生活習慣病
【医師監修】狭心症予防に水素吸入が注目!最新研究からわかるその可能性

【医師監修】狭心症の予防・改善に水素吸入が効果的?最新研究を専門家が解説

《この記事の執筆者》

胸の痛みや圧迫感を感じる「狭心症」、そのリスクを軽く見ていませんか?

放置すると命に関わる心筋梗塞に進行する可能性もあるこの病気。実は生活習慣の改善とともに「水素吸入」が新たな予防・改善の可能性を秘めていることをご存じでしょうか。

本記事では、最新の研究をもとに水素吸入が狭心症に与える影響をわかりやすく解説します。科学的根拠を踏まえ、信頼性の高い情報をお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。

すいかつねっとのエビデンス評価
3.0

水素吸入は狭心症の予防や症状改善に役立つ可能性が示唆されているが、現在の根拠は動物実験および水素水の研究に留まる。さらなる有効性の確立に向けて、水素吸入を用いたヒトを対象とした臨床試験による裏付けが求められる段階。

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狭心症について

狭心症について

狭心症とは、虚血性心疾患の一種で心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が一時的に狭くなる病気のことです。心臓は絶えず動いているため酸素や栄養がたくさん必要となり、血流が低下すると痛みが生じます。

狭心症を放っておくと心臓の筋肉にダメージが生じるだけでなく、冠動脈が完全に閉塞すると命に関わる心筋梗塞に進行するため注意が必要です。

まずは狭心症の原因、症状、治療方法について詳しく見てみましょう。

狭心症の原因

狭心症は、心臓の筋肉に酸素と栄養を送るための冠動脈という血管が一時的に狭くなることで、心臓の筋肉への血流が低下する病気です。

原因は多岐に渡りますが、最も多いのは動脈硬化とされています。動脈硬化は高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病や喫煙習慣などによって血管の内側が硬くなって狭くなる状態のことを指します。そのため、狭心症は生活習慣病の一種に分類されています。

一方で、狭心症の中には動脈硬化がなくてもストレスなどで冠動脈が一時的に収縮することで引き起こされるタイプもあります。

狭心症の症状

狭心症には大きく分けて、「労作性狭心症」、「安静時狭心症」、「不安定狭心症」の3つのタイプがあります。

労作性狭心症は体を動かしたときに胸の圧迫感や痛みが生じ、痛みが肩、背中、お腹、首などに広がるのが特徴です。

一方、安静時狭心症は就寝中や明け方など体を動かしていないにも関わらず突然胸の圧迫感や痛み、動悸、息切れなどの症状が引き起こされるのが特徴です。

労作性狭心症も安静時狭心症も痛みは数分で改善するため、発症を繰り返しても放置してしまうケースは少なくありません。

また、不安定狭心症は、狭心症の症状が頻回に生じるようになった状態のことを指します。不安定狭心症は心筋梗塞の前触れとされており、早急な治療が必要となります。

狭心症の治療方法

狭心症の多くは、冠動脈の血流を改善するための薬物療法と生活改善によって治療を行います。しかし、狭心症は重症化すると薬物療法では十分な効果が得られないケースも少なくありません。

そのような場合には、心筋梗塞へ進行する前に冠動脈を広げるためのカテーテル治療や手術が必要となります。

水素吸入が狭心症の予防や治療に役立つ可能性

狭心症は重症化すると心筋梗塞に進行して命に関わることもある病気です。現在では有効な薬物療法、カテーテル治療、手術などの治療が確立していますが、今でも狭心症で命を落とす人や重篤な後遺症が残る人も少なくありません。

狭心症の新たな予防や治療方法を見出すための研究は続けられています。

これまでのところ、水素吸入と狭心症との関係を直接的に示す研究は行われていません

しかし、水素吸入が狭心症の予防や治療をサポートできる可能性を示す研究結果は報告されています。

具体的な内容を詳しく見てみましょう。

水素水は動脈硬化を抑制して狭心症の発症を予防する?

2018年、日本の研究チームは水素水(水素ガスが溶けた水)が動脈硬化を抑制する可能性を示す研究結果を報告しました1)。

この研究では、動脈硬化を誘発したマウスに水素水の投与を継続したところ、動脈硬化が改善したことが明らかになっています。研究者たちは水素水による抗酸化作用と抗炎症作用による効果であると言及し、水素が新たな治療方法の一つとなり得ることを示しました。

水素吸入が狭心症を予防する可能性

今回の研究から、水素には狭心症の主な原因となる動脈硬化を改善する効果が期待できることが明らかになりました。水素吸入の抗酸化作用にも同等またはそれ同等以上の効果が期待できる可能性があるでしょう。

まだ動物実験の段階であるため確実な効果があると断言はできません。が、今後さらに研究が進んで水素吸入が狭心症の予防をサポートする役割を担う日が来ることを期待しまます。

水素水は安静時狭心症の症状を改善する?

2021年、中国の研究チームは水素水の飲用が安静時狭心症の症状を改善する可能性があることを示唆する研究結果を報告しました2)。

この研究では、安静時狭心症患者40名を対象に通常の薬物療法などのほかに水素水を3か月摂取させ、その後の症状の変化が検証されました。その結果、水素水を飲んだ患者は飲んでいない患者と比べて胸痛などの症状が改善したことが明らかになっています。

水素吸入が狭心症の治療に役立つ可能性

今回の研究結果から、水素には狭心症の症状を改善する効果を持つことが示唆されました。明確なメカニズムはまだ解明されていませんが、体内に効率よく水素を取り込める水素吸入にも同様の効果が期待できる可能性は高いでしょう。

今後はさらに研究対象の人数を増やして大規模な臨床研究を行い、水素吸入が狭心症の補助的な治療方法の一つとなることを期待しましょう。

【私はこう考える】水素吸入と狭心症

狭心症は中年以降の男性によく見られる病気です。しかし、症状は数分で改善するため軽く考えて放置してしまう人も少なくありません。

筆者は数年前から狭心症を疑う症状がありながらも未治療のままで過ごし、心筋梗塞を発症して救急搬送される患者さんに遭遇したことがあります。また、適切な治療を開始しても症状がないため治療を自己中断してしまう患者さんも少なくないでしょう。

今回紹介した2つの研究結果は、自宅でも簡単にできる水素吸入が狭心症の予防や治療に役立つ可能性を示す貴重な結果であったと考えます。

特に日本の研究チームによる実際の患者を対象として研究結果は、水素のパワーを再認識できるきっけかになったのではないでしょうか。さらに研究が進み、水素吸入が狭心症をはじめ幅広い疾患の予防や治療に役立つことを期待します。

参考文献
  1. Iketani, M., Sekimoto, K., Igarashi, T., Takahashi, M., Komatsu, M., Sakane, I., Takahashi, H., Kawaguchi, H., Ohtani-Kaneko, R., & Ohsawa, I. (2018). Administration of hydrogen-rich water prevents vascular aging of the aorta in LDL receptor-deficient mice. Scientific reports8(1), 16822. https://doi.org/10.1038/s41598-018-35239-0
  2. Si, Y., Tian, H., Dong, B., Zhang, Y., Wen, Y., Jia, X., Li, Y., Zhang, A., & Qin, S. (2021). Effects of hydrogen as adjuvant treatment for unstable angina. Experimental biology and medicine (Maywood, N.J.)246(18), 1981–1989. https://doi.org/10.1177/15353702211009138

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