P300事象関連電位は、特定の課題を行っている際に珍しい刺激を認識したり識別したりする能力を測る脳の反応の一種です。
この反応は、刺激が与えられてから約250~500ミリ秒後に脳の特定の領域で観測される陽性の波形として表れ、私たちの認知機能の働きを示しています。1965年にSuttonらによって初めて発見されたこの現象は、脳の内因性電位の一つとされ、特に認知機能障害の非侵襲的な評価方法として研究されています。
P300の反応時間や強度は、課題の種類や難易度、刺激間の時間、刺激の確率や強度など、多くの要因に影響されます。また、加齢によっても変化し、頭皮上での分布は年齢とともに頭頂部から中心部へと移動すると言われています。これまでの研究では、健康な人におけるP300の加齢に伴う変化を詳しく調べる報告は少ないですが、この研究分野では加齢とP300の関係についてさらに知見を深めることが期待されています。