水素分子によって眼疾患は終焉を迎えるか

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結論

水素分子は活性酸素種を選択的に除去し、抗炎症・抗アポトーシス作用を示す。様々な眼疾患の予防・治療に有望。

研究の背景と目的

眼は光に常にさらされ、活性酸素種が大量に発生しやすい。過剰な活性酸素種は様々な眼疾患の発症・進行に関与する。水素分子は活性酸素種を選択的に除去し、副作用が少ないことから、眼疾患治療への応用が期待される。本総説の目的は、水素分子の特性と眼疾患への応用可能性について、基礎研究から臨床研究までの知見を概説することである。

研究方法

水素分子の特性、眼組織への移行性、投与方法、作用機序、各種眼疾患モデルや患者での治療効果などについて、過去の文献を幅広く調査し、総説としてまとめた。

研究結果

• 水素分子は組織移行性が高く、活性酸素種を選択的に除去する。抗炎症作用や抗アポトーシス作用も示す。
• 水素分子は、水素ガス吸入、水素水の点眼や飲用、水素化生理食塩水の点眼や腹腔内投与など、様々な方法で投与できる。
• ドライアイ、角膜アルカリ熱傷、UVB角膜障害、白内障、ぶどう膜炎、網膜色素変性症、糖尿病網膜症、緑内障、加齢黄斑変性、視神経挫滅など、様々な眼疾患モデルで水素の有効性が示された。
• ドライアイや白内障患者に対する臨床研究でも、水素の有効性が示唆された。
• 水素の主な作用機序は、活性酸素種の選択的除去、抗炎症作用（NF-κBやサイトカイン抑制）、抗アポトーシス作用（Bcl-2増加、Bax減少など）である。

Appendix（用語解説）

• 活性酸素種：酸素に由来する反応性の高い分子の総称。スーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシルラジカルなど。
• アポトーシス：プログラムされた細胞死。Bcl-2はアポトーシス抑制タンパク質、Baxはアポトーシス促進タンパク質。
• NF-κB：炎症に関与する転写因子。

論文情報

タイトル

Novel Role of Molecular Hydrogen: The End of Ophthalmic Diseases?（水素分子の新たな役割：眼疾患の終焉？）

引用元

Li, S. Y., Xue, R. Y., Wu, H., Pu, N., Wei, D., Zhao, N., Song, Z. M., & Tao, Y. (2023). Novel Role of Molecular Hydrogen: The End of Ophthalmic Diseases?. Pharmaceuticals (Basel, Switzerland), 16(11), 1567. https://doi.org/10.3390/ph16111567

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