、Likertスケールで評価した全体状態が悪化し、スコアが増加していた
    • 同時に、大腸内腔の保護的微生物叢(B. bifidum、B. lactis)の減少が認められた
    • 水素水摂取後、患者の全体状態が改善し、保護的微生物叢も増加した(p<0.05)
  • 病態生理学的メカニズム
    • 水素分子の保護効果は、高い浸透性とヒドロキシルラジカルやペルオキシナイトライトを中和する能力による
    • 水素分子は慢性ストレス、精神的不適応、不安反応の症状を軽減し、APUD細胞(EC-エンテロクロマフィン)の過形成と、セロトニン、モチリン、サブスタンスPなどの活性物質の過剰を抑制する
    • これにより、大腸の過機能や局所的な炎症プロセス、腸のバリア機能障害が予防される
    • また、悪循環サイクルを断ち切り、IBSにおける腎臓と腸の損傷を軽減する

Appendix(用語解説)

  • 近位尿細管:腎臓のネフロンの一部で、糸球体で濾過された原尿からナトリウムイオンなどの物質を再吸収する重要な部位。
  • サイトカイン:細胞から分泌されるタンパク質で、細胞間の情報伝達に関与し、免疫反応や炎症反応を調節する。
  • 線維素溶解活性:血栓を溶解する酵素系の活性度を示す指標。
  • ヒドロキシルラジカル:非常に反応性の高い酸素活性種の一種で、細胞の構成成分を酸化し損傷を与える。
  • ペルオキシナイトライト:一酸化窒素とスーパーオキシドが反応して生成される強力な酸化剤。
  • APUD細胞:アミン前駆体取り込み・脱炭酸化の機能を持つ内分泌細胞の一種。

論文情報

タイトル

Mechanism of influence of molecular hydrogen on the function of the proximal tubule of the nephron in irritatable bowel syndrome(過敏性腸症候群における分子状水素の近位尿細管機能への影響メカニズム)

引用元

Rohovyi, Y., Tsitrin, V., Bilooka, Y., Arkchipova, L., & Bilookiy, V. (2021). Mechanism of influence of molecular hydrogen on the function of the proximal tubule of the nephron in irritatable bowel syndrome. Journal of Education, Health and Sport, 11(2), 53-62. https://doi.org/10.12775/JEHS.2021.11.02.006

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公開日:2025/05/20
最終更新日:2025/05/20
目次
  1. 3分で読める詳細解説
    1. 結論
    2. 研究の背景と目的
    3. 研究方法
    4. 研究結果
    5. 論文情報
  2. 専門家のコメント

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公開日:2025/05/20
最終更新日:2025/05/20
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