慢性鼻炎に対する水素水鼻腔洗浄の効果

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結論

水素水による鼻腔洗浄は、慢性鼻炎の症状改善に有効である可能性が示された。特にアレルギー性鼻炎で効果が大きい。

研究の背景と目的

慢性鼻炎は世界人口の約30%が罹患する一般的な疾患。鼻腔洗浄は有効な治療法だが、一時的な効果しかない。本研究では、抗酸化・抗炎症作用を持つ水素水による鼻腔洗浄の効果を検証。

研究方法

• 対象：18歳から65歳の慢性鼻炎患者120名
• 方法：無作為二重盲検比較試験
• 群分け：水素水洗浄群(HRS群)と生理食塩水洗浄群(NS群)に無作為に分類
• 治療：1日2回、4週間継続して100mlの灌流液で鼻腔洗浄を実施
• 評価項目：鼻症状スコア(TNSS)、鼻分泌物中の好酸球カチオン性タンパク(ECP)、鼻腔一酸化窒素(nNO)レベル、制御性T細胞(Treg)・B細胞(Breg)レベル

研究結果

• TNSS：両群で有意に減少。HRS群でより顕著な改善(p=0.043)。特に鼻のかゆみスコアでHRS群が優位(p=0.004)。
• ECP：両群で有意に減少。HRS群でより顕著な改善(p=0.029)。
• nNO：両群で有意に減少したが、群間差なし。
• Treg・Breg：両群で変化あり。群間差なし。
• サブグループ解析：
  • アレルギー性鼻炎：HRS群でTNSSが有意に改善(p=0.001)。
  • 非アレルギー性鼻炎：HRS群でECPが有意に減少(p<0.05)。
  • 安全性：重大な副作用なし。軽度の上気道感染が4例(各群2例ずつ)。

Appendix（用語解説）

• TNSS (Total Nasal Symptom Score)：鼻症状の総合スコア
• ECP (Eosinophil Cationic Protein)：好酸球から放出される炎症性タンパク質
• nNO (nasal Nitric Oxide)：鼻腔内の一酸化窒素。炎症マーカーとして使用
• Treg (Regulatory T cells)：免疫反応を制御するT細胞
• Breg (Regulatory B cells)：免疫反応を制御するB細胞

論文情報

タイトル

The Beneficial Effects of Hydrogen-Rich Saline Irrigation on Chronic Rhinitis: A Randomized, Double-Blind Clinical Trial（慢性鼻炎に対する水素水鼻腔洗浄の有益な効果：無作為二重盲検臨床試験）

引用元

Jin, L., Fan, K., Tan, S., Liu, S., Ge, Q., Wang, Y., Ai, Z., & Yu, S. (2022). The Beneficial Effects of Hydrogen-Rich Saline Irrigation on Chronic Rhinitis: A Randomized, Double-Blind Clinical Trial. Journal of inflammation research, 15, 3983–3995. https://doi.org/10.2147/JIR.S365611

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