感染症
【医師監修】子どもの夏風邪「ヘルパンギーナ」に水素吸入は効く?最新研究を徹底解説

【医師監修】子どもの夏風邪「ヘルパンギーナ」に水素吸入は効く?最新研究を徹底解説

《この記事の執筆者》

夏場に子どもたちを悩ませる「ヘルパンギーナ」。

一見、軽い風邪症状に思われがちなこの病気ですが、口内炎や高熱で子どもたちの食事や水分摂取を妨げ、場合によっては脱水症や髄膜炎など重い合併症を引き起こすこともあります。

特効薬やワクチンが存在しないため、予防や症状緩和の手段が求められる中、水素吸入の抗炎症作用や抗酸化作用が注目されています。

本記事では、ヘルパンギーナの概要から水素吸入がどのようにヘルパンギーナの予防や治療に役立つ可能性を持つのかを最新の研究をもとに解説します。家族の健康を守るヒントとしてぜひ最後までご覧ください。

すいかつねっとのエビデンス評価
3.0

水素吸入がヘルパンギーナの症状改善に寄与する可能性を示す初期的な研究が存在するが、現段階では動物実験や水素水の研究結果に留まる。応用の可能性を探るため、ヘルパンギーナそのものを対象とした研究やヒト臨床試験が求められる。

すいかつねっとのエビデンス評価基準はこちら)

ヘルパンギーナについて

ヘルパンギーナについて

ヘルパンギーナとは、子どもがかかりやすい感染症の一種です。夏を中心にウイルス感染で発症し、一般的には軽度な風邪症状のみで自然に回復します。しかし、髄膜炎や心筋炎など重篤な合併症を引き起こすことも知られている病気です。

また、痛みを伴う口内炎を引き起こすため十分な水分が摂取できず、脱水症になるケースもあります。

まずはヘルパンギーナの原因、症状、治療方法について詳しく見てみましょう。

ヘルパンギーナの原因

ヘルパンギーナはエンテロウイルス属と呼ばれるタイプのウイルスに感染することで発症する病気です。エンテロウイルスにはコクサッキーウイルス、エコーウイルスなど様々なタイプがあるため、一度発症しても別のウイルスに感染すれば発症を繰り返すのが特徴です。

エンテロウイルス属は接触感染(ウイルスが付着したものに触れる)、飛沫感染(ウイルスが含まれた感染者のしぶきを吸い込む)によって周囲に感染が広がっていきます。

ヘルパンギーナの症状

ヘルパンギーナはウイルスに感染して2~4日ほどの潜伏期間を経て次のような症状が現れます。

ヘルパンギーナの症状
  • 発熱(38~40℃の高熱)
  • のどの痛み
  • 口内炎

多くは2~4日程度で解熱しますが、口内炎が潰れて潰瘍ができるため痛みが継続するのが特徴です。そのため、重症な場合には十分な飲食ができずに脱水症になるケースもあります。

また、ヘルパンギーナのほとんどは後遺症なく回復しますが、髄膜炎や心筋炎を合併することがあるため、強い頭痛や嘔吐、息切れなどの症状には注意が必要です。

ヘルパンギーナの治療方法

現在のところ、ヘルパンギーナの原因となるエンテロウイルス属を退治するための薬剤は開発されていません。

そのため、ヘルパンギーナの治療は解熱剤や鎮痛剤などを用いて症状を和らげる対症療法が主体となります。

特別な治療をしなくても自然に回復するケースがほとんどですが、水分摂取が十分にできない場合には水分を補給するために点滴が必要となります。

水素吸入がヘルパンギーナの予防や治療に役立つ可能性

ヘルパンギーナは子どもの間で流行しやすい感染症です。一方で、大人が感染すると軽度な症状のみが現れるケースが多いですが、高齢者や持病があるなど免疫機能が低下している人が感染すると重症化するリスクも高いとされています。

先述したように、ヘルパンギーナに対する有効なワクチンや抗ウイルス薬は今のところ開発されていません。そのため、予防や治療方法を見出すための研究が続けられています。

これまで、ヘルパンギーナへの水素吸入の直接的な効果を示した研究報告は行われていません。しかし、水素吸入の応用を期待できる研究結果は報告されています。

具体的な内容を詳しく見てみましょう。

抗酸化物質がエンテロウイルスへの感染を防御する?

