消化器系
【医師監修】お酒好き必見!アルコール性肝障害を予防・改善する秘策は水素吸入?

【医師監修】お酒好き必見!アルコール性肝障害を予防・改善する秘策は水素吸入?

《この記事の監修者》

お酒は好きで、健康診断で肝臓の数値が引っかかってしまった…そんな経験はありませんか?

もしかしたら、それは「アルコール性肝障害」のサインかもしれません。

アルコール性肝障害は、長い間お酒を飲みすぎることで肝臓がダメージを受ける病気です。放っておくと肝硬変など、命に関わる病気に進行してしまう可能性もあります。

本記事では、アルコール性肝障害の基礎知識から、最新の治療法として注目されている「水素吸入療法」についてわかりやすく解説します。

すいかつねっとのエビデンス評価
3.0

アルコール性肝障害に対する水素吸入の効果は、基礎研究や動物実験レベルで期待されるが、ヒトでの直接的なエビデンスが限られている。臨床応用にはデータの拡充が必要。

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アルコール性肝障害ってどんな病気?

アルコール性肝障害ってどんな病気?

アルコール性肝障害とは、長期にわたる大量飲酒によって肝臓に生じる障害の総称です。

肝臓はアルコールを分解する重要な臓器ですが、過剰なアルコールの摂取によって、脂肪の蓄積(脂肪肝)や肝細胞の炎症・破壊が進むことがあります。

この状態がさらに悪化すると、肝臓が硬くなる肝硬変へと進行し、日常生活に大きな影響を及ぼします。

まずは、アルコール性肝障害の主な原因や症状、治療法について解説していきます。

アルコール性肝障害の原因

アルコール性肝障害の主な原因は、過剰なアルコール摂取です。

体内でアルコールを分解するときに生じる有害物質(アセトアルデヒド)が肝細胞を傷つけることで、肝障害が進行します。

また、遺伝的な要因や性別、栄養状態も進行度に影響を与えることがわかっています。

特に遺伝的にアセトアルデヒドの分解酵素(ALDH2)の活性が低い人が多い日本人は、肝障害の進行が早まる可能性があるため注意が必要です。

アルコール性肝障害の症状

アルコール性肝障害は、初期段階では自覚症状がほとんどないことが多いです。

しかし、病気が進行すると以下のような症状が現れることがあります。

アルコール性肝障害の進行時の症状
  • 倦怠感・食欲不振
    体がだるい、食欲がわかないなどの症状が続く
  • 黄疸
    皮膚や白目の部分が黄色くなる
  • 腹部の張り
    腹水が溜まりやすくなり、お腹が張る
  • 吐き気や嘔吐
    肝機能低下による消化器症状

さらに進行すると、肝硬変に至り、肝性脳症や食道静脈瘤破裂、肝臓がんなど、生命に関わる重篤な合併症を引き起こす恐れがあります。

アルコール性肝障害の治療方法

アルコール性肝障害の治療の基本は、なんといっても「禁酒」です。

禁酒により、肝臓の健康状態を示す血清AST、ALTおよびγ−GTP値などの指標が改善することが分かっています。

その他の治療法としては、以下のようなものがあります。

アルコール性肝障害の治療方法
  • 薬物療法
    肝臓の働きを助ける薬や、炎症を抑える薬などが用いられます。また、ビタミンやミネラルも欠乏していることが多く、補充します。
  • 栄養療法
    肝臓の再生を促すために、バランスの良い食事を心がけ、特にタンパク質を十分に摂取することが大切です。
  • 肝移植
    肝臓の機能が著しく低下した場合には、肝移植が必要となることもあります。

水素吸入療法はアルコール性肝障害に効果がある?