2007年、アメリカの研究者は抗酸化作用があるセレンとビタミンEがエンテロウイルスの一種であるコクサッキーウイルスの感染予防に役立つ可能性を示す論文を発表しました1)。

この論文は、これまで行われてきた様々な研究結果をまとめて新たな結論を導き出す総説論文です。この総説論文ではセレンとビタミンEの欠乏はウイルス感染時の酸化ストレスを増加させて免疫機能を衰えさせることを示しています。また、適切な摂取がウイルス感染に対する防御を強化する可能性に言及しています。

水素吸入がヘルパンギーナの感染予防に役立つ可能性?

今回の総説論文から、ヘルパンギーナの原因となるコクサッキーウイルスの感染には活性酸素が関与していること、抗酸化物質の投与が感染予防に役立つ可能性を持つことが示されました。

確実な効果があると言える段階ではありませんが、この説が正しいとすれば同じく抗酸化作用がある水素吸入にも同様の効果が期待できる可能性があります。

現在、ヘルパンギーナに対するワクチンはないため感染予防には手洗いなどの基本的な対策しか方法がありません。今回の研究は水素吸入の可能性も含めて非常に有益な結果であったと言えるでしょう。

水素吸入がヘルパンギーナの症状を改善する?

2024年、韓国の研究チームは水素吸入がのどを含めた気道の炎症を改善する可能性を示す研究結果を報告しました2)。

この研究では喘息を発症させたマウスに水素ガスを吸入させ、体内の炎症性物質の量や気道組織の変化などが調べられました。その結果、水素ガスを吸入したマウスは有意に気道の炎症が軽減し、酸化ストレスが緩和したことが明らかになっています。

また、2016年に日本の研究チームは水素水(水素ガスが溶けた水)が口内炎や口腔粘膜の炎症を改善する可能性を示唆する研究結果を報告しています3)。

この研究では口腔内に炎症がある6名のヒトが対象となり、1か月間毎日水素水を飲んで変化が検証されました。結果として炎症性物質が有意に減少し、出血などの症状が改善したことが示されました。

水素吸入がヘルパンギーナの治療に役立つ可能性

今回の2つの研究結果から、水素分子にはヘルパンギーナで起こりうるのどの炎症や口内炎などの症状を改善する可能性を持つことが示唆されました。

研究はヘルパンギーナに特化した検証ではありませんが、対症療法しか治療方法がヘルパンギーナの新たな治療を見出す上で有益な結果であったと考えます。

効果を立証するにはヘルパンギーナの患者を対象として大規模な臨床研究が必要になりますが、今後の進展に期待しましょう。

【私はこう考える】水素吸入とヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは軽度な風邪症状のみで自然に治ることが多い感染症です。しかし、重症化するケースもあるため特に子ども、高齢者、持病があって免疫機能が低下している人は注意すべき感染症でもあります。

また、軽度な症状のみとはいえ口内炎が潰れると強い痛みを伴うため、これまでにもつらい症状に悩まされる患者さんを多く診てきました。

今回紹介した研究結果は、有効な予防や治療方法が確立していないヘルパンギーナに水素療法が応用できる可能性を示したと言えるでしょう。

特にアメリカの研究者による報告では抗酸化物質がヘルパンギーナの主な原因となるコクサッキーウイルスの感染予防に役立つ可能性を示した画期的な結果と考えます。ヘルパンギーナの予防方法の確立への光になったと言えます。

また、水素吸入がヘルパンギーナの症状を和らげる可能性を示す研究結果の報告されており、治療方法として水素吸入が取り入れられる日が来るかもしれません。まだ道のりは長いですが、今後の進展を待ちたいと思います。

参考文献
  1. Beck M. A. (2007). Selenium and vitamin E status: impact on viral pathogenicity. The Journal of nutrition137(5), 1338–1340. https://doi.org/10.1093/jn/137.5.1338
  2. He, W., Rahman, M. H., Bajgai, J., Abdul-Nasir, S., Mo, C., Ma, H., Goh, S. H., Bomi, K., Jung, H., Kim, C. S., Lee, H., & Lee, K. J. (2024). Hydrogen Gas Inhalation Alleviates Airway Inflammation and Oxidative Stress on Ovalbumin-Induced Asthmatic BALB/c Mouse Model. Antioxidants (Basel, Switzerland)13(11), 1328. https://doi.org/10.3390/antiox13111328
  3. 水素水による口内炎抑制・軽減効果の検討|有川 量崇

この記事は役に立ちましたか?

役に立ったら、下のボタンで教えてください。

新着記事
会員限定
おすすめ
PAGE TOP
ログイン

\水素吸入に関する無料相談受付中!/

お友だち追加

\水素吸入に関する無料相談受付中!/

LINEお友だち追加