近年、「水素ガスを吸入することで酸化ストレスを低減し、さまざまな疾患に効果が期待できる」という研究報告が増えています。

アルコール性肝障害においても、肝細胞を傷つける活性酸素を抑え、炎症を軽減し予防や改善につながるのではと期待されています。

ここでは、これまでの研究報告をもとにその可能性について考察します。

アルコール性肝障害の予防効果の可能性

アルコール性肝障害の発症リスクが高い集団を対象とした水素吸入の研究は、まだ十分に行われていません。

しかし、水素がアルコールの代謝によって生じる有害物質であるアセトアルデヒドの生成を抑制する可能性が示唆されています。2)

また、水素は肝臓の脂肪蓄積を抑制する効果も報告されています。 3)

予防効果の確立にはさらなる研究が必要ではあるものの、これらの結果から水素吸入はアルコール性脂肪肝(アルコール性肝障害の1つ)の予防に役立つ可能性があると考えられます。

アルコール性肝障害の改善効果の可能性

アルコール性肝障害の改善効果についても、いくつかの基礎研究や動物実験で有望な結果が報告されています。

例えば、急性アルコール誘発性肝障害のマウスモデルにおいて、水素腹腔内投与は肝臓の炎症や細胞死を抑制し、肝機能を改善することが示されています。4)

また、急性アルコール性肝障害のマウスモデルにおいて、水素吸入が抗炎症および抗酸化作用を通じて肝障害を軽減することが報告されています。5)

これらの研究から、水素を取り込むことでアルコールによって低下した肝機能の改善や重症化予防に役立つ可能性が示唆されたと言えます。

まとめ:水素吸入でアルコール性肝障害は防げるのか?

アルコール性肝障害は初期症状で自覚しづらく、気づいた時には重症化しているケースも多いです。

水素吸入療法は、このアルコール性肝障害の予防や改善に役立つ可能性が期待されています。特に、副作用が少なく安全性の高い治療法である点が大きなメリットでしょう。

ただし、現時点ではアルコール性肝障害に対する水素吸入の効果を検証した臨床試験は少なく、エビデンスはまだ十分とは言えません。

今後、さらなる研究の進展によって、水素吸入の有効性や安全性が明らかになり、より確かな情報をお届けできる日が来ることを期待しています。

最後に、アルコール性肝障害の予防や改善には、なんと言ってもアルコールの過剰摂取を避けることが一番です。

また、初期症状では気付きにくいため、定期的な健康診断で肝臓の数値に異常がないかもチェックしておくことも大切になります。

お酒好きの方はくれぐれも飲みすぎず、節度を持って楽しむように心がけましょう。

参考文献
  1. アルコール性肝障害|国立研究開発法人国立国際医療研究センター肝炎情報センター
  2. Yano, S., Wang, J., Kabayama, S., & Hara, T. (2021). Electrolyzed Hydrogen Water Protects against Ethanol-Induced Cytotoxicity by Regulating Aldehyde Metabolism-Associated Enzymes in the Hepatic Cell Line HepG2. Antioxidants (Basel, Switzerland), 10(5), 801. https://doi.org/10.3390/antiox10050801
  3. Korovljev, D., Stajer, V., Ostojic, J., LeBaron, T. W., & Ostojic, S. M. (2019). Hydrogen-rich water reduces liver fat accumulation and improves liver enzyme profiles in patients with non-alcoholic fatty liver disease: a randomized controlled pilot trial. Clinics and research in hepatology and gastroenterology, 43(6), 688–693. https://doi.org/10.1016/j.clinre.2019.03.008
  4. Zhang, Y., Bi, M., Chen, Z., Dai, M., Zhou, G., Hu, Y., Yang, H., & Guan, W. (2021). Hydrogen gas alleviates acute alcohol-induced liver injury by inhibiting JNK activation. Experimental and therapeutic medicine, 21(5), 453. https://doi.org/10.3892/etm.2021.9884
  5. Liu, H., Kang, X., Ren, P., Kuang, X., Yang, X., Yang, H., Shen, X., Yan, H., Kang, Y., Zhang, F., Wang, X., Guo, L., & Fan, W. (2023). Hydrogen gas ameliorates acute alcoholic liver injury via anti-inflammatory and antioxidant effects and regulation of intestinal microbiota. International immunopharmacology, 120, 110252. https://doi.org/10.1016/j.intimp.2023.110252

このコラム記事は、一般的な医学的情報および最新の研究動向をもとに作成しておりますが、読者の方の個別の症状や体質などを考慮したものではありません。また、医学的アドバイス、診断、治療に代わるものではなく、特定の製品や治療法の効果・効能を保証、証明するものでもありません。健康上の問題がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、医師などの専門家に必ずご相談ください。本コラム記事の情報をもとに被ったいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いかねます。

